えばと鍼灸マッサージ院徒然日記

えばと鍼灸マッサージ院徒然日記

川崎市多摩区、稲田堤駅徒歩3分にある、えばと鍼灸マッサージ院の院長江波戸雄一の日記ブログです。
医学に関する知見や、大好きな横浜ベイスターズ(NPB)、リバプール(サッカー)、お酒(ウィスキーが主)のことなどを書いてます。

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前日に前シーズンの覇者が昇格組にいきなり負けた試合で幕を開けた今シーズン。

レッズは開幕戦からいきなりガナーズとのビッグマッチです。

まずはスカッドから!!!

クラヴァンの起用は予想通りでしたが、最前線をフィルミにしてほぼゼロトップとは意外でした。

怪我の回復具合が心配なミルナー、スタリッジはベンチにも入っていません。

 

7分、サンチェス、ラムジーのコンビネーションでPA右に侵入されますが、クラヴァンがコースを切っていたおかげで、シュートはミニョの正面でした。

 

14分、早くもモレノの守備が危うさを見せてくれます。

中盤のコクランからのロングフィードを戻りながらヘッドでクリアしようとしますが、ボールはPAに走り込んだラムジーの足元への絶妙なパスになってしまいます。

走った勢いでカバーにいったモレノの両脚タックルでなんとか難を逃れます。

しかしこのタックルもちょっとでも遅れたら、一発レッドかもよ。

 

28分、またしても漏れ野、じゃなくモレノが決定的なミス。

ヘンドのクリアが小さくなってしまい、PA内にこぼれたボールをクリアしようとしますが、空振りになってしまい、その勢いでウォルコットを倒してしまいます。

 

絶体絶命のピンチでしたが、ウォルコット自らが蹴ったPKをミニョがビッグセーブ!!!

左股関節固いなぁ(笑)

 

 

しかし直後にウォルコットにしてやられます。
31分、ララナが自陣でコクランにボールをカットされると、拾ったイウォビからウォルコットにパスが通ります。
攻勢に出ようと上がっていたモレノは慌てて戻りますが間に合わず、PA左からの右脚のクロスのシュートがニアを切りにったクラヴァンの股間を抜けて、右サイドネットに転がります。

 

40分、レッズがチャンスを作ります。

最終ラインから中盤へのチャンバースの不用意なパスをフィルミがカットすると、左に開いたコウチにパス。

コウチから中央への折り返しをワイナルがダイレクトで叩きますが、グラウンダーのシュートはチェフが難なくセーブ。

カーブを掛けて巻くようなシュートだったらなぁと多くの人が感じたと思います。

 

このままビハインドで折り返すかと思われた45+1分、PA外正面でマネがファールをもらうと、やや距離があるところからコウチが直接狙います。

 

これがチェフも触れない左上隅に突き刺さります。

 

間もなく前半終了のホイッスルです。

後半開始は両チームとも前半と同じメンバーで臨みます。

 

49分、左サイドでフィルミからのパスを、コウチが右脚アウトで抜け出したワイナルにお洒落なダイレクトパス。
ワイナルはPA内に侵入し、中央のララナへつなぎます。
胸トラップでララナは右に動きます。やや角度が無くなったかに見えましたが右脚を振りぬくと、ボールはチェフの足元をすり抜けてネットに突き刺さります。

 

レッズがボールを支配し続けた56分、右サイドのナッシーが縦に仕掛けてクロスを放ちます。
中央に飛び込んだコウチが左脚でダイレクトに叩くと、チェフはその場に倒れ込むことしかできずボールはマウスへ。

 

58分、フィルミが敵陣右サイドでチェンバースを釣り出してクロスを送ります。
またしても中央に入ったコウチがシュートを放ちますが、ここはチェフに弾かれます。
更にララナが詰めるものの、これもDFにブロックされ追加点はなりません。

 

61分、ラムジーが脚を痛め、カソルラにサブ。

63分、ハーフェーラインからララナが苦し紛れっぽく前方のスペースにパスを出すと、これをマネが拾い抜群のスピードで右サイドを駆け上がります。
サイドを深くえぐった後に中央に切り替えし、2人にマークにつかれながらトップスピードのまま左脚を振り抜くと、ボールはサイドネットに突き刺さります。

 

しかしガナも黙っていません。
65分、右サイドからオクセレイドチェンバレンの侵入を許します。
右脚からの鋭いシュートがブロックに入ったがデヤンの脚に当たり、マウスに吸い込まれます。


これでガナがやや息を吹き返します。

68分、ここまで大活躍のコウチが両脚を攣ったのか倒れ込みます。


直後にコウチはチャンと交代で退きます。


75分、クラインが自陣でFKを与えてしまいます。
カソルラが蹴ったボールを頭でチェンバースに反らされ、ミニョは触ることができません。

クラヴァンの対応がやや遅れたように見えますが、カソルラのキックが素晴らしかったと認めぜるをえない得点でした。

 

