平成30年度特許出願技術動向調査の分析結果公表 | e-Patent Blog | 知財情報コンサルタント・野崎篤志のブログ

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経済産業省日本特許庁から平成30年度特許出願技術動向調査の分析結果が発表されました。

 

この「特許出願技術動向調査」は

 

市場創出に関する技術分野、国の政策として推進すべき技術分野を中心に、今後の進展が予想される技術テーマを選定し、特許出願技術動向調査を実施

 

本調査では、特許情報にもとづき、日本の産業が優位にある分野、あるいは日本が劣位にある分野等について分析を行っており、企業の研究開発戦略において大変有用な情報であると考えられます。また、企業のグローバル活動に伴う、世界規模での特許出願動向の基礎資料として、各国・機関における特許出願動向調査 -マクロ調査-も実施

 

ということで、特定の技術テーマとマクロ調査の毎年実施しています。マクロ調査の結果も参考になるのですが、私が毎年楽しみにしているのは個別技術テーマ別の分析結果です。平成30年度は以下のようなテーマの分析が実施されました。

  • ハイバリアフィルム
  • 電池の充放電技術
  • 樹脂素材と異種素材との接合技術
  • 電子ゲーム
  • パワーアシストスーツ
  • がん免疫療法
  • 人工関節
  • 仮想通貨・電子マネーによる決済システム
  • 次世代建築技術
  • ストレージクラスメモリ
  • ドローン
  • 三次元計測

分析結果はWord形式のレポートとPowerPoint形式のスライド資料(いずれもダウンロードできるのはPDFファイル)の2つの形式になっています(昨年まではWord形式のレポートのみでした)。

 

インターネット情報でダウンロードできるのは要約版であって、正式版は数百ページの分厚い紙のレポートとなっています。確か特許庁2階や国会図書館に行けば正式版を見ることができたと思います。

 

私個人としては分析に使った特許・文献リストもExcelファイルでダウンロードして活用できるようになると嬉しいのですが・・・

 

ドローンを例にして概要を紹介すると、まず対象テーマの全体像を示す技術俯瞰図。

 

 

 

特許出願技術動向調査と、特許だけかと思われるかもしれませんが、マーケット情報や各国の法規制動向なども盛り込まれています。

 

 

そして、特許動向分析。

 

 

ちなみに、対象の技術テーマによって読み込み件数は変動しますが、このドローンの例では以下のように特許で約30,000件、学術文献で約32,000件を読み込んでいるようです。

 

 

なお、平成31年度で分析を予定しているテーマは、

  • インフラ設備のIoTを活用した維持管理技術
  • スポーツ関連技術
  • レンズ系技術
  • 宇宙航行体
  • 福祉用具
  • 3Dプリンタ
  • 制御ラジカル重合関連技術
  • AIを用いた画像処理
  • V2X通信技術
  • 電子部品内蔵基板
となっています。これらの結果は、2020年4~5月には公開されると思います。個人的には「インフラ設備のIoTを活用した維持管理技術」や「スポーツ関連技術」、「宇宙航行体」などの結果が楽しみです。
 
なかなかこのような大規模なスコープで、数万件規模の読み込み分析を行うことは工数面・費用面でも難しいので、マクロ動向を把握して、詳細分析領域のターゲットを絞り込む等に有効活用できれば良いかと思います。
 
 
備考
 
特許出願技術動向調査は毎年競争入札で民間事業者を選定しています。どの民間事業者がどのテーマを落札したかは特許庁の落札情報一覧を見れば確認することができます。
 
ちなみに平成30年度の落札業者と落札価格は以下の通りでした。
 
  • 株式会社三菱ケミカルリサーチ
    • ハイバリアフィルム:15,120,000円
    • 樹脂素材と異種素材との接合技術:30,672,000円
    • 人工関節:41,212,800円
    • ストレージクラスメモリ:46,440,000円
    • 三次元計測:45,144,000円
  • 株式会社富士通総研
    • 電子ゲーム:48,600,000円
    • 仮想通貨・電子マネーによる決済システム:36,720,000円
  • トヨタテクニカルディベロップメント株式会社
    • 電池の充放電技術:57,240,000円
  • 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社
    • パワーアシストスーツ:16,869,600円
  • 株式会社NTTデータ経営研究所
    • がん免疫療法:41,040,000円
  • 株式会社サイバー創研
    • 次世代建築技術:48,600,000円
  • 日鉄住金総研株式会社
    • ドローン:45,867,600円
 
三菱ケミカルリサーチが5テーマ受注で、他を圧倒していますね。ここ数年は、受注業者や受注金額をウォッチしていなかったのですが、受注業者の顔触れはあまり変わりませんが(あの事業者がいないな。。。。というのはありますが)、1テーマ当たりの受注金額はだいぶ増額しましたね。ハイバリアフィルム:15,120,000円やパワーアシストスーツ:16,869,600円のように比較的廉価のものもありますが、4,000万円台が多く、TTDCが受注した電池の充放電技術は57,240,000円と5,000万円突破していますので、ビックリしました(この金額で落札したということは予定価格はこれよりも上回っているということなので)。