えばと鍼灸マッサージ院徒然日記

【川崎市多摩区】稲田堤駅徒歩3分にあるえばと鍼灸マッサージ院の院長江波戸雄一の日記みたいなブログです。
東西両医学に関する知見や、大好きな横浜ベイスターズ(NPB)、リバプール(サッカー)、お酒(ウィスキーが主)のことなどを書いてます。


テーマ:
【目次】
1.概要
2.腰痛を改善するお尻のストレッチ
3.お尻のストレッチで腰痛が改善する理屈
-a「腰そのものは捻れない」
-b「腰(腰椎)の動きを確かめてみましょう」
-c「動いているのは股関節」
-d「股関節の動きを妨げるのはお尻の筋肉」
4.腰痛治療でお尻のストレッチに行きついた経緯

1.概要
腰痛でお悩みの方はかなりいらっしゃるかと思いますが、今回は機能解剖学的観点から、腰痛が起きやすい体の状態と、ストレッチによる対処法について書きたいと思います。
最初に具体的なストレッチの方法、後半に小難しい理屈を書いていますので、興味のある部分だけでもご覧いただけると幸いです。

2.腰痛を改善するお尻のストレッチ
まずストレッチの方法をお伝えします。
立っている時の捻る動作や前後屈や中腰、仰向けで寝ると腰が痛み、横向きでないと寝られないという方はぜひ一度お試しください。
下記のストレッチを行っても改善されない腰痛もありますが、有効なケースはとても多いです。
お尻のストレッチで腰痛が改善する理由は後半に記述しています。
※下記のストレッチで痛みを感じた場合はただちに中止してください。
 

☆臀筋ストレッチ①
臀筋ストレッチ(床)・正面

 

座位で脚を上の画像の様になるべく深く組んで、お臍を突き出すように体を前方に倒します。
上の写真では左の臀筋をストレッチしています。

臀筋ストレッチ(床)・左側面

 

左側面から見ると、こんな感じです。
お尻はなるべく床に着けて下さい。

次にもう少しストレッチ効果が高い方法です。

☆臀筋ストレッチ②
臀筋ストレッチ(床)②・準備

 

膝立ちした状態から
臀筋ストレッチ(床)②・正面

 

膝を外側に倒します。
この状態で左の臀筋がストレッチされています。


臀筋ストレッチ(床)②・背面
後ろから見るとこんな感じです。
後ろ脚の膝頭が床に正対した方が効果が高くなります。

 


臀筋ストレッチ(床)②・左側面
左から見るとこんな感じです。
このストレッチの際はお尻は床に着かなくても大丈夫です。
それよりも骨盤が床に対して平行になるよう心掛けて下さい。

 


このストレッチは先ほどの①の方法よりも強烈に臀筋が伸ばされるので、最初の方法でお尻に痛みを感じるという方は慎重に行ってください。
 

臀筋ストレッチ(台使用)・正面
台やベッドを使用すると少し楽にできます。

 


臀筋ストレッチ(イス)・正面
効果は少し落ちますが、イスに座った状態でもできます。

これならデスクワークの最中などでもこっそり出来るかと思います(笑)。

 

 

臀筋ストレッチ(イス)・左側面(効果的な姿勢)
この際もお臍を突き出すように
体を前方に倒した方がより効果的です。
背中を丸めてしまうと、臀筋はストレッチされにくくなります。



※腰を反らすと痛む場合のストレッチ
上記のストレッチを行っても、腰を反らした時の痛みが残るという場合は、股関節の前面、筋肉で言うと腸腰筋あたりの筋肉が硬くなっていることがあります。

その場合は股関節前面を伸ばす下の様なストレッチを行ってみて下さい。
※下記のストレッチで痛みを感じた場合はただちに中止してください。

☆股関節前面のストレッチ

股関節前面のストレッチ

 

この体勢で左の腸腰筋がストレッチされています。
ポイントとしては、上体をなるべく反らすことと、後ろ脚の膝を地面に着けて、リラックスした状態で行うということくらいです。

立っている時の捻る動作や中腰、仰向けで寝ると腰が痛み、横向きでないと寝られない、腰がいつも何となくダルイという方は、以上のストレッチを試してみて下さい!!!

