唾液は嫌われ者!? | 口腔乾燥症ドライマウス 唾液過多症(流涎) 味覚障害 嚥下障害
[ためになるお口の話(1)唾液は嫌われ者!? 口内環境、きれいに保つ]

(北海道新聞  2011年6月1日)


みなさんは、口の中に「唾液」という液体があるのをご存じですね。
口の中をいつも潤し、物を食べたとき、湧き出てくるあの液体です。
いわゆる「ツバ」ですね。

この唾液、大切な働きをしているのですが、あまり知られておらず、
ほとんどの人にとって「くさい」「汚い」「気持ち悪い」の3Kのイメージを
持たれているようです。
唾液を冠した言葉も「天にツバする」「ツバも引っかけない」「唾棄すべき」
「眉ツバもの」「虫唾(むしず)がはしる」など、ろくなものがありません。



嫌われ者の唾液ですが、私たちが物を食べたとき、唾液が食べ物のうま味を
溶かし出してくれるからこそ、おいしく味わうことができます。

また、唾液は消化管の入り口である口を浄化し、その環境を維持していく
働きを担っています。

唾液が少なくなることは、唾液が本来持っている機能を損ない、口の中の
“砂漠化”を促進します。

もし私たちの唾液の量が半分以下になったら、食事の際、物を噛んだり飲み
込むのに苦労するようになります。
また、口の中がいつも乾いて、ひりひりべたべたするだけでなく、歯茎から
血が出やすくなり、口臭も強くなります。
ひどくなると食べ物の味が分からなくなったり、口の中の痛みや渇きで夜も
眠れなくなることさえあります。


現代人の食生活やライフスタイルは、ストレスなど口の中を砂漠化させる
要因に事欠かきません。
この連載では、唾液の持つ不思議な働きや口腔乾燥症、口臭など、唾液から
見たお口の健康に関するトピックを紹介していきます。
どうか、おつき合いください。




(北大病院歯科診療センター講師  兼平孝先生)