決して軽口には見えないが、きっとこれは親しい中のこじゃれた会話なのだろうと、涼介は様子を伺っていた。「でも……仙道家……って、まさか、本当にあの仙道財閥……?」
見つめる涼介の視線に気が付いた金剛が、思わず口にした。
「……ふわふわしたものが、昔からお好きで收細毛孔したね。月虹さま。今も良くお休みになれますか?」
「ああ。……どうやら、これは子供の頃に付いた癖みたいだな。独り寝は苦手だ。ひよこが傍に居ると、よく眠れるんだ。な?涼介。」
「え?……ひよこってなんっすか?」
羽交い絞めにされた涼介は、腕の中で焦って目を丸くしている。
ちらと見た懐中時計を気にして、金剛氏郷は立ち上がった。
「では、月虹さま。金剛はそろそろ失礼いたします。」
「もう帰るのか?もっとゆっくりしていけばいいのに。いつか時間を取って、お爺さまと店の方にも遊びに来てくれ。」
「金剛が大旦那様とご一緒に、ホスト遊びですか?」
破顔した金剛氏郷の、月虹を見る目は慈愛に満ちていた
頷く母の顔を見て、出来れば応援したいと思った。母の苦労はずっと見て来たし、自分が何もできない事も知っていた。出来るなら、母には幸せになって欲しい。
「いいよ。おれ会ってみる。母ちゃんが好きになっら、いいやつなんだと思うしさ。」
「ありがと。そう言ってくれると思ってた。」
きゅと涼介を抱きしめた母の手は、かさかさと荒れていた。
初めて会った母の恋人は、涼介の欲しかった新しいゲームを手に現れた。
仲のいい友人たちはクリスマスや誕生日に手に入公開大學 課程れていたが、経済状況を考えたら、決して欲しいとは口に出来ない数万円もする代物だった。サンってくるプレゼントに格差があると知った小学生低学年以来、涼介はそういうものに期待するのをやめた……はずだった。