直後にララナに代えてオリギが投入されます。

しばらくするとガナの攻勢が弱まり、レッズが余裕を持ってボールを回し始めます。

 

85分、敵陣右サイドをぶっちぎったワイナルから中央のフィルミへ。
右脚のシュートはDFにかすりながら、右に外れていきます。

 

88分、ワイナルからスチュワートへサブ。

追加タイムは5分です。

 

昨季はこういった展開で最後の最後に同点に追いつかれる展開を何度も見てきたレッズサポは、この長い追加タイムに気が気でなかったと思います。

しかも「このカードは90分以降に10点入っています」とガナサポに都合のいい情報をグーナーの実況の西岡さんがしゃべります。

 

レッズは前線ではオリギがチェースし、守備は体を張った守備を見せます。

90+5分、カソルラのクロスがモンレアルのオケツに当たり、GKになると直後に終了のホイッスル。

開幕戦、しかもエミレーツでのアーセナル戦で勝利!!!

 

CB、エース・エジル&ジルー?を欠くガナに対しての辛勝なので、完璧とは言えないものの、最終版に攻め込まれる中、凌ぎ切った試合展開は昨シーズンにはなかなか見られないものでした。

特にクラヴァンは新加入にもかかわらず、安定したプレーを見せてくれました。

 

試合後の様子を見る限り、コウチの脚の状態も深刻なものではなさそうです。

 

次節はアウェイでのバーンリー戦。

古巣との対戦になるイングスは気合が入るじゃないでしょうか?

毎週末が待ち遠しい日々がまた始まりました!!!

翌日にマインツ戦が控えているとはいえ、何しろウェンブリーでのバルサ戦です。
スカッドはオフィシャルの画像で!

スタリッジがお尻の怪我でサブにもいません。
クラヴァン、マネ、ジニといった新戦力がスタートからです。

 

開始1分、早速マネが右で起点になってチャンスを演出。
最後はジニのシュートがわずかに左に外れます。


フィルミの1トップ、ミルナーは左SBに入って、ジャンがアンカーの4-1-4-1のようです。

 

4分、ジャンが自陣深くから右のナッシーにロングパスが通りますが、クロスは中に合わずシュートまで持ち込めません。

仕上がりの違いからか、レッズが押し気味に試合を進めます。

 

15分、中盤でララナがインターセプトすると、フィルミに預けて右サイドをえぐります。
最後はPA中央でマネがシュート。


苦しそうな体勢ですが、シュートには力がありました。

レッズが先制します。

 

18分、クラインが右から抜け出しクロスを上げますが、またしても浮いてしまいます。

 

23分、自陣ゴール前でボールをつながれ、メッシにポスト直撃のシュートを打たれます。
徐々にバルサがペースをつかみ始めます。

26分、PA正面でフィルミがファウルを犯しますが、セットプレーはメッシのキックを少し長く、ミニョが無難に捌きます。

29分にもPA正面でメッシとデニスのコンビで抜け出され、最後はデニスにシュートを打たれ、ミニョが弾いた球がデニスに渡りかけますが、ミルナーが辛うじてカバーに入ります。

32分、コウチが抜け出し、得意の左斜め45°からシュートを放ちますが、バーを越えていきます。

 

35分、左サイドからメッシのドリブルを許します。
ファウル覚悟でミルナーがメッシを止めにかかりますが抜け出されます。
最後は中央のスアレスにつながれますが、デヤンが決死のブロックで防ぎます。

 

41分、ムニルから中央のスアレスにつながれ、強烈なシュートを打たれますがミニョがセーブ。

42分、ミルナーからモレノへスイッチ。
怪我でしょうか?ミルナーの表情が冴えません。

 

45分、モレノからのパスにマネが抜け出したかに見えましたが、惜しくもオフサイド。

目立ったプレーはありませんが、クラバン、デヤンのCBコンビの仕事が完璧です。

 

後半開始からスチュアート、ヘンド、オリギがララナ、コウチ、ジャンに代わって出場です。

47分、敵陣右サイドでマネが粘ると、オリギとのワンツーでマネが抜け出し、中央のヘンドへクロス。


ヘンドの得点化と思われましたが、惜しくもマスチェのOGとなります。

 

48分、更にレッズに追加点です。

中盤でスチュアートがブスケッツからボールを奪い、トップのオリギにスルーパス。

オリギは相手に前に入られないドリブルのコース、GKの股間を抜いたシュートと完璧なプレーでした。

 

