奥新川森林鉄道 完結編 | 東北式鉄写録 ~更新停止~

奥新川森林鉄道 完結編

※このレポは相当長いです。しかも、多くに廃分が含まれており、廃線等に興味がない人はスルー推奨。


さて、奥新川の森林鉄道のレポもようやく最後になります。


さて、今回の行程の収束部分にあったものとは?




前回、我々は仙山線面白山隧道入り口近くのコンクリート構造物が存在する地点で休憩をした。


しかし、ここが終点ではなく、軌道跡は更に奥に向かっていたのだった。


因みに、この日、ここで私が食べた昼食はサンクスの「焼きたらこ」と「鮭」のおにぎりである。


隊員T氏は何故か大盛り焼きそばをここまで持ってきて平らげ、他の二人の隊員は普通にパンだった。


こんな山奥で、皆、それぞれ思い思いの昼食を食し、更なる奥地へと進んでいく。



出発してすぐ、大規模な切通が現れた。

いかにも人工的な岩の刻み方、ここに人間が何らかの作用を加えたことが伺える。


そして、この様な遺構こそが、ここが単なる山道ではなく、軌道跡であったことを教えてくれるのだ。

(単なる山道なら、ここまで大規模では無いと思われる。)



我々の歩いている足場は、このように石垣が積まれている。


やはり、コレも軌道の路盤強化のための施工なのだろう。


それにしても、軌道廃止後、何回の冬を乗り越え、大雨に晒されたのだろう。


石垣は未だ健在で、我々の行程をスムーズなものにしてくれた。


そして、この辺りの地面は少しぬかるんでいる。


ぐちょぐちょしながら、我々は黙々と進んでいる。


面白山隧道を過ぎれば、終点もあと少しのはずなのだ。(多くとも1km程度)


さて、ここで私はT氏に呼び止められた。


「ねぇ、東北式よ。これ・・・・。」


ガサッっと濡れた落ち葉をT氏は足で避ける。


そこから現れたものとは・・・・・・・。










「枕木」様ご光臨!!!!!!


ここにきて、ここにきてとうとう我々は鉄道らしいものを発見した。


写真に撮ってないのが惜しいが、この枕木が、ほぼ等間隔的に軌道跡上に現存。


なかには犬釘 が刺さったままのものが残っていた。


ただの板切れではない、犬釘と言うことで鉄道跡という事実が完全に証明されたようなものだった。


私は、この時から、一人で


「枕木♪枕木♪ま・く・ら・ぎ♪」


と、壊れたレコーダー状態になってしまった。


他の隊員に話しかけられても、


「何?枕木?」


と返答して、メンバー一同に苦笑いを浮かべさせる当チームリーダー東北式。


そして、こんな調子で進んでいたら、突然路盤がなくなる。


川だ。


今まで森林鉄道と平行してきた沢がとうとう、我々の行く手を遮ることとなる。



しかも、この河原に下りるためには、およそ3メートルの高さの岩肌を降りなくてはならない。


万事休す?


まさか?ここで?


しかし、私は某サイトに書いてあったアレのことを思い出した。


そう、確かこの地点、河原に降りるために何者かがくくりつけたロープが垂れ下がっているはずなのだ。


その存在を思い出し、周囲を捜索する。


あった。


トラロープ一本。


これで、我々の体重は支えられるのか?


さて、私は一番最初に降りて状況を把握する人柱である。


湿り気を帯びた苔むす岩肌は、とても滑り易かったが、ロープに支えられ、どうにか河原に到達。


メンバーに降りれると告げる。



一人ひとり、ゆっくり降りてくる。



流石はT氏、一番、様になってる。


この部隊の一番の登山経験者で、自称「熊の気持ちが分かる」と言うだけのことはあろう。


さて、対岸には軽く軌道跡のような平場が一定の高さで続いている。


そこで、この目の前の川を渡らねばならなかった。


我々は推進が浅いこの川で、無駄に水に濡れるのが嫌で、大きな石を川に投げ込んでその上を渡った。


そこで幼稚な我々は、その投げた石によって飛び散った水がかかったのどうこうと言うことで、お互いに川に石を投げ込み、結局はメンバー皆が頭の上から濡れると言う本末転倒な状態となる。


しかも、結局石何ぞで渡れるわけも無く、皆が靴も濡らしてしまう。




さて、川を渡り、平場に取り付く。


そこに立った瞬間気が付いた。


気が付いてしまったのだ。


一回、目をそらし、もう一回見る。

















こ、これは・・・・・・・。






まさか・・・・・・・!!?












