元気の魔法 その2

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元気の魔法
その二

     ディズニーのキャストは誰に対しても平等に、みんなに笑顔で楽しんでほしいという 純粋な気持ちを持っている。
それが坂下加奈が経験した『スティッチ・エンカウンター』 での出来事のように難しくなってしまっても、何とかしたいという想いで接して寄り 添ってくれる。  
少なくとも僕がパークで一緒にやっていたときの仲間、僕が知っているキャストたち はみんなそうだ。  
ゲストが悲しい気持ちでいたりしたら、自分も悲しくなってしまう。
だから『ス ティッチ・エンカウンター』の女性キャストのように〝魔法〟で消し去って、嘘みたい に幸せな気持ちにさせてくれるのだ。  
それはちっとも特別なことなんかじゃないと僕は思う。
本来、人はみんなそんな力を 持ってるのだけれど、その力を忘れてしまっているだけ。
ディズニーという場所は、そ んな人々の忘れていた「人と人をつなげる力」を蘇らせてくれるところなのだ。

『科学技術が進めば進むほど、人々は孤独になり、分離する。私は人々が互いに感動 し、心がひとつになる場所をつくりたいんだ』
ディズニーランドの創始者、ウォルト・ディズニーはかつてこんなふうに語ってい る。そうなのだ。ウォルトがディズニーという場所をつくった源泉にあるものは、当時 もすでに進み始めていた科学万能主義、効率最優先の世の中に対して、それだけでは満 たされない大切なものをここで分かち合ってほしいという想いだったのではないだろう か。
僕は坂下加奈に、手紙を送ってくれたことへの感謝と大事な体験を手紙を通して共有 させてもらったことの喜びを伝えるために返事を書いた。  もう僕はディズニーを卒業しているけれど、こんなふうにディズニーのふしぎな力で 人と人が互いに大切なものを分かち合えたり、幸せな気持ちになれることが、どんなこ とよりもうれしい。