52分にも中盤でボールを奪うと、スチュアートが左から抜け出したフィルミにロングスルーパスを通します。


長い距離を走った後のシュートは右に外れますが、レッズのカウンターが冴えます。

 

60分、バルサがイニエスタ、ピケなど主力を投入します。

今まで以上にバルサにポゼッションを許しますが、決定的なシーンは作らせません。
しかしライン低くなったレッズのカウンターも切れ味が落ちます。

 

72分、マネ、ジニ、フィルミが下がり、グルイッチ、イングス、マルコが入ります。

75分、スアレスが下がるとスタンディングオベーションです。

 

メッシ、スアレスが下がると、さすがのバルサも攻勢が緩みます。

85分、PA左脇でFKを与えますが、ラキティッチのキックが裏に通りかかりますが、スチュアートがナイスクリア。
直後の右からのCKも凌ぎます。

 

90分、相手のスルーパスを止めにいったデヤンが左腿裏を抑えてうずくまります。
デヤンはそのまま下がります。

 

92分、ヘンドが中盤で相手ボールのパスを前方に弾き返すと、ボールはオリギの足元へ。
一端弾き返されますが、マルコが拾い中央へ浮き球クロス。
これををグルイッチが右上隅に完璧なヘッドで4点目。


セルビアコンビが完璧な連携を見せてくれました。

直後に終了のホイッスル。

 

デヤンとミルナーの怪我の程度が気になりますが、新戦力もフィットしだしクリーンシートと、これ以上無いという内容、結果でした。
さて明日のマインツ戦は誰が出場するんでしょうか?

 

☆おまけ

リオ五輪が開幕しました。

これから約1か月間、スポーツの祭典に寝不足気味になってしまう方も多いかと思います。

くれぐれも体調管理には気を付けましょう。

 

ところで、運動のパフォーマンスをアップさせるには、技術練習もさることながら体力をアップさせるトレーニングも重要です。

技術練習はその場でパフォーマンスが変化するものが多いので、練習の適否がその場で判断しやすいです。

しかし体力はその場で変化を確認することが困難なので、体力アップをはかるトレーニング、特に筋力増強を図るウェイトを用いたトレーニングは、パフォーマンス低下のリスクがあるため、より慎重に吟味する必要があります。

 

例えば腕立て伏せ(プッシュアップ)です。

腕立て伏せを腰を反らせて(骨盤を前傾させて)行うと、大胸筋の収縮がメインとなって体を上下させることができます。

しかし腰の反りが甘いと、上腕三頭筋(腕の後側の筋肉)がメインとなってしまいます。

 

「腕力がつくんだからどっちでもいいじゃない」

「むしろ上腕三頭筋が強くなった方がいいんじゃない?」

 

以上の様にお考えになった方。確かにそれもありです。

そういった目的でトレーニングを行っている方もいると思います。

しかし野球の投球動作や打撃動作、テニスやバドミントンのスマッシュ動作、ゴルフのスィング動作といった末端部(この場合は腕)が高速で動く運動にとって、末端部(この場合は上腕三頭筋)が太くなるとういことは、パフォーマンス低下のリスクがあります。

 

これらの運動で大きく動く腕に筋肉がつくということは、重くなった分だけ腕という末端部を動かすのにエネルギーが必要になるということになります。

しかも高速な運動になればなるほど、伸張反射という脳を介さない運動様式で運動した方が再現性、効率性、共に高い運動が行えます。

要するに上記のような高速な運動では、極力大きく腕自体は軽く、また上腕三頭筋などの腕の筋肉の収縮が意識的に行われることがなく、力が抜けている方がより高いパフォーマンスが期待できるのです。

 

ハエ叩きで例えてみます。

ハエ叩きでハエを叩こうと思ったら、そのハエ叩きの柄の部分が異様に重かったり(上腕三頭筋が太かったり)、叩きにいった瞬間に柄の部分が勝手に曲がったり(上腕三頭筋が収縮)したら、疲れるし、ハエを上手く叩くことも困難でしょう。

柄(腕)はなるべく軽く(筋肉が無く)、しなる(伸張反射する)方が簡単にハエを叩くことが出来るはずです。
 

一流のアスリートや野生動物もそのことを教えてくれます。

 

http://doha.diamondleague.com/news/single-news/news/detail/News/double-olympic-champion-mo-farah-to-kick-off-season-in-doha/より

 

http://www.pz-garden.stardust31.com/kitei-moku/uma-ka/granto-simauma.htmlより

 

筋肉を大きくする意味については、稿を改めて述べさせてもらいます。

【症例】

60代女性 川崎市多摩区在住

 

【初診日】

’16年7月19日(施術回数1回)

 