3.お尻のストレッチで腰痛が改善する理屈
さて次に臀筋のストレッチで腰痛が改善する理屈についてです。
当院ではこれまで、痛みを感じている腰そのものには触れず、臀筋を鍼やストレッチで緩めるだけで大幅に腰痛が改善したケースが多数あります。


【症例】運動を止めてから発症した1年近く患った腰痛
【症例】一度改善したが、再燃した腰痛
【症例】抱っこで生じた右腰痛
【症例】くしゃみと同時に発症した腰痛
【症例】仰向けがつらい右背痛
【症例】体調不良から生じた3日前からの臀部の痛み
【症例】仰向けで寝るのがつらい腰痛

と言うか、腰に痛みを訴えられても、腰そのものは押しても気持ちいいくらいで何ともなく、お尻の筋肉を押すと飛び上がるくらい痛むということが多々あります。
また私が勉強した長野式鍼灸という治療法では屈伸穴という大臀筋の起始部を刺激して腰痛を始め様々な疾患を治療するという方法があります。
これらの事実から腰痛を起こしやすい体の状態と、臀筋をほぐすことによって腰痛が改善する機能解剖学的理由について書いていきたいと思います。

3-a.「腰そのものは捻れない」
まずは「腰椎(腰)」の可動域についてです。
「腰を回す」、「腰を捻る」といった表現が
日本語では一般的に使用されますが、腰椎はそれほど可動性はありません。
回旋は至っては、「左右5°ずつ」という記載もあります。

腰を捻る動きとは
http://www.keeperlabo.jp/blog/index.php?date=2013-03-12&skip=9より

一般的に「腰を捻る」とは上図のイチロー選手の様な体勢のことを指すと思います。
 

 

腰椎の可動域
しかし腰椎(腰)は左右に5°ずつしか動きません。

【腰椎の可動域】
◆屈曲(前屈)50°
◆伸展(後屈)35°

腰椎の屈曲・伸展
前後屈も45°程度とそれ以下とそれほど可動域は大きくはありません。

◆側屈20°

腰椎の側屈
側屈もたったの20°と30°もありません。

◆回旋5°
体幹の回旋

回旋に至ってはたったの5°です。
※胸椎が35°回旋します。

 

以上4画像はいずれも『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』医学書院p.101より

引用文献がひとつだと、都合いいのだけ選んだんじゃないかと疑われる可能性があるので、もう一つ。

◆屈曲(前屈)40~45°
腰椎屈曲

 


◆伸展(後屈)40°
腰椎伸展

 


◆側屈30°

腰椎側屈

◆回旋:椎体につき3-4°
腰椎回旋

 

下記のグラフによると、椎体間で1or2°とのことです。
腰椎回旋

腰椎のみに限ると、L1(第1腰椎)からL5(第5腰椎)までなので、各関節で2°ずつ、合計で8°ということになります。


以上5画像は『からだの構造と機能 2 腰椎 骨盤 股関節 下肢』より

側屈と回旋の可動域が先ほどの文献より少し大きいくらいで、大きな差は無いかと思います。

孫引きですが、『カパンディ関節の生理学』でも腰椎の回旋の可動域は左右5°ずつです。

28.【解剖】腰は捻るようにはできていない。

引用開始

回旋の可動域は、頸椎で45~50度、胸椎で35度、腰椎で5度とされています(参考文献「カパンディ関節の生理学」)。
腰椎の可動域は5度程度です。時計の秒針1目盛りよりも小さい角度です。つまり腰椎は身体を捻るという回旋運動には適していません。
万が一腰椎で身体を「捻る」という間違った意識をもって身体を動かしつづけた場合、腰を痛めるのも全然不思議でもなんでもありませんね。

