驚愕!東大阪リンチ殺人事件
---映画「ヒーローショー」の憂鬱
2010年、井筒和幸監督作品
東大阪生き埋めリンチ殺害事件を題材にリアルに描いたバイオレンス映画の傑作である。
事件は2006年に起きた。主犯の小林竜司に死刑判決が下された。
なお、お笑い芸人のジャルジャルが主役・準主役を熱演した。
「パッチギ!」の井筒和幸監督が、お笑いコンビ「ジャルジャル」の後藤淳平、福徳秀介を主演に描く。
目標もないまま自堕落な生活を送る専門学生のユウキは、ヒーローショーの悪役バイトを始めることにする。
ある日、バイト仲間のノボルがユウキの先輩・剛志の彼女を寝取ったことで、ヒーローショーの舞台上で2人は殴り合いを始めてしまう。
その後も剛志はユウキも含め悪友たちを招集し、ノボルをゆすろうとするが、ノボルも自衛隊上がりの悪友を集め報復に出る。
その爽やかなタイトルから真っ当な青春映画と思うのだがそうではない。
現実に起きている集団リンチ生き埋め事件は、作品以上にエグい。
ジャルジャルの二人が、よく承諾したものだと思う。
では、現実の事件を追ってみよう。
「東大阪集団暴行殺人事件」とは2006年6月19日に発生した集団リンチによる殺害事件だ。
この事件で被害者となる藤本翔士と岩上哲也は、岡山県岡山市灘崎町(現在の岡山市南区)の山中で小林竜司を始めとする加害者9名から集団リンチを受けた後、生き埋めにされ殺害された。
この事件の背景には複雑な人間関係がある。
本来は1対1の個人間でのトラブルだったのだが、ここに周囲の仲間が加わる形となり、どんどんと話が複雑化して行った。
その結果集団心理が働く事となり、結果として取り返しのつかない最悪の事態へと発展していく。
この東大阪集団暴行殺人事件の主犯格として逮捕された無職の小林竜司死刑囚(当時21歳)は、今回の事件で逮捕された徳満優多と佐藤勇樹の中学時代の同級生である。
徳満優多と佐藤勇樹からある一件で助けを求められた小林竜司は、同じく逮捕された広畑智規と共に彼等の相談に乗り協力することを約束。そして「目には目を歯には歯を」という事で被害者となった藤本翔士らを誘い出し、リンチを加えるのだ。
ただ助けを求められただけにも関わらず、小林竜司は2人の人間を無残な方法で殺害する。
いくら人の助けとは言え、この様な最悪の方法を取る必要があったのだろうか。
小林竜司は、ギャンブル好きの両親の元に産まれた。彼には弟が居たが、両親は常にギャンブルで自宅を留守にしていたため、面倒は全て兄である彼が見ていたという。両親のギャンブル好きは相当なモノだったようで、ほとんど中毒であった。
また、父親からは虐待を受けていたとも言われている。
生い立ち不幸というべきだろう。そんな狂気を秘めた小林竜司に助太刀を求めた時点で最悪の結果は見えていた。
若いというのは、ある種の狂気を孕んでいるものだ。
この事件は、付き合う仲間によってその後の人生が決まるという、逃れられない運命があるということを教えてくれる。
この映画は、題材を知ってしまうと、もう観に行く気がしないかも知れない。
それでも、店長はこの映画をススメたい。。