【現病歴】

昨日(7月18日)の午前中に車に乗り、降りようとした瞬間に左のモモの前後が詰まったように痛み出した。

脚が出づらく、ふくらはぎにまで影響している。

昨晩、お風呂に入り、湿布を貼ったところ、今朝は少しは痛みはましになっている。

階段を降りたり昇ったりするのが辛く、歩くのにも支障がある。

 

【症状の確認】

〈立位〉
前屈(-)
後屈(+)
側屈:右(±)左(-)
回旋:右(-)左(±)

足踏み(+)

階段昇り(+)降り(+)

 

〈仰臥位〉
膝を伸ばせない
膝倒し:右(+)左(-)
股関節の内転ROM:右は十分にあるが、左はほぼ0°

 

【施術】

「左股関節が硬いことが今回の痛みの原因だと思います」と説明の上で、仰臥位で左股関節のストレッチを試みましたが、やや痛みが強いようだったので、揺らしに変更しました。

2~3分程度揺らしを施すと、痛みは残るものの仰臥位で膝を伸ばせるようになりました。

 

次に伏臥位になってもらい、左の臀部、膝窩、足底と日頃からあるという頚肩部のコリをほぐしました。

 

起き上がってもらい状態を確認すると、足踏みでの痛みが軽減していましたが、階段昇降では痛みが変わらずに残っていました。

 

もう一度仰臥位になってもらい、下肢の外側をマッサージし、左臀筋にストレッチを施しました。

これで階段昇降での痛みが改善しました。

痛みが残っていたので、2日以内の来院を指示して初診を終了しました。

 

施術、会計を終え帰られる際に、院前の階段を降りる様子を観察していると、問題なく降りられるようで、本人も「痛みが無い」と仰いました。

 

【その後】

2日後にいらした際には「昨日から急によくなって、今では階段の昇り降りでも歩行でも痛みはない。右頚肩の痛みの方が気になる」とのこと。

実際にその場で足踏みをしてもらいましたが、痛みを確認できなかったので、この日は右頚肩部の施術を行い、左大腿については略治としました。

 

ちょっと前から感じていること。

 

上半身、特に頚肩の症状のほとんどは精神的な部分に起因し、下半身の症状は運動習慣に起因するものがほとんど。

従って、運動習慣があまりない人の下半身の問題は、原因である「運動」が繰り返されないのですぐに改善する。

運動習慣がある人でも、筋力や関節の柔軟性などの問題が見つかれば、その問題を解決する運動を行ってもらえれば、大概の場合、再発することなく治癒へと向かう。

 

一番再発を繰り返すのは、精神的な問題で引き起こされる頚肩こり。

施術でどんなにその場で良くなっても、精神的なストレスが取り除かれなければ再発してしまう。

「運動習慣のない人の朝から辛い頚肩こり」は経験上一番再発率が高いです。

 

仕事や家族、友人との人間関係(精神的ストレス)、消化しにくい物質(主に糖質&食物繊維)の過剰摂取(胃腸のストレス)、締め付けなどストレスフルな衣服の着用、異常に高いor低い気温・湿度(以上、肌ストレス)、過剰or過少な運動、眼精疲労、細胞の材料になるたんぱく質=アミノ酸と脂質不足による栄養失調(以上、肉体的ストレス)、これらの代表的ストレスに心当たりがある方は、一度生活習慣を見直してみることをお勧めします。

【症例】

60代女性 川崎市多摩区在住 主婦

 

【初診日】

’16年7月2日(施術回数1回)

 

【現病歴】

’15年11月から右踵の内側が痛み出した。

その頃ちょうど普段よりも運動量が多かった。

階段を降りる時と夕方に痛みが増す。

 

整形外科ではレントゲン撮影の上、「問題無し」と言われ湿布を処方されたのみ。

整骨院では歩き方に原因があると言われた。

 

【随伴症状】

左の腰が以前から痛む。

甲状腺の腫れを感じ、現在検査中。ただし自覚症状はほとんど無し。

 

【症状の確認】

階段降り:右(-)左(+)

つま先立ち:右(+)

足趾背屈:右(+)左(-)

 

【触診】

○:圧痛あり

×:圧痛無し

右のヒラメ筋部と足の甲、踵の内側に圧痛を検出できました。

 

【施術】

「痛みが良くなれば、方法は何でも構わない」とのことだったので、まずは座位で圧痛を検出した右太谿穴にパイオネックス・オレンジを貼付しました。

10回程度タッピングした後、足趾の背屈で痛みが無くなったことを確認し、階段降りとつま先立ちをしてもらうと、両者共痛みが改善し、つま先立ちでは痛みが無くなっていました。

 

次に仰臥位になってもらい、左右臀筋のストレッチ、右ヒラメ筋部と足部のマッサージを施しました。

ここで再度階段降りをしたもらうと、痛みは無くなっていました。

 

