今回は中国のスマートフォン事情についてお話し致します。

 

現在、中国においてスマートフォンに関する大きな話題が2つ存在します。ひとつは、Huaweiが新製品を発売したという出来事です。もうひとつは、Appleが新製品を発売したという出来事です。おそらく、多くの方が既にご存じかと思いますが、中国共産党は公務員や国営企業の従業員に対し、iPhoneの使用を禁止する方針を打ち出しました。また、アメリカ政府も中国のスマートフォンについて長らく危険性を指摘しており、中国共産党がこのような措置をとることは予想されていました。こうした決定が中国全土に波及すると、iPhoneの売上に非常に大きな影響を及ぼし、Appleの業績にも悪影響を及ぼす可能性があるため、株価も相応に反応しました。共産党が公務員や国有企業の従業員に対してiPhoneの使用を制限する影響が、一般の中国人にどのような影響を及ぼすかが注目されています。

 

そして、Huaweiが新製品を発売したことから、中国国内でiPhoneではなくHuaweiのスマートフォンを選ぶ動きが生まれるかどうかについてもご紹介したいと思います。まず、iPhoneの人気についてですが、9月22日の朝8時に販売が開始された際、北京では実際のところ朝1時であるにもかかわらず、朝早くから列に並ぶ人がいました。上海では朝5時から列ができたとのことです。競争が激しいため、早く並ばないと長い列ができ、購入できない可能性もあるため、iPhoneの人気はまだ衰えていないと言えるでしょう。なお、早朝から列に並ぶ人々は、自分で使用するのではなく、転売を目的としている可能性が高いと言われています。

 

ネット上の評価についても確認しました。中国のSNSで、「あなたはiPhone15なのか、それともHUAWEIのメリットでいいのかな?」といったスレッドが存在し、そこではアンケートが行われていました。その結果、Huaweiの方が好評と答えた人が13万人に対して、iPhoneを希望する人は9.6万人でした。つまり、HUAWEIの方が多いものの、iPhoneは相当な人気を持っていることが分かります。要するに、中国の人々はApple製品が好きであることが明白です。

 

注目されたのは、Huaweiのトップ人物であるにもかかわらず、Apple製品を使用していることです。中国人にとって、自国製品を評価しないという考えは昔から存在し、結局、中国人自身が中国製品に対して不信感や、まだ発展途上という意識を抱いている可能性があると言えます。Huaweiが新製品を発売した際に、同時期にiPhoneの新製品も登場しましたが、Huaweiが圧倒的に優れている状況にはなっていないようです。

 

かつてはアメリカの制裁が厳しく、最先端のスマートフォンを製造できないとされていましたが、突然新製品を発売したことで、技術的な側面からこのスマートフォンがどのようなものかが注目されています。特にアメリカからの制裁があったにもかかわらず、中国国内で生産されるはずのないチップが使用されているのではないかという疑念が広がっています。このスマートフォンが発売された直後、Huaweiのスマートフォンに搭載されていると言われていたチップは7ナノメートルのものだとされていましたが、後日の記事をいくつか読むと、実際に7ナノメートルのチップが使用されているという情報が確認できます。多くの記事で同様の情報が報じられているため、この点に関しては既に解明が進んでいると思われます。

 

それに続いて、このチップがどのように製造されたのかが謎として浮上しています。なぜなら、中国には7ナノメートルのチップを製造するための装置が存在しないと考えられているからです。具体的には、オランダのasmlという企業が製造している極端紫外線リソグラフィー装置は、中国には入手されていないはずです。そのため、この点についてさまざまな仮説が存在します。一つは、asmlのリソグラフィー装置を第三国を経由して入手した可能性です。

 

しかし、この装置は非常に高価であり、第三国を経由していてもトレースが可能であると考えられます。さらに、装置だけではなく、さまざまな薬剤、初期設定、ソフトウェアなどが必要であり、最先端の製造装置が中国に流入した可能性は低いという意見もあります。したがって、中国が独自にasmlの極端紫外線リソグラフィー装置と同等のものを開発した可能性も考えられますが、それも難しいとされています。

 

というのも、リソグラフィー装置は高度な技術が結集されたもので、容易に模倣できないからです。このため、最先端の装置に関してはasmlが独占していると言えるでしょう。したがって、最も可能性が高いとされるのは、7ナノメートルのチップを製造するための最先端の極端紫外線リソグラフィー装置ではなく、以前のリソグラフィー装置を使用して、理論的には3ナノメートルのチップも製造できるという説です。この説は、アメリカが中国への半導体供給を制限した際に議論されたもので、このような手法を用いると、エラーが発生しやすく、歩留まりが低下し、収益性が悪化する可能性が高いため、採算が合わなくなるかもしれないとされています。

 

ただし、中国が何らかの改善を施し、歩留まりを向上させ、大量生産が可能になった可能性も考えられます。もしそれが事実であれば、中国は技術的な側面で大きな進歩を遂げたことになります。他にも韓国から購入した可能性など、さまざまな仮説が存在しますが、現実として、中国は何らかの方法で3ナノメートルのチップを入手できる状況にあることは間違いありません。今後、アメリカはこの事象の原因を解明し、対策を講じるでしょう。

 

 

ちなみに、現在は3ナノメートルのチップを実用化する段階に入っており、限界に近づいています。したがって、半導体業界においても、技術革新のベクトルが別の方向に向かうことが予想されます。例えば、素材を変えたり、新しいパッケージング技術が登場するか、そうでなければ性能向上は難しいと言えるでしょう。半導体業界でも、医療分野と同様に、近い将来、大きな転換点を迎えることでしょう。