不動産管理会社の設立と税効果(上) 東京シティ税理士事務所 坂本晴良
Q:現在、個人で不動産賃貸業をし、毎年、不動産所得の確定申告をしていますが、会社を設立したほうが節税になると聞きました。会社設立の方法としてはどのような方法があるのですか?
1.不動産管理会社の種類
不動産賃貸業を会社経営で行なうには、主なものとして会社が建物管理だけを運営する方法(管理受託方式・サブリース方式)と、建物を所有して管理を行なう方法(建物所有方式)があります・・それぞれの場合によって税務上のメリット、デメリットがありますので慎重に検討する必要があります。
2.会社経営のメリット
不動産賃貸業を会社経営にした場合、「会社の社長になれる」「代表取締役の身分になれる」といった肩書きだけでなく次の所得税と相続税における節税面のメリットがあります。
①所得税対策
個人で不動産賃貸業を行なう場合、収入金額と必要経費の差額が不動産所得となり、この所得が所得税の対象になります。
たとえば収入金額が年1800万円、経費が800万円の場合には、差し引き不動産所得は1000万円ということになります・・これを会社経営で行なった場合でも法人税の所得金額の算出方法は、ほぼ同じですからこのままでは1000万円に対して法人税等が課されてしまいます(40%)。
そこで、この1000万円を役員報酬として支払う事によって会社の所得が無くなり法人税等は課税されなくなります・・この場合1000万円の役員報酬に対して所得税の計算上220万円の給与所得控除が受けられます。
つまり個人経営の場合には、不動産所得が1000万円生じるのに対して会社経営の場合には、この1000万円を役員報酬として受取る事によりトータル所得を給与所得780万円に圧縮できる事になります。
また、家族を役員として役員報酬を分散した場合は、更に給与所得控除が増えますので節税効果が大きくなります・・たとえば先のケースでは1000万円の役員報酬を500万円づつ2人に支払えば2人合計で308万円の給与所得控除が受けられ所得の分散が図れます。
更に所得税は、超過累進税率(所得が多くなればなるほど税率も高くなる)ですので会社経営にする事による所得の分散が図れる事で超過累進化税率の適用を低く抑えることが可能となります。
個人で不動産賃貸業を事業的規模(戸建は5棟、アパート等は10室以上の貸付)で行なう場合場合において、その個人が青色申告者であるときは、家族へ支払う給与は青色専従者給与として経費にする事が可能となりますが、支払う事のできる人は「専従」している人に限られ、かつ、支払額もあらかじめ税務署に届け出た金額までと限定されています。
したがって会社経営にして役員報酬として支払ったほうが柔軟性もありメリットも大きくなってきます。
②相続税対策
前述の所得税対策は、親世代に家賃がたまり続ける事による所有者の資産の増加を抑え(相続財産の蓄積の防止)、小世代の財産作り(相続税の納税資金の準備)にも効果が有ります。
また親世代の現金を不動産化(または借入金で不動産購入)することは相続税評価額を軽減することができるため有効です。
ただし会社の株主が親になっていると会社の利益が蓄積されることにより株主である親の資産が株価の上昇ということで増えてしまい相続対策とならない事になります。・・したがって株主には子供がなる事をお奨めします。
3.会社経営のデメリット
一方、会社経営にすることにより生じるデメリットには次のようなものがあります。
①会社の設立費用がかかる
株式会社の設立費用で30万円ほどかかります。
②運営費用がかかる
会社経営では個人の所得申告よりもしっかりした帳簿組織で運営することが要求されます・・経理や税務の知識は税理士などの専門家の手を借りなければなりません。
それ以外に法人は、所得が無くても均等割(最低70,000円)という住民税がかかりますので、あまりにも家賃収入が少ないと経費倒れになってしまうという危険もあります。
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