施術後には、極力体を動かすことと1週間後に来院するよう指示して初診を終了しました。

 

【その後】

1週間後の7月9日に来院されましたが、「痛みはほとんど無くなり、階段も普通に降りられる」とのことなのでした。

ならばと腰の具合を伺うと、こちらも今は大したことはないとのことでした。

「では右踵の痛みの再発予防の話をしてもいいですか?」と伺うと、了解していただいたので、まず片脚立ちでのバランスを確認しました。

すると、右脚で立った時の方が不安定だったので、「この不安定さが踵の痛みの根本原因だと思います」、「普段から右脚で立って、右脚を鍛えれば、再発予防になるはずです」とお伝えしました。

 

残った時間で、下肢のストレッチとマッサージを施して第2診を終了し、本症例は略治としました。

帰り際、痛みが無くなったことがよほど嬉しかったのか、「普通に(階段を)降りられる」と仰りながら院の前の階段を降りていかれました。

体幹部を強化する(安定性を高めるなど)目的で体幹トレーニングに励んでいる方は多いと思いますが、

体幹トレーニングで運動中の体幹部の強さ・安定性を向上することは非常に難しいです。

※少しは向上しますが、より効果的なトレーニングは他にもいっぱいあります。

※ここでの「運動」は「陸上での運動」を指します。

 

そしていつもの如く、最初に答えです。

「(フィジカル・コンタクト時の)体幹の力を強くしたい」、「運動時の肩のブレを少なくしたい(体幹部を安定させたい)」という方は、いわゆる体幹トレーニングではなく、ひたすら片脚スクワットやランジといった片脚で行うトレーニングに励んでください。

 

「片脚スクワット」

 

「ランジ」

http://40workout.com/2013/04/walking-lunge/より

 

「クロスオーバー・ランジ」

http://ameblo.jp/motoakikobayashi/entry-11921717910.htmlより

 

特に下記参考動画のサイド・アンド・クロスオーバー・ランジは自重(+クローズド)のトレーニングでは最強だと思います。

 

参考動画(外部サイト)

リバース・ダンベル・クロスオーバー・ランジ

サイド・アンド・クロスオーバー・ランジ

 

【体幹トレーニングで体幹部の能力を向上させにくい理由】

さてここからは体幹トレーニングで体幹部の能力を向上しにくい理由をツトツトと記していきます。

少々分量がありますので、「理由はどうでもいい」という方は、上記のトレーニングを愚直に実践してください。

 

・「体幹部が強い、安定している」とは?

まず「体幹部が強い、安定している」という言葉が、実際にはどのような状態を指しているのかを考えていきたいと思います。

ボディコンタクトや移動方向の切り替えが頻繁にあり、運動中の体幹部の安定性がパフォーマンスの鍵を握るサッカーを題材にして考えていきたいと思います。
現在、過去を含めてもトップクラスに「体幹部が強いor安定している」と言われるであろうアルゼンチン代表・バルセロナ所属のメッシ選手の実際の運動の様子を題材してみます。

※便宜上、地面に着いている側の脚を「軸足」と表現させてもらいます。


☆画像1

こちらはボールを追って敵と競り合っているシーンです。

この場面、メッシ選手(左)の軸足(左脚)は地面に対して45°近く傾いていて、重心が軸脚の外側にあります。バランスを保つことは非常に難しい体勢ですが、重心の移動によって相手を押すエネルギーを生み出しています。

しかし肩のラインはほぼ地面と平行で、「体幹部は安定して」います。

 

☆画像2

こちらは恐らく画像1の直前のシーンです。

メッシ選手(左)は空中に浮いた状態なので、競っている選手#2はこの瞬間にメッシ選手を押せば、自分がボールをキープできるはずです。

しかし選手#2は軸足(右脚)が30°程しか傾いておらず、メッシ選手の様に重心を軸脚の外側に大きくずらすことができていません。

重心移動によるエネルギーが十分に得られず、メッシ選手を押し出すことができなかったのでしょう。次に自分が空中に浮いた瞬間にメッシ選手に押されてしまい、画像1の様にメッシ選手に前に入られてしまったのです。


ちなみに画像1の直後には完全にメッシ選手がボールをキープしています。

 

以上からこの競り合いの場面でメッシ選手と選手#2の違いは、「重心の移動距離(=相手を押すエネルギー)」であり、「メッシ選手の方がより多くのエネルギーを生み出せていた=体幹部が強い」と言えると思います。

「重心の移動距離」を大きく稼げると、「体幹部が強い」という状態が作れるようです。

 

・「重身の移動距離の違い」の原因は?

