西洋式の学問を学んできた人にとって
分類や系統立てることが出来ない事柄は
学問として成立しません

だから茶ノ湯という分野は学問にならず
茶室・茶席というのも曖昧で
それに添うようにして好まれてきた
「数寄屋」 は
実際に建物として存在していながら
「建築」 ではない
と過去の建築家たちには否定され続けてきました

そんな モヤっとしている部分に切り込み
磯崎新さんと藤森照信さんが建築家という立場から
茶席について語り合っている本



お二人はまず
人間にとって建築とは何か
というお話をしています

建築の始まり それは
 石を 「立てる 」ことだ
横になっている物を立てる事で
その物に存在を与え表現することだ
と仰っています




そしてその原動力は
サブライム (崇高性) を感じること


「立てる」 という儀式性が
立花や抹茶を 「点てる」 という
表現に繋がったのではないか
というお話もとても興味深かったです



実際に茶室をつくっているお二人の結論は

建築物としては正統では無い
茶席というものを分析して
建築として成立させた磯崎新さん

茶席を建築たらしめるには
サブライムが必要だとした藤森照信さん

ゼロから何かを創造する人は
やはりアーティストでありたいのでしょうか
産みの苦しみというのは相当なものだし
つくった物自体に価値を見出したい
というのは当たり前です


しかし
私がお世話になった
中村外二工務店 の 親方

中村義明さん は
自身がつくる建築を 「入れ物」 だと断言しました

 親方は井口海仙さん(裏千家13代円能斎の3男)の元で茶を学びました
 現在もお宅に伺うと自ら点てた抹茶でもてなしてくださいます

茶ノ湯の歴史を辿っても
サブライム = 掛軸 であり
それを飾るための 「床」
を中心に展開する茶事・茶会です



この本の中でも
茶室とは茶道具のひとつである とか
展示・鑑賞空間である という
解釈も紹介されていますが その通りである
し それはつまり簡単な話ではないのです

広さに対する天井の高さ
床の間の奥行
座敷なのか椅子での目線なのか
そんな数字で解決できる
見せ方の問題だけではありません
親方は
茶席を使う亭主の10年、20年後まで想像します
どんな茶人になるか
その時はきっとこんな道具を持っているに違いない
そんな亭主がするお茶の最高の引き立て役となれる
「入れ物」 をつくるのです



それから
数寄屋とは色々なものを組み合わせて
「無地」 をつくるということだ
とも仰っていました
数寄屋には様々な建築材料が使用される
きれいに削った木、皮の付いたままの木
竹、葦、土、畳
なのに全てが調和し一体となっている空間







人間の目は

意識はしていないけれど
何層にも塗られた漆の層を実は見抜いているから
深みを感じると言われています

何気なく見ているだけでも
鴨居の厚み一分の違い
障子の桟一厘の違い
丸太の削り具合
繊細な人間の感覚はそれらを察知して
心地よさを感じたり しているのです









 

来月の お稽古は 6月24日(土)
 ワークショップは 6月25日(日)
【海老澤 宗香 茶道教室のごあんない】

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