白き闇、黒き光(パーティー編) | ECO Academy of Art

ECO Academy of Art

「ここに、ECOを題材としたアート集団リング、『ECO Academy of Art』の設立を宣言する!」

MMORPGエミルクロニクルオンラインでのあらゆる表現を追及する、ECO Academy of Artのリングブログです。

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そのタイタニアは、持っていたレプリカソードをもてあそびながら、しばらく沈黙した。自分でも無謀な挑戦だったとの自覚はあるのだろう、理由を言いよどんでいるその視線はレプリカソードから離れることはない。
やがて質問すら忘れてしまったのではないかと思われる沈黙を破り、タイタニアは口を開いた。
「転職用の・・・アイテムを取りに来たんですけど・・・」
何度挑んでも取れなくて、と最後は消え入りそうな声でぼそぼそと答えた。・・・そういえば先ほどのバウも、あれだけいたにも拘らず骨が2個しか出て来なかった。
「ソードマン志望なのか?」
あれで出なかったということは、もう一つのドロップと言う事になる。バウの出すもう一つの転職用ドロップは・・・肉。
「はい・・・頑張るんですけど、どうしても何匹も相手にしてしまって、行動不能になっちゃって・・・」


・・・じゃああのトレインを何度もやらかしてたわけか?


なんというか・・・ある意味ミラクルな奴である事は確かなようだ。聞けばまだレベル3。ほとんど倒せないでいるも同然か。
第一、もっと強くなってから挑んでもよさそうであるのだが。


なんと言うか、あまりに無謀すぎる。


「別にソードマンじゃなくたって、タイタニアなんだし、スペルユーザーでも良かったんじゃないのか?何もわざわざファイター系を選ばなくても・・・」
一番自分がかけ離れているであろう一般論を、なんとなく口にしてみる。これだけリアル運でドロップのないやつがソロで肉を取るのは至難の業だ。そのMAGの高さを利用した職業なら、ここまで苦労する事もないはず。
そう思ってのセリフだったのだが。
「嫌だ!それだけは嫌!!」
急にタイタニアは弾かれたように顔を上げ、俺の方に向き直った。真っ青で、何かとてつもなく恐ろしいものに追い詰められたかのような表情だ。そのあまりの変貌に、思わず俺もややたじろいだ。
「私は、強いタイタニアになると決めたんです、半端者じゃ・・・半端者なんかじゃない・・・!」
言葉の最後の方では、もはや俺の方すら見てはいない、何か別の者に対しての言葉のようにも取れた。俺から視線を外し、下方の虚空を見つめているタイタイアの目を見つめていて、気が付いた。
オッドアイだった瞳が、ギラリと紅く光ったのだ。
思わずドキリとした。赤い瞳はドミニオンしか持つことが出来ない、タイタニアが赤い瞳であるはずがないのだ。


そうか、こいつ・・・・・・ハーフか。


見た目がほぼ完全にタイタニアであったために気付かなかった。あの紅く光る瞳、戦闘を求める激情、初心者にして剣を振るう時のあの本能的な動き。
間違いないだろう。このタイタニアにはドミニオンの血が受け継がれている。
・・・・・・思わず自嘲にも見える苦笑がこぼれた。
それに気付いたのか、タイタニアもキッとこっちを睨み付けた。笑われたと勘違いしたのだろうか。
「別に、それでもいいんじゃないか。笑ったりして悪かった」
俺の言葉を聞いて、その目から怒りの色がすっと消えた。落ち着けば瞳の赤は消えるようだ。


(・・・半端でもなんでも、貴方が貴方の運命を受け止めるなら、それはちゃんと貴方自身の道なのよ)


はるか昔に聞いた、優しい声を思い出す。
目を閉じれば、頭に触れた暖かい感触さえも・・・。



「・・・・・・あの、どうしたんですか?」
タイタニアの声にはっと我に返った。
しまった、俺とした事が昔に浸りすぎた。
咳払いを一つし、
「なんでもない。・・・・・・ところで、転職のためにここまで来たのだろう?肉はあといくつだ?」
「・・・・・・それがぁ・・・・・・」
急に途方にくれたように泣き出すタイタニア。
・・・・・・まさか。
「一つも取れてないのか!?たった二つだろう、これだけ相手にしてれば一つくらい手に入るだろうに。」
「・・・まさか私にだけドロップ制限があるとは思えませんけどぉ・・・」
出てくるのは骨ばっかりで、ともはや骨ばかりで他に入る隙間すら見つけるのが困難な荷物を見せる。


・・・どういうドロップ運を持ってるんだこいつ。


半ば呆れはしたものの、こればっかりはコイツのせいじゃない。
それに、こんなに頑張って自力で探しているんだ、光の加護があってもいいだろう、ミマス?
「・・・・・・いいだろう、手伝ってやる。ただし、俺からは手出ししない。回復だけしてやる。あとは自分でなんとかしろ」
「・・・・・・ほぇ?」
泣いていたタイタニアが突然の展開にぽかんと口を開ける。
その隙に、俺は息を整える。
大きく息を吸い、静かに吐いて精神を集中する。
軽く目を閉じ、次に目を開けたときにはタイタニアの盾に憑依していた。
「え?あれ?ど、どこに・・・?」
混乱したタイタニアが俺の憑依した盾を持ったままきょろきょろしている。
「おい、まさか憑依すら知らないとか言わないよな?チュートリアルのエミルが最後の方で言ってたろ、物に憑依できるって」
「きゃあ!盾が喋った!!」
「落ち着けって!俺だ!投げ捨てるなよ、憑依が解ける!!」