今月は、2回目のスパッタのための参考書を紹介します。この本は、352ページあり、第4版までになったということで、すでに多くの人のお役に立っているかと思います。概略は、アーステックのホームページに載せましたが、ここでは、興味を持った部分について、紹介します。

5.2薄膜の成長

薄膜が積層する時に、どのように核成長するかというのは、大切です。「膜の成長は蒸着とスパッタでは、かなり異なる。島状構造においては、スパッタの方が小さくて数が多く、(核密度が高く)当初から結晶方位が定まっているのに対し、蒸着の方は島が大きく(核密度が小さく)島が合体するとき方位が変化する。(NaCl単結晶板への金属を付けた場合)ことが発見されている。」

5.3エピタキシー 基板結晶と成長膜結晶の方位関係

薄膜の高付加価値化を図るうえで、結晶化した機能膜は一つの方法である。「一般的には、基板結晶の原子面に対しては、膜結晶原子面が平行に成長する。(001Ag//001NaClというように)。当初ミスフィットのみが重視されたが、それ以外にも影響する因子は、多い。

5.3.1エピタキシー温度  加熱が必要

5.3.2基板結晶のへき開 真空へき開によりエピタキー温度が低下する

5.3.3圧力の影響 良いエピタキーを得るには、下地表面が適当に装飾されていることが必要である。

5.3.4残留ガスの影響 上記装飾するガスは、基板とガスとの組み合わせがある。。(H2Oの吸着が一部効果あり)

5.3.5蒸着速度の影響 遅くするとエピタキシー温度は低下する

5.3.6基板表面の欠陥 電子線照射の影響 数10eVの電子線照射(蒸着)が効果がある。

5.3.7電場の影響 蒸着中に下地表面に平行あるいは垂直に電場を掛けると粒子の融合が促進されエピタキシーの程度がよくなる。

5.3.8イオンの影響 イオン化するとより低温で起こる

5.3.9膜厚の影響 ある厚さを超えると規則性は弱くなる

5.3.10ミスフィット ミスフィットは、小さい方が良いが、すべてでは無い。また格子状数が整数倍も良い」

 

エピタキシーに影響する因子が詳しく解説されていて大変参考になります。また基板と膜の線膨張率の違いを小さくする、を加えた方が良いかも知れません。上記は、主として蒸着の場合を基準にしていますので、スパッタでは、どのように変化するのかも興味があります。

 

5.7エレクトロマイグレーション

「電流によって原子が移動する現象をエレクトロマイグレーションという。物質中の原子の移動は、濃度勾配を見かけの駆動力とする拡散現象と呼ばれる。EMは、電子の流れ(あるいは電極勾配)を駆動力として原子が移動する。このような移動は、薄膜に残っている残留応力によっても起きる。これをストレスマイグレーションという」

 

折に触れて、この本を開くと、いろいろアイデアを紡ぎだしてくれるような気がします。