どーも、どくぴーです。

 

僕はモータースポーツが大好きなのでよくレースの写真を撮るのですが、やっぱり動き物を撮る時に重要なスキルは「流し撮り」ではないでしょうか。

 

実はこれあんまり大きく流せてない

 

流し撮りというと車以外にも列車や飛行機なんかが被写体として挙げられますが、やはり高速で動く物体をキレイに背景だけ流してぱっちり収めることができると気持ちがいいものです。

 

そもそもなぜ流し撮りは成立するのか

まず基本的な話なんですが、カメラで写真を撮るときはシャッターを切ります。その際には(フォーカルプレーンシャッターであれば)先幕が開いてセンサーやフィルムといった露光面を露出し、その後に後幕が閉じることで露光面を隠すことで「シャッターが切れる」という状態を作るわけです。写真の明るさを決定する要素である「シャッタースピード」はこの先幕が開いて後幕が閉じるまでの「露光面が露出している時間」というわけですね。

 

写真の明るさを決定する要素はシャッタースピードの他にも絞り値(F値)、ISO感度があります。これらをコントロールして適正な露出を探ったり、カメラが判断してくれるというわけです。

 

ところでシャッタースピードが遅くなるとより露光面が露出している時間が長くなり、より多くの光を取り込めることになります。ということは絞り値やISO感度を暗い方に調整することができるわけですが、当然長い時間露出しているということは「ブレやすくなる」という現象が起き、逆にシャッタースピードをどんどん速くしていくと露出時間が短くなり、ブレない写真を撮ることができます。スマートフォンのカメラでも夜になるとブレやすくなったりするのはISO感度や絞り値を調整してもシャッタースピードを満足に速くできないからですね。

 

じゃあブレを減らすためにはどうすればいいかというと、被写体を常に「カメラの画角の中の同じ位置」に固定し続ければいいという話になります。人は…ちょっと無理があると思いますが、星景写真や夜景写真を撮ったりしている人は三脚を使ってカメラを固定したり、どこかしらのなにかしらを使ってカメラを固定することでそれを実現するわけです。

 

手ブレ補正のおかげで1/4秒くらいは手持ちでなんとかなるカメラも増えたけど、やっぱりブレるのはブレる

 

流し撮りに於いては、その「カメラの画角の中の同じ位置」に固定し続ける対象を動いている被写体にします。当然星景や夜景とは異なり、被写体は動き続けているので同じ位置に収め続けるためにカメラは固定せず、被写体を追いかけ続けます。その結果、被写体は画角の中で常に同じ位置をキープでき、背景をカメラを動かした方向にブレさせることで流れているように表現できます。これが流し撮りのなんとなくの原理です。

 

夜とかだと光源がカメラを振った方向に光の線を描くので、「流れている」感がより出ますね

 

流し撮りに使う機材

レースに使うのであればそもそも被写体までの距離が遠いのでいわゆる超望遠レンズと呼ばれるものが必要になりますが、実は日常に於いては特にそうでも無いかなと。でも常に被写体もカメラも動き続けるので、動体AF性能があったほうがいいでしょう。打数を増やす…というのが狙いなら連写性能が高いカメラを使うのもありかもしれません。また、夜のほうが流し撮りは映えることが多いので夜に試したい!って場合は暗所AF性能のいい物を探すべきかなという気はします。

 

 

 

 

上の写真はカメラについてくるキットレンズでもある標準ズームレンズで撮影したものなので、街中の流し撮り程度であれば特に問題はないでしょう。

 

流し撮りをするメリット

やはり動体感を演出できることでしょう。ブレていない写真やディテールがはっきりした写真がほしいのであればそれこそシャッタースピードを上げればいくらでも打率を上げることができますが、動き続けている実感を伝えることは難しいです。

 

完全に慣れてない頃の一枚。シャッタースピードが速すぎてタイヤまで止まっている

 

やはり動体感を演出できることでしょう。ブレていない写真やディテールがはっきりした写真がほしいのであればそれこそシャッタースピードを上げれば撮影できますが、「その場に止まったような」写真となるのは避けられません。スピード感を伝えるためには、やはり背景効果としての流し撮りは非常に大きな力を持っていると思います。

