知財情報を経営・事業へ根付かせるために(その2) | e-Patent Blog | 知財情報コンサルタント・野崎篤志のブログ

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先日の”知財情報を経営・事業へ根付かせるために(その1)”で、「知財情報を経営・事業へ根付かせるためにはどうしたら良いのか」、「IPランドスケープを組織に定着させるためには何が必要なのか?」という問いに対して、

  1. 個人レベル
  2. 組織レベル
の2つで取り組むべきことがあると書き、1の個人レベルについてどのような取り組みができるのか私見を述べました。
 
今回のその2では、組織レベルで行うべきことについて説明していきたいと思います(とはいえ、実は組織レベルと言いながらも個人レベルに該当する項目が混在しているところがある点、ご容赦ください)。
 
組織レベルで知財情報・IPランドスケープを定着させるために最低限必要なのは
  • 組織レベルでの知財情報分析に対する理解および風土醸成
  • 知財情報分析に関するチーム作り
の2点だと考えています。
 
「組織レベルでの知財情報分析に対する理解および風土醸成」について、
  • 知財部門から(自発的に)何か経営層・事業部門へ情報発信をしたい/しなければならない
という話を聞くことがあります。
 
私は知財情報分析は企業におけるインテリジェンス活動(CI=Competitive Intelligence または BI=Business Intelligence)だと思っているので、インテリジェンス生成において必要な情報要求・リクワイアメントが重要だと考えています。
 
 
経営層や事業部門から明確な情報要求・リクワイアメントがあれば、それが最適ではありますが、必ずしもいつも明確な情報要求・リクワイアメントがあるわけではないかもしれません。しかし、経営層や事業部門がどのような情報・分析結果が欲しいかを理解せずに(=忖度して)、知財情報分析を行っても経営層や事業部門に有効な分析結果である可能性は低いでしょう。
 
まずは知財部門ではなく、経営層や事業部門サイドの方がどのような情報・分析結果を必要としているのか、その分析に対するニーズを明らかにするのが重要なポイントだと考えています。
 
ただし、その分析に対するニーズが知財情報分析主体(もちろん知財情報に加えて企業情報・マーケット情報なども加味しますが、知財情報を主として分析するという意味において)で満たすことができるのかできないのかを見極めるのも同じぐらい重要で、なんでもかんでも知財情報で明らかにできると思うのは誤りです。
 
同様に、どのような分析手法-統計解析的な定量分析か定性分析か、またはテキストマイニングなど-がニーズに対して最適なのかを選択することも重要です。料理人であれば肉、魚、野菜を同じ包丁で切らずに、それぞれ切る対象に合わせて包丁を使い分けるのと同じことです。
 
その意味で知財部門やR&D部門だけではなく、まずは経営層・事業部門も含め全社的に「組織レベルでの知財情報分析に対する理解および風土醸成」が必要だと思います。
 
それではこの「組織レベルでの知財情報分析に対する理解および風土醸成」がボトムアップでできるか?というと、まったくできないわけではないのですが、なかなかボトムアップで一気呵成に行うことは難しいと思います。やはり部長レベルでまずは情報に対する感度(知財情報だけではなく)を上げていただき、その上で情報の1つとして知財情報も1つの重要な情報であると認識していただく必要があります。
 
プロアクティブに知財に対するマインドを上げることができれば良いのですが、なかなか平時において知財の必要性・重要性を認識することは困難なので、まずはリスク(顕在競合のリスク、潜在的な競合のリスク、また新規技術の登場による既存事業等へのリスク)を可視化して、知財情報も含めた情報分析活動の重要性を訴えることが一番着手しやすいかと考えています。
 
企業におけるインテリジェンス活動では、
  • 経営層・事業部門の意思決定に対する判断材料の提供
  • 早期警戒情報(潜在的なリスク)の提供
  • 競合・業界構造の変化に対する情報提供
の3つが必要になります。1つ目は通常の知財活動(新製品・サービスの市場投入に伴う侵害防止調査・FTO)に伴う調査・分析活動になりますが、知財情報を経営・事業へ根付かせるとなると2つ目や3つ目の早期警戒=リスクの見える化を行うことが肝要かと思います。
 
もちろん、リスクだけではなく今後の新規事業開発の方向性を示す、M&A・提携先の候補の探索などなど知財情報分析やIPランドスケープ活動により視える化できることもありますが、それは経営層・事業部門へ知財情報、ひいては情報分析の必要性・重要性を明確に認識していただいてからの方がスムーズにつながっていくかとこれまでの経験で感じています。
 
今回はここまでとして、また続きは次回に。

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