では次にメッシ選手と選手#2では重心の移動距離が異なってしまった原因について考えていきます。

先ほどの画像に補助線を加えていきます。

 

☆画像1’

緑線が背骨(脊中)、○が股関節、紫線が左右の股関節を結んだ直線、赤線が軸足のだいたいの位置を示しています。

 

☆画像2’

メッシ選手と選手#2でどこが違うのか少し考えてみてください。

 

2つの画像を隣に並べてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

更にヒントです。

肩の先(肩峰)と股関節(上前腸骨棘)を結んだラインは2人共ほぼ長方形をキープしていると思います。

むしろメッシ選手の方が、手で相手を押している分、体幹部は捻じれている様にすら見えます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それでは私江波戸の考えです。

メッシ選手と選手#2では、股関節の内転角度が大きく異なると思います。


☆画像1’’

 

☆画像2’’

メッシ選手は30°程股関節を内転しているのに対して、選手#2は5~10°程度しか内転していません。

この「股関節の内転角度」の違いが「重心の移動距離の差=エネルギーの差」を作り出していたのです。

 

「運動中の体幹部の強さ、安定性」の鍵は「股関節の内転角度の深さ」にありそうです。

※股関節内転が深くなると、重心の位置も下がるのですが、今回は割愛します。

 

・メッシ選手は何故股関節を深く内転できるのか?

次にメッシ選手が股関節を深く内転できる理由について考察していきます。

「股関節を内転させた状態で立つ」ためには、股関節外転作用を持つ筋肉が筋力発揮する必要があります

この作用をもつのが、「中殿筋」と「大殿筋(の外転成分)」です。

『プロメテウス解剖学 コア アトラス 初版』より

右の臀部を後ろから見ています。

 

『プロメテウス解剖学 コア アトラス 初版』より

右の中臀筋と大殿筋を右側から見ています。

 

☆画像3

この瞬間、メッシ選手の右の中殿筋と大殿筋が筋力発揮して、身体が倒れないように支えているのです。


しかも筋肉には「ストレッチされた状態で収縮しようとすると、そうでない時よりも大きな力が必要になる」という性質があります。

トレーニングされている方であれば、上腕二頭筋のトレーニングとして有名なインクラインダンベルカールを想像してもらえれば理解しやすいかと思います。

 

画像3の瞬間、メッシ選手の右の中殿筋はかなりストレッチされた状態で、しかもエキセントリックな筋力発揮を強いられています(よくわからない方は、とりあえず「かなりの筋力が必要」とご理解ください)。

恐らくこの中殿筋と大殿筋の外転成分が異様に柔軟で、かつ強靱な筋力があることが想像されます。

そしてこれらの筋肉を鍛え、柔軟性を向上させるのが、冒頭に挙げた片脚スクワットなどのトレーニングなのです。

 

片脚スクワット」を行うと、骨盤を水平に保つために股関節外転作用が発揮されます。

片脚スクワットしながらお尻の上部(中殿筋)を触ってみれば、筋肉が硬く収縮しているのがわかるかと思います。


・脚の内側への重心移動

 

☆画像4

他方で、上の画像の様に脚の内側に重心を大きく移動させる(方向転換する)ケースがあります。

この体勢ではいくらバランスが崩れても、内側の脚を着くだけでバランスを回復することができます。

そのため今まで述べてきた脚の外側への重心移動と比べると、バランスを保つのが非常に容易なので、「体幹部の強さ、安定性」にはさほど大きな影響はないと思いわれます。

このことはスキーやスケートをやったことがある方でしたら、片足で滑った時に内外どちらのエッジで滑る方がコントロールが難しいかでご理解いただけるかと思います。

 

「アウトエッジに乗った瞬間」

http://inlineskate.jp/howto/basic/8circle_backcrossover.htmlより

 

以上から、「体幹部が強い、安定している」という表現は、「重心が大きく軸足の外側に移動してもバランスが崩れない(立っていられる)」という要素が非常に大きなウェイトを占めていると考えられます。

筋肉の側から表現すると「中殿筋全体と大殿筋の股関節外転部分の柔軟性と筋力が十分にある」ということです。

言葉にすると小難しいですが、要するに画像1・3の状態でも安定して立っていられるということです。

 

・「体幹トレーニング」で鍛えられる部分

さて次に「体幹トレーニング」とはどういったものか確認します。

巷で行われている「体幹トレーニング」の多くは、プランクやサイドプランク、バッグブリッジといった種目で構成されています。

 

「プランク」

https://welq.jp/images/51811より

 

「サイドプランク」

https://www.rankingshare.jp/rank/wrgrqzaizb/detail/8より

 

「バッグブリッジ」

http://www.ehealthyrecipe.com/recipe-webapp/taikan/training_14.htmlより

 

