炉開き
一般に茶の湯の世界は11月初旬、現在の暦での立冬(およそ7・8日ごろ)をもって新しい年のはじめとします。
この日を迎えて茶室の「炉」をひらき、
春に摘んだ新茶を葉茶の形で茶壷にたくわえたものを、壷の口封を切って使いはじめます。
「口切」の時節というのがこれにて、
新茶の使いはじめのこの時期を茶の湯の世界での正月とし、
茶の庭の垣や樋の青竹を新しくしたり、茶室の畳を改め、
障子を張替えるなどのことが行われます。
この「口切」「開炉」の重なる時節の茶事は正午に客を案内して始められます。
正午から約4時間にて懐石・濃茶・薄茶をもてなす「炉正午の茶事」が最も正式な茶事であり、茶事の基本の型をもっています。
椿の時期
夏の木槿に対して、炉開き(口切りの頃)からは椿が床を飾る花の主役になります。
西王母とよばれるこの椿は京都では最も早くから花を付ける品種の1つです。
その名の通り桃のような色と、少し先端のとがったふくらみは、他に例を見ない艶やかさを見せてくれます。
炉開きの目出度さには欠かせない椿といえましょう。
亥の月 亥の日
亥は陰陽五行説で「水」にあたるため、火に強く火災から逃れられるといういわれから、
この日に炉を開き、また家庭でも囲炉裏に火を入れたり、こたつを使い始めたりされてきたのです。
また、多産のイノシシにあやかり、子孫繁栄、無病息災を願って行われた祭りです。
この祭りで食べられるのが亥の子餅。
亥の子餅とは、大豆から作られ、まるで「うりぼう(猪の子供」のように3本の筋が入ったお餅のことを言います。
「亥の子(いのこ)」とは、亥の月(旧暦10月)の最初の亥の日のこと。
現在は11月の最初の亥の日を亥の子と定めています。
令和3年は11月11日
旧暦ではこの日は「暖を取る日」とされています。
「亥の日」に行われる年中行事(田の神様を祀る収穫祭)を指します。