引用終了

3-b.「腰(腰椎)の動きを確かめてみましょう」
「でも腰は回ってるじゃん!」とお考えの方に、腰椎の回旋の可動域がいかに小さいか、簡単な方法で実感していただきたいと思います。
以下の方法をお試しください。

【腰椎可動域のテスト方法】
イスに座って股関節の動きを制限し、更に左右の腕を対側の肩に当て、胸椎の動きを制限します。

腰椎の可動域・スタートポジション

ここから肩や膝を動かさないよう気を付けて左右に腰を捻ります。

◇右回旋(腰椎のみ)

 

 

腰椎の可動域・右回旋

◇左回旋(腰椎のみ)

 

腰椎の可動域・左回旋

 


これが「腰(腰椎)の回旋の可動域」です。

いかがですか?
「腰」がいかに捻れないか、実感してもらえたかと思います。

3-c.「動いているのは股関節」
それでは一体どこが「腰を捻る」際に動いているのでしょうか?
これも簡単な方法で確かめられます。
腕を体の側面に固定し、脊柱(背骨)が動かないようにします。
 

回旋は股関節の内旋動作・準備姿勢

胴体を動かさないように気を付けながら右に回旋させます。

 

 

◇右回旋(脊柱固定)

回旋は股関節の内旋動作・右回旋

同様に左にも回旋させます。

 

 

◇左回旋(脊柱固定)

回旋は股関節の内旋動作・左回旋

いかがでしょうか?

股関節が動くことによって、一般的に「腰を捻る」言われている動きが行われていることを実感して頂けるかと思います。

右に捻る時には右股関節が、左に捻る時には左股関節が、それぞれ内旋しています。


「腰を捻るor回す」といった時は、腰そのものはほとんど動かず、「股関節が動いて(内旋して)、「腰」が空間的に回っている」のです。

先ほどの『プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』によると、股関節内旋の可動域は40°です。

◆股関節の内旋
股関節の内外旋

側屈の際も対側の股関節が内転することで、可動域を作り出しています。

これも簡単な方法で確かめられます。
立った状態で、先ほど腰の可動域を確かめた際と同様、腕を対側の肩に当て、胸椎を固定します。

側屈(胸椎固定状態)・準備姿勢


ここから足底に掛かる圧を左右等しい状態(骨盤を固定した状態)を保ちながら、体を横に倒していきます。


◇右側屈(腰椎のみ)

側屈(胸椎固定状態)・右側屈

 


◇左側屈(腰椎のみ)

側屈(胸椎固定状態)・左側屈

上記の文献のとおり、20~30°程度曲がっているかと思います。

次に股関節の内転動作を加えます。
曲げる方向と反対側の足底に体重を載せると股関節の内転動作を引き出すことができます。

◇右側屈・股関節可動状態

右側屈・股関節可動状態

◇左側屈・股関節可動状態

左側屈・股関節可動状態

曲げる方向と反対側の股関節の内転動作が出てくることによって側屈の角度が大きくなっていることが分かるかと思います。

プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』によると、股関節内転の可動域は30°です。

◆股関節の内転

股関節の内転・外転


前後屈も股関節の動きが重要です。

◇前屈(腰椎のみ)
前屈・股関節固定状態
※この動きは腰の負担がとても大きいです。実施の際は注意してください。
 文献の40°程に達していませんが、腰に若干の痛みを感じています。

股関節の動きを追加すると下図のようになります。
前屈・股関節可動状態

次に後屈です。

◇後屈(腰椎のみ)

後屈・股関節固定状態
文献のとおり、30度程度可動していると思います。

 

これに股関節の伸展を加えると下図のようになります。
後屈・股関節可動状態

膝の屈曲も加わると更に曲がります。

後屈・股関節&膝関節可動状態

 


プロメテウス解剖学アトラス 解剖学総論/運動器系』によると、股関節屈曲・伸展の可動域はそれぞれ140°と20°です。

◆股関節の屈曲・伸展

股関節の屈曲・伸展

 