「レール」様ご光臨!!!!!!!!!!



レール現存確認!!!!!!!!!


奥新川の中心で「レール」と叫ぶ。



この興奮といったら無い。


何せ、レールがそこに在ったのだから。


これに萌えずに何に萌える?



この辺りから、レールは本当に殆どそのまま残っているようだ。


それくらい、そのまんま。


一部、路盤の崩落によってこのように川の方に落ち込んでいたりするが、二本のレールはそのまま奥へと我々を誘っていた。


この頃から、私は


「レール♪レール♪れ・い・る♪」


と壊れたテープレコーダー状態である。


もう、他のメンバーは突っ込みすらしなくなった。



繋ぎ目部分でバッツリ折れてる軌道。


良いよ、この断面、どう見てもレールだ!!!!!!


それにしても、林鉄の繋ぎ目は結構適当と言うか、本当に簡単な物なんだな。


まぁ、軽便鉄道だから、コレで良いんだろうけど。


それに、レール自体も仙山線の半分程度の大きさだ。



レールが見えるだろうか?


このように、地面に敷かれたまま、レールはこの地で眠っている。

更なる萌えポイントが現れる。




カーブ!!!


二本のレールが、きっちりカーブしている姿が見えるだろうか?


このカーブの先から今にもロコに引っ張られて丸太を満載したトロッコが走ってきそうだ。



枕木もたっぷり苔むし、廃止からの年月を語ってるようだ。



おっと危ない。


脱線だ。


このように、路盤が一部川に飲み込まれている部分も珍しくない。



川の対岸にも上流から流れ着いたのか、レールが散乱している。




ガラガラと崖は崩れる。


軌道は瓦礫に埋もれ、一部路線運休!!




もう、こういう光景、言葉も出ません。



こ、これは・・・・・橋の跡?


明らかに木材が散乱している。


軌道はここを橋でわたっていたのだろう。



宙ぶらりんのレール。


橋台もしっかりいている。



時折、レールは空中を走る。


長い年月で、元々ギリギリを走っていた林鉄軌道は、次第に川に飲み込まれるのか。


そして、終点へ。



レールは×を描き、沢に落ち込んでいた。


ここの時点で、前回我々が設定した折り返し時間まで10分を切っていた。



対岸の景色。


軌道が続くなら、この先にあるはずだ。




ん?


ズームする。



残ってやがる・・・・・。



こんな感じでやはり橋で渡ったのだろうな。


しかし、あそこに取り付くには、再び川に降り、渡り、そして今度は沢登りになりそうだ。


正直、メンバーの疲労も隠しきれない。


残りは10分無い。


悩んだ。


行きたい気持ちもあるが、こんな山奥で日没前に原付を置いた場所まで戻れなかったら?


それが恐い。


今回は、私一人での探索でもない。


私は言った。


「お疲れ様。今回はここを終点としよう」


「お疲れ~」


皆、私が止まるのを待っていたかのような「お疲れ~」だった。


うむ、すまない。


私の遊びにここまで付き合ってくれてありがとう。


帰還します。



何本かの仙山線をやり過ごし、我々は原付を置いた場所まで戻る。


途中、遊歩道部分を散策しようと言うことで、少し遠回りして帰った。


この奥新川の遊歩道部分には吊り橋が架かっているのだが、実は、この吊り橋の中には骨組みを林鉄のものと思われるレールで作ってあるものが多い。


是非、奥地までレールを見には行く気が起きない人は、この遊歩道の吊り橋などを注意深く見られたし。


割と簡単に林鉄規格のレールが見られるだろう。



原付を手に入れ、我々が奥新川の駅に戻ってきたら、ちょうど風っこ仙山もみじ号がいた。


ちょうど芋煮シーズンで賑わう奥新川。


一年で一番この地が賑わうであろうこの時期の奥新川駅から、たくさんの乗客がこの列車に乗り込んでいった。


この列車を見送り、再び原付に跨り、我々は家への道を走り出した。


ありがとう、奥新川。


そして、新川森林鉄道の軌道跡よ。


良いものを見せて貰ったよ。



またいつか来ることを誓って、今回の奥新川森林鉄道探索レポを締めたいと思う。




次回があるなら、「定義森林鉄道跡を探索せよ」をお送りしたいと思います。