奥新川森林鉄道 第二部 | 東北式鉄写録 ~更新停止~

奥新川森林鉄道 第二部

※このレポは相当長いです。しかも、多くに廃分が含まれており、廃線等に興味がない人はスルー推奨。



さて、第二部でございます。


第一部 をご覧になってからお読みくだされば、話の概要はつかめると思います。





さて、前回はこのシーンで終わったわけです。


更に奥に進みます。


今まで殆ど綺麗に崩落も無く(勿論、橋梁等は落ちているのですが)、割と平坦なところを歩いてきた我々だが、流石に奥に進むにつれて、路盤上にがけ崩れがのしかかっている部分が目に付くようになってきた。



このように、楽に越えられる場合なら良いのだが、いかんせん、楽だけれども恐い。


森林鉄道という特性上、結構凄いところを走っていて、これも壁と反対側の谷の側は、それこそ落ちたらリカバリーなんぞ出来ないんじゃないかという光景が広がっていた。



そういう部分を除けば、割と楽にすすめる平坦な平場がずっと続いている感じだ。


それにしても、人間が切り開いた部分と言うのは、ほんの数十年程度ではなくならないもんで。


だからと言って環境破壊というわけでもなく、新しい環境が生まれてるんだなと実感させられることがある。


この上の写真を見てもらえば分かるが、ここはシダ系の植物が多い。


同じような場所にあっても、植物の形態に変化があって、そういうのを見ながら「シダ、シダ、シダ地点で御座います」と一人でノリノリだった私を、他のメンバーは苦笑いしていた。


因みに、他のメンバーも、こんな奥地に連れてこられて、そろそろ観念したらしい。


さて、歩きやすい部分を進んでいくと、森林鉄道は再び仙山線に接近する。


これが厄介なのだ。


仙山線は現役のJRの路線。


皆さんも知っているように、山形と仙台を結ぶ路線だ。


最近はバスに圧されて影は薄いが、それでもかつては貨物が走ってたり、それなりに重要な路線であると思う。


さて、そんな路線の線路に近づくと、勿論、線路脇だからある程度開けている。


開けていると言うことは、日が当たる。


日が当たるということは、植物が元気になる。


今までの路盤は回りに高い木がかなり生えていて、路盤上は陰になってる部分が多かった。


だからこそ薮にもならず、歩きやすかったのだが・・・・・。


そう、仙山線に再び接近した頃、猛烈な藪化が進んだ地点に差し掛かってしまった。



(この写真から何も指摘されずに石垣に気づけましたか?)


季節は秋。


とは言っても、夏にぐんぐん伸びきった草達はまだまだ元気であり、しかも野バラなのかトゲがある植物が多い。


う~ん、このまま突き進んでも面倒だなぁ。


5メートル脇には仙山線の線路がある。


現役路線、勿論、薮じゃない。


メンバー達も登山やったことがあるとはいえ、こんな薮は余り得意としていない。


またもや時刻表を取り出す私。


あと10分で奥新川を出発する列車がある。


そいつをやり過ごしてから行こう。



やり過ごします。


ウテシさん、まさかこんなところに鉄がいるとは思わなかっただろうなぁ。


さて、ここで一気にワープですよ。


とりあえず、林鉄軌道から離れるところまで仙山線にお世話になる。


やはり軌道跡はここでも仙山線と一旦離れる。


仙山線自体はトンネルや鉄橋で難所を上手くクリアしながら出来るだけ真っ直ぐに進んでいるからだろう。


林鉄はどちらかと言うと、出来るだけ迂回して、トンネルなどの工事をしない方向性が伺える。


個人的にはトンネルも見たかったけど。


素掘りの林鉄隧道とか、萌えます。




手前が仙山線。


この写真は仙山線の線路脇から撮っている。


さて、林鉄軌道跡はこのまま川に沿って森の奥へと進んでいく。


進み始めは今までと同じような綺麗な路盤が進んでいたのだが、やはり、そんな簡単にいくわけがない。


ここで、我々はほんの数メートルに10分程かかって乗り越えることになる。



ここに何が写っているか分かるだろうか?