サイドプランクは股関節外転の筋力発揮があるので、中臀筋を鍛えることができます。

しかし、これらの種目は主に腹筋や背筋、腹斜筋といった体幹部に静止状態で負荷を掛ける種目です。

一方、メッシ選手の画像で確認したように、「運動中の体幹部の強さ、安定性」とは「股関節を内転させた状態でバランスを保てる」ことによって実現されます。繰り返しになりますが、このためには「中殿筋と大殿筋が柔軟且つ強靱であること」が最重要となります。

 

以上から体幹トレーニングは腹筋、背筋といった体幹部にある筋肉を単純に鍛えるには(ある程度)有効だと思いますが、「運動中の体幹部の強さ、安定性」を向上させるためには不十分で、片足スクワットやランジの方が有効だと考えます。

 

http://www.fitnessjunkie.jp/archives/2231より

上の様な体勢を取れたからと言って、「体幹部が強い、安定している」となるとは限らないのです。

 

ちなみに軸足と臀筋の関係についての記事でも触れたとおり、多くの場合、利き手、利き足の関係から、利き足側の中臀筋は弱くて硬いことが多く、片足で立った時の安定性も低いです。

そのため、右利きの多くの方は、走る際に右回りより左回りの方が得意です。

眼を閉じてその場で足踏みすると、回転してしまうのもほとんどこの臀筋の左右差によるものと思われます。

http://plaza.rakuten.co.jp/pastaoyama/diary/200807170000/より

 

しかし画像1・2からもわかるとおり、メッシ選手は左右どちらの脚で立っても重心を大きく移動させることができます。このため特に「体幹が強い、安定している」と言われるのだと思います。

もちろんメッシ選手の脚が短く、脚が長い選手よりも重心が低いことも体幹部の安定に貢献していると思いますが、公称170m67kgと小柄なメッシ選手が、180cm以上の屈強な選手を相手にしても上体のバランスを崩さずにドリブルできるのを「脚の短さ」だけに求めるのは、少々強引かと思います。

十分な股関節の柔軟性と筋力による「重心の移動エネルギー」は見逃せないと思います。

 

メッシ選手だけを例に挙げていると、ほとんどの選手が左右の股関節共に安定して立てると勘違いされてしまうと思いますので、最後にかなりハイレベルな選手でも股関節の柔軟性と筋力が左右で異なる例を示したいと思います。

 

ジョーダン・ヘンダーソン選手(イングランド代表リバプール所属・右利き#14)

画像中央がヘンダーソン選手です。

やはりレッズでジェラード選手からキャプテン・マークを引き継ぎ、イングランド代表にも名前を連ねるだけあった、利き足と反対の左脚で立った時は、これだけ不安定な体勢になっても、重心に対して適切な角度、位置に脚を置くことができています。

体幹部は見事にバランスを保っていると言えると思います。

 

左端がヘンダーソン選手です。

一方で利き足の右脚で方向転換すると、股関節の内転が十分に行えないために、重心に対して脚が適切な位置になく、体幹部を無理やり曲げて(左側屈して)重心の移動を図っています。

体重移動の方向が少し異なりますが、右隣のマルシアル選手#9(右利き)と比べると、その差は一目瞭然かと思います。

 

ちなみにヘンダーソン選手は右踵の痛みに長年苦しんでいます。

恐らくこの右脚で立った時の不安定さが、下腿や足部の辺りに無駄な筋肉の疲労やコリを作ってしまい、踵の痛みを引き起こしてしまっているのではないかと私は考えています。

私の普段の臨床でも、シンスプリントや、膝痛といった脚の異常や痛みの多くは、この股関節、特に中臀筋の筋力、柔軟性の低下が根本的な原因となって引き起こされるケースが多いように感じています。
 

※2018年9月28日追記

「【考察】ジョーダン・ヘンダーソン選手の左踵の痛みが起きていない理由」と題して、ヘンダーソン選手の踵痛についても考察してみました。

よろしければご覧ください。

 

「体幹を安定させて、競り合いに強くなりたいor手足にしっかり力を伝えられるようになりたい」、「走る時の肩、目線のブレを小さくしたい」など「体幹部の強さ、安定性」を向上させたいとお考えの方は、体幹部ではなくお尻の筋肉、特に中臀筋を鍛えましょう!!!

 

なおロジカル・エクササイズでは、上記の方法に関する指導も行っています。

 

参考記事

「「インナーマッスルのほうが重要」は誤解 【スポーツ・トレーニングの都市伝説】」

「体幹トレーニングには特別な効果は無いし、ダイエット効果も低いと思う」

「軸足の存在によって生じる臀筋の左右差とその解消方法~ランニング中に起きる膝痛を題材にして~」

「ヒップアップに一番効くエクササイズはこれっ!!!」

 

関連記事

「サッカー選手に必要な筋肉とその鍛え方「広背筋」」

「ジョコビッチ選手のレシーブが強力な理由についての解剖学的考察~構え方とフットワークに関して~」

 

・トレンデレンブルグ歩行で股関節が内転?

