Numberより http://number.bunshun.jp/articles/-/152568
「フリー走行2回目終了10時間半後から、フリー走行3回目開始3時間前までの間はサーキットにおいて車体の整備を行うことを禁止する」
これは今年から新たに定められたレギュレーションである。
つまり、グランプリ初日(金曜日)のフリー走行が終わった午後3時半から10時間半後となる深夜2時から翌朝8時までは、サーキットでの仕事を禁ずるというものだ。
コンピュータによる車体の走行データ解析技術と通信環境の発達が進んだ現在のF1は、フリー走行で得たデータをサーキットから各国のチームが構えるファクトリーへ送り、高速のコンピュータによって精密に解析し、かつさまざまなシミュレーションを行ったうえで、最適だと思われるデータをサーキットへ送り返して、土曜日以降のセットアップを行っている。
したがって、サーキットの現場で働くスタッフたちだけでなく、ファクトリーの叡智を結集した総合力が重要で、トップチームが大崩れしない理由もここにある。
新しいレギュレーションはこのような過度に進んだ情報合戦を食い止めようと定められた。
新レギュレーションに苦しんだ、HRTやヴァージンなどの下位チーム
ところが、いざ蓋を開けてみると、この新レギュレーションに苦しんだのはトップチームではなく下位チームだった。
シーズン開幕前のウインターテストで1周も走行できなかったスペインのHRTはぶっつけ本番で開幕戦を迎えたためメルボルンでは開幕前夜から毎晩のように徹夜作業を行ってもなかなか追いつかない。HRTと同様、参戦2年目のヴァージンもトラブルが相次ぎ、金曜日の夜は毎戦作業が遅くまで続いた。
そのため、FIAは救済措置として、「年間4回までは自由に作業しても良い」という時間外労働枠を作った。
そして、その枠をHRT、ヴァージンに続いて、第11戦ハンガリーGPの金曜日の夜に採用して徹夜でセッティング変更を行ったチームがあった。
それはレッドブルだった。
ベッテルは好調なのにトップタイムが出ないレッドブル
フリー走行1回目で濡れた縁石に足をすくわれてウェバーがクラッシュするというアクシデントにこそ見舞われたものの、チームメートのベッテルには特に問題がなかったはずだった。にもかかわらず、レッドブルは初日2つの練習走行でいずれもトップタイムを記録することができなかったのだ。彼らが初日にトップタイムをマークできなかったのは第4戦トルコGPと第7戦カナダGP以来のことである。
過去の2回はいずれもフリー走行1回目にベッテルがクラッシュして、予定していたプログラムを変更しなければならなかったためという明白な理由があった。しかし、ハンガリーではベッテルに大きな問題がなかったにもかかわらず、タイミングモニターの最上段にレッドブルドライバーの名が載ることはなかった。
レッドブル陣営はハンガリーGP初日、明らかにセットアップを外していたのである。
ついにレッドブルが切った「時間外労働枠使用」というジョーカー
そこでレッドブルは金曜日の夜に、年間4回しか許可されていない「時間外労働枠を使用する」というジョーカーを切る決断を下した。
通常であれば、金曜日のフリー走行後に大きくセッティングを変更したとしても、深夜1時ぐらいまでには作業は終わるという。それがジョーカーを切って、ベッテルのセッティング変更を朝方までかけて行った。
チームメートのウェバーは「確かにセブ(ベッテルの愛称)はかなり大がかりな変更をリアサスペンションに行った」と言い、ライバルチームの関係者は「何か新しいパーツの到着を待って行った可能性がある」と見る者までいた。
いずれにしても、レッドブルはこのセッティング変更が功を奏し、ベッテルがフリー走行3回目でトップタイムをマーク。予選でも最後のアタックでハミルトンを逆転してポールポジションを獲得した。
しかし、このレッドブルに対して、翌日のレースで別なカードを切ってきたチームがある。
マクラーレンだ。
複雑な要素が絡み合ったハンガリーGPのレース展開
マクラーレンは、金曜日のフリー走行でハミルトンが2つのセッションでトップタイムをマークし、好調な滑り出しを見せていた。そして、その走行データを重視し、2種類あるタイヤのうち、「硬いほうのプライム(ソフトコンパウンド)なら28周までロングランは可能」(今井弘/タイヤ担当シニアエンジニア)だと弾き出していたのである。
70周で争われるハンガリーGPは、スタート時の路面コンディションがウエット状態だったため、全車インターミディエイトタイヤを装着してスタートした。
その後、路面が乾きだし、10周過ぎからインターミディエイトからドライタイヤへ交換され、24周目からは早くもドライタイヤからドライタイヤへの交換作業が始まった。
雨上がりということで、グリップ力がいつも以上になく、フロントタイヤの摩耗が激しくなっていたからである。
そのため、3回目のピットストップもラップタイムが落ちる前に早めに行って、相手よりも先のポジションを得るというアンダーカット戦法が積極的に採られ、レースは4回ストップ作戦の様相を呈してきた。
しかし、上位陣が全員ピットインしてもコースにとどまっていたドライバーがいた。
それがバトンだった。
上位陣が揃って4回ストップの中、バトンだけが3回ストップを選択
このとき、バトンはベッテルの前、2番手までポジションを上げていた。そこでチームは最後の28周をプライムで走行させるために、バトンの3回目のピットストップを42周目まで延ばしていたのである。
そして、チームメートのハミルトンやアロンソ、ウェバーらが4回ストップを行う中、3回ストップ作戦というカードを切ったバトンが逆転優勝。200戦目のレースに花を添えた。
結果的にレース中盤に4番手までポジションを下げていたベッテルも、3回ストップを採って2位でフィニッシュした。もしマクラーレンが「3回ストップ」を採っていなければ、優勝はベッテルの手に渡っていたかもしれない。
適切なタイミングで正しいカードを切らなければ、レースに勝つことができない。
シーズン折り返し点を過ぎた上位2チームの戦いは、それだけ拮抗している。果たして、次はどんなカードが切られるのだろうか。
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