さて以上で一般的に「腰」の動きとされている動作が、「股関節」の動きによって引き出されいてることが分かるかと思います。
股関節の動きが悪いと、代償するために腰に過度な負担が掛かって腰痛が起こると考えられます。

 
3-d.「股関節の動きを妨げるのはお尻の筋肉」

では股関節の動きを妨げる要因とは何なのでしょうか?
「股関節の動き」とは上記の屈曲、伸展、内外転、内外旋ですが、臀筋は股関節を伸展、外転、外旋させる働きを持ちます。
臀筋が硬くなってしまうと、これらの働きと反対の動き、すなわち股関節の屈曲、内転、内旋が制限されてしまうのです。
しかも臀筋は筋量も多く、影響力が大きいです。
繰り返しになりますが、体幹部を前屈する際には股関節は屈曲し、同様に側屈する際には股関節は内転し、回旋する際には内旋します。
※伸展する際も骨盤を前傾させる必要があるため、臀筋が柔らかい方が可動域が増します。

臀筋が硬いと、いわゆる「腰」の運動時に股関節の動きが著しく制限を受けてしまうのです。
反対に臀筋さえ柔らかければ、股関節を十分に動かすことができ、腰の負担が小さくなるのです。
このことが冒頭で臀筋を緩めることで、腰痛が改善することが多い根拠のひとつなのではないかと考えます。

捻りきったり、反りきったりする姿勢以外にも、腰痛を起こすことが多い姿勢として、洗顔などの際の中腰や、くしゃみなどで腹圧が急激に高まった状態があると思います。
臀筋のストレッチはこういった腰痛にも有効です。

前に屈む動作は
Nachemsonさんが言う通り、ただでさえ立った状態よりも、1.5倍も腰の負担が大きい動作であるにもかかわらず、股関節の動きが悪いと、その分腰椎を曲げなければならず、余計に負担が掛かってしまうのです。

 

姿勢による腰の負担の違い

The Lumbar Spine An Orthopaedic Challenge. NACHEMSON, ALF L. MDより

 

以上、腰痛を起こしやすい体の状態と、その対処法についてでした。
腰痛(の治療)でお悩みの方はぜひ一度お試しを!!!

 

ちなみに臀筋が十分に柔らかい状態を保てると、自然と骨盤が前傾するため、猫背などの不良姿勢も改善されます。

【注意点】
お尻そのものが痛んだり、このストレッチで腰に痛みが出る場合は、直ちにストレッチを中止してください。

無理にストレッチをしても、痛みは改善しないことが多いです。

 


4.腰痛治療でお尻のストレッチに行きついた経緯

冒頭にも記したとおり、私が勉強した長野式鍼灸という治療法では屈伸穴という大臀筋の起始部を刺激して腰痛を始め様々な疾患を治療するという方法があります。
私自身も屈伸穴への鍼刺激で腰痛を何度も改善していたのですが、ある日「屈伸穴をマッサージで緩めてみたらどうなるのだろう?」と思い、何人かの患者で試してみると、ほとんどのケースでかなりの痛みが改善しました。

屈伸穴は大臀筋の起始部だということは書きましたが、「じゃあストレッチで臀筋を緩めたらどうなるのだろう?」とまた何人かの患者で試してみたところ、これまたほとんどのケースで痛みが大幅に改善しました。
そして今では患者さんからの要望がなければ、ほとんどの腰痛はストレッチで対応しています。


要するに鍼なのか、マッサージなのか、ストレッチなのかといった「手段」はどうでもよく、どこを緩めるかの「選択」がとても重要になってくるのだと思います。

また臀筋が硬くなってしまう根本的な原因は
普段一番行っている動きにあると思います。
恐らくほとんどの方で「歩き」だと思います。

臀筋が硬くならない歩き方については、以前に別の切り口から書いているので、そちらをご参照ください。

【ながら美脚・美尻】レッスンNo.1「歩き方」
【ながら美脚・美尻】レッスンNo.4「正しい足裏の荷重ラインを知る方法」

腰痛で治療院に行かなければならないという人が1人でも少なくなってくれることを祈っています!!!

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