最後に少し専門家向けのご提案です。

「中殿筋」、「股関節の内転」と聞くと、多くの整形外科疾患関係者は「トレンデレンブルグ兆候or歩行」を思い出す方が多いかと思います。

この病的歩行は「中殿筋の麻痺によって股関節が内転する」と定義されているのですが、今まで考察してきたように、股関節内転位で立位を保つには中殿筋の筋力が必要です。

恐らくこの病的歩行での内転はごくわずかで、内転させながら歩くことはほとんどなく、すぐに上半身の代償動作(患側への傾斜)を伴うディシェンヌ跛行に移行すると思います。

従って、中殿筋の麻痺は股関節ではなく、肩峰辺りの動揺具合を見た方が容易だと思います。

天下のプロメテウス様でも、そもそも「トレンデレンブルグ兆候」、「ディシェンヌ跛行」という記載しかありません。

『プロメテウス解剖学 コア アトラス 初版』p.431より

この辺りはまたいずれ時間があった時に書きたいと思います。

 

【症例】

40代女性 川崎市多摩区在住

 

【初診日】

’14年9月26日(施術回数2回)

 

【現病歴】

9月23日の夕方から腰がズキズキと痛むようになった。

掃除をしていたことが原因として思い当たる。

医者にはかかっていない。

 

【随伴症状】

ここ2週間左に振り向くとめまいが起こる。

 

【症状の確認】

〈仰臥位〉
膝を伸ばすと曲げている時よりも痛む

足振り:右(+)左(+)
膝倒し:右(+)左(+)
足上げ:右(+)左(-)

※立位がとれなかったので、仰臥位のみの確認

 

【施術】

仰臥位から体位を変えるのも困難だったので、そのまままずは股関節揺らしを施しました。

これで膝を伸ばした時の痛みが軽くなりました。

次に左右の臀筋のストレッチを十分に施しました。

これで足上げと膝倒しでの痛みが無くなり、座位が取れるようになりました。

座位のまま鼡径部を指圧すると、立位が取れ、歩行もできるようになりました。

 

コルセットを持っているとのことだったので、着用の上、動ける範囲で動くよう指示して初診を終了しました。

 

「第2診」’14年9月29日(初診の3日後)

 

【症状の経過】

「洗顔や靴下を履く動作が怖く、通勤で立っていると痛みが出た」

「トイレに屈むのは問題ない」

 

【症状の確認】

〈立位〉
前屈(+)
後屈(+)
側屈:右(-)左(-)
回旋:右(+)左(-)

 

〈仰臥位〉

膝倒し:右(+)左(-)

足上げ:両脚(+)

上体起こし(-)

 

【施術】

股関節揺らし、左臀筋のストレッチを施すと、右への膝倒しの痛みが軽くなりました。

仰臥位のまま「痛む」という腎兪付近を指圧すると、足上げでの痛みが無くなりました。

立ってもらい状態を確認すると、前屈、後屈、右回旋での痛みが無くなっていました。

 

【その後】

「仕事で重い物を持った」ということで、’16年5月25日に約1年半振りに腰の痛みを訴えて来院される。

臀部を中心にマッサージやストレッチを施すことで痛みは改善。

昨日、府中市民球場で行われた母校の試合の応援に行ってきました。

 

試合前のキャッチボール、ノックを見る限りでは「こりゃヤバいな」と後輩とはなしていたくらいでしたが、

 

高めに浮いてくる相手投手の球を見事に打ち返し、守備の乱れを見逃さずに効果的な得点で5点のリードを奪います。

 

序盤、中盤と相手打線を圧倒していた先発の米山投手。

5回裏、先頭打者のライナー性の打球を好捕した左翼の桜井選手のファインプレーも大きかったですね。

 

終盤、米山投手にやや疲れが見え、守備にもミスが出て得点を許しますが、大きくは崩れず最少失点に抑えます。

 

この試合最大のハイライトは8回裏、二死満塁で迎えた五番バッターのライナー性の右飛を右翼の出町選手が前身しながら好捕!

(我ながらよく撮れたなと思います(^^;))

 

9回は危なげない投球で三者凡退に抑え、6-2の勝利。

 

次戦は今日行われる四商と法政大高の勝者との対戦です。

今日の様なミスをしていると、勝機を逃してしまう厳しい試合になるかと思います。

ベストコンディションで臨んでほしいところです。