[味覚障害<お年寄りの病気>]
(gooヘルスケア)
<味覚障害が起こる原因>
私たちは、唾液に溶けた物質が口のなかにある味蕾(味を感じる受容器)と
接触し、さらに関係神経を介することによって味を感じます。
味覚障害は、唾液分泌、口腔粘膜、味蕾、関係神経の障害などによって起き
ます。
味に関わる因子には、味覚以外に、香り、舌ざわり、歯ざわり、温度、審美、
食欲、加齢など多様なものがあります。
味覚障害の原因には次のものがあります。
(1)亜鉛欠乏
亜鉛は、体にとって必須の微量元素(ミネラル)で、普通に食事をとって
いれば欠乏することはありません。
しかし、薬剤、亜鉛代謝異常(腎臓障害など)、あるいは食事量の減少に
よって低亜鉛症となることがあります。
薬剤による味覚障害では、味覚異常、味覚減退、苦味が増すなどが生じます。
亜鉛キレート作用(薬剤が細胞への亜鉛の取り込みを妨げること)により
亜鉛が欠乏して味覚障害を起こしたり、薬剤による口の渇きから苦味を感じる
ことがありますが、障害を起こす原因が不明な場合も多くあります。
腎障害では亜鉛の吸収が悪くなったり、尿毒素が味蕾に影響を及ぼして味覚
障害が起きることがあります。
(2)神経障害
(2-1)末梢神経障害
味覚に関わる神経は、舌の前方3分の2あたりにある鼓索神経(顔面
神経)、舌の後方3分の1あたりの舌咽神経、軟口蓋の大錐体神経
(顔面神経)です。
これらの神経に障害があれば、味覚障害を起こすことがあります。
(2-2)中枢神経障害
脳腫瘍、脳卒中などによって味覚障害を起こすことがあります。
(3)風味障害
感冒(かぜ)などに伴う嗅覚障害は味覚障害と密接な関連があり、併発すると
食物の香りも味もよくわからない風味障害を起こします。
また、高窒素血症の場合はアンモニア臭を起こすことから、風味障害を起こす
ことがあります。
(4)味蕾への障害
(4-1)口内炎、口腔カンジダ症
口腔粘膜の働きに影響を及ぼすため、味覚障害を引き起こします。
(4-2)放射線照射
腫瘍の治療のために口腔に放射線照射を行うと、高度の味覚障害が
起きます。
(4-3)口腔乾燥
口が乾燥すると苦味を感じます。
口が乾燥する病気にシェーグレン症候群があります。
(5)高齢
高齢に伴って次のような変化が起きます。
(5-1)唾液分泌の減少
唾液には味の分子を溶かす作用があるので、唾液の分泌が減れば味が
変わります。
高齢になると、多くの場合は唾液の分泌が減少します。
(5-2)味蕾
加齢とともに減少します。
(6)食事
偏食や食事量の減少があれば、亜鉛摂取量も減ります。
(7)内臓機能の衰え
亜鉛を消化吸収する機能が落ちれば、亜鉛摂取量も減ります。
その他、原因がわからないものもあります。
<味覚障害に関する検査>
(1)自覚的味覚機能検査
(1-1)電気味覚検査法
味覚に関係する神経(鼓索神経、舌咽神経、大錐体神経)に通電し、
金属味を感じる時の通電流値を測ります。
(2)濾紙ディスク法
直径5mmの濾紙に、濃度の異なる味液(ショ糖、食塩、酒石酸、
キニーネ)を浸し、味覚を感じる神経があるところに置き、味覚を
検査します。
(2)血清亜鉛値
70μg以下では亜鉛製剤を投与します。
<受診について>
味が変だと自覚したら、耳鼻咽喉科を受診してください。
神経に主な原因がある場合は神経内科を受診してください。
原因を明らかにし、必要に応じて治療を受けましょう。
(執筆者:山口雅庸)
http://health.goo.ne.jp/medical/search/102C0400.html
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