 

スピード感の演出としての(適度な)流し撮りは有効そう

 

他にも写真の中で視線を誘導する効果もあると思います。流し撮りをすることで被写体以外の要素をブレさせることで、自然と写真を見る人の視線をピントがあっている被写体に向けさせることができるので、見せたいものを目立たせることができるでしょう。

 

個人的な流し撮りのやり方

一脚を使った方法が一般的ですが、今のシステムがそこまで重くない(2kgには行かないくらい)ので僕はほとんど手持ちで撮影しています。流石に600mmクラスのバズーカを担ぐなら疲労感が段違いになってくるので一脚が欲しいかも
 
始めは1/200-1/250secくらいで画角の調整とポイントの探しを始めます。モータースポーツならコーナーのどの位置にいればのぞみの構図が得られるかを考えながら、理想的にはどれくらい流せばいいかなぁとかを考えています。
 

雑だったり、調子が悪くても案外1/200secくらいだったらなんとかなるので構図の調整が楽

 

何カットか試していて「あー、だんだん合わせるの慣れてきたな」って感じたらだんだんシャッタースピードを落としていきます。モータースポーツであればコースのどこで撮るかで走っているマシンのスピード領域が変わるので、ドコまで落として大丈夫かはその場の勘に頼ることが多いです。

 

富士スピードウェイのGRスープラコーナーは車速が大きく落ちるので1/60secみたいなところまで案外ガッツリ落とたり

 

車速が乗るホームストレートなんかは速めのシャッタースピードでも十分に流れるし、打率が狙えるので1/125secとかで止めます

 

もちろん撮影時は連写撮影を使いますが、じゃあ車が来たらずっとシャッターを切っているのかというとそうではありません。

デジタルカメラのメモリーカードは今ではそれこそ128GBとか256GBとか十分すぎるサイズを備えたので容量には困りませんが、実際に撮影する際にはメモリーカードに書き込むためにカメラ内に実装されたバッファ領域に書き込むため、連写の枚数には限界があります。しかも、いくら動体AFの連写追従が発展したとはいえ、1枚目からずっと連写したあとのカットを見るとブレとかも加わってなんかパッとしない感じになることが多く、後々の選別作業でも手間になります。なので狙うのは取り出し2-3カットで、それこそFPSの指切り連写のような撮り方を僕はすることが多いです。

 

シャッターを切る前から被写体を追いかけて、ここだ!ってタイミングで数カットだけぱぱっと撮れるのが理想だなと思ってます

 

モータースポーツでは追い抜きとかそういう決定的瞬間が訪れることもあるので、なんとなくそういう瞬間が来たと思ったら打率を上げるためにシャッタースピードを大きく上げて打率を上げるときもあります。そういう時に限って力がこもってしまうみたいなケースはあるあるですしね…。

 

場内実況を聞いていて1/160secまで急に上げたけどちょっとブレてしまった。ここぞという決定瞬間こそ力が入ってブレがちですね。

 

シャッタースピード以外の設定値は?って言われると、結構シャッタースピード優先AEにしているので基本はお任せになっています。ただ補正の事を考えて、大体-1〜-1/3EVあたりで露出アンダーになるようにしています。

ソニーのα系はファストハイブリッドAFが使えるF値に限界があって、物によってF8/F11/F13とばらつきがあるので、天候や時間にあわせてNDフィルタを噛ませたりしています。便利だと思って可変NDフィルタを使ったこともあったんですがAFが効かなくなったことがあるのがトラウマで、基本的には常にND2/4/8の3枚を持ち歩いていて、適宜交換したり重ねたりしています。

終わりに

自分用のまとめとして書いてますが、ここまで完全に誰かに教わることもなく自己流でやってきたのでこれがあってるのかどうかすらよくわかっていない…。特にインターネットで調べてもあまりでてこないというのもあってこうやればいいのかなとかいいながらやってきてしまったので気づいたらこうなっていましたが、まぁ楽しいのでいいのではないでしょうか。