ズームしてみる。


コンクリの構造物に、木の切れ端。


恐らく、林鉄はここを橋で渡っていたのだろう。


しかし、林鉄は橋でこんな沢を悠々と渡れたのだろうが、いかんせんその橋がもう無い。


無いんだ。


だから、どうにかしてここを渡らねばならない。


そんなわけで、ここで10分ほど費やす。


この写真の橋台の側に着くまでに。


さて、ここは足元が



こんな感じの立派な橋台となっている。


チラッと沢の姿が写っているが、本当に沢自体は大した流れも無い。


何百年と言う年月で、こんな谷に削り上げたのだろう。



沢に落ちた謎のコンクリート片。


結構大きく、人間が動かせる大きさじゃない。


恐らく、橋台の一部だったのだろう。


さて、こうやって沢に下りたのは良いのだが・・・・・登れないのだ。


沢を少し登って、そこから迂回するか?


いや、沢自体は結構滝の様に急な斜面だ。


さて、下まで行って本流から登れるか?


いや、本流側は崖になってる。


無理。




先ほどの橋台を今度は下から見上げる。


ご覧のように、沢は滝のようになっている。


さて、どうしようか?


ここでメンバーT氏が、「この脇を直接登っていけば良いんじゃない?」と結構ビビル事を言う。


早速T氏は自ら木草を利用して、グングン登っていく。


あんなにふくよかなT氏が、とうとう森の住人へと変化し始めていた。


彼は「何となく熊の気持ちが分かる気がするんだ」と言うくらい、森の住人度が上がると、何をしだすか分からない。


登りきったT氏は「行ける行ける」と我々を呼ぶ。


仕方がない、行くしかない。


私も急斜面に取り付く。


殆どへばりつくようにして、木や草を頼りに腕の力で引き寄せていく感じだ。


足元はこの辺の地質なのか、結構もろく、とても木が無ければ登れないような場所だった。



ようやく私も登りきり、下にいるメンバーに合図する。


万が一の時のために、斜面に取り付く人は一人ずつとした。



これが対岸からの映像。


本当に大したことない沢なのだけれども、結構骨が折れた。



イメージとしてはこんな感じか。


毎回ながら、絵が適当過ぎるのは私の性格である。


ここを突破し、再び仙山線の方から音が聞こえる。


タイフォンを鳴らした。


しかし、私はちょっと違和感を覚えた。


トンネルから出てきた車両の色が、オレンジだったから。


本当に一瞬で、写真も撮る前に駆け抜けて行ったのは、おそらくDE10型のディーゼル機関車。


何で?仙山線に?


しかし、この紅葉の時期、私はそういえばと気がついた。


そう、落ち葉掃き用の列車だ。


この仙山線、30‰なんて勾配もあるし、山の中を走るから、結構線路上に葉っぱも落ちるのだろう。


それを取り除く列車なのだ。


因みに、勾配の登りの空転より、降りの空転の方がウテシさん的には最悪に恐いらしい。


そりゃそうか、下り勾配で、空転。


ブレーキ効かず・・・・・ぞっとする。


さて、そうして仙山線ともまた近づく。


仙山線はトンネルで一気に抜ける場所を、林鉄軌道は川を迂回して、再び巡り会う。



この様な柵があることから、やはり作業員は結構来ているのだろう。


この柵があるところがモロに軌道上。


この近くには、作業員の休憩小屋らしきプレハブがあったが、鍵もかかっておらず、そもそもドアも無く開放的な建物だった。


特に物色するでもなく、確認だけして帰ってきた。



また似たような光景が。


さっきより酷い。


やはり、奥地に来れば来るほど、危険と言うことか・・・・。



グニャリとひしゃげた柵。


冬の雪の時期にでも凄い圧力がかかるのだろうか。


まぁ、これが仙山線を守ってると思えば、本来の仕事をやっているんだろう。


因みに、策の外側下方には仙山線が走っている。


ここで、とうとうかの有名な面白山隧道の入り口が見えた。


さて、今回のレポのセーブポイントもあと少しだ。


軽くカーブを曲がった先に、それはある。



少し開けた場所に、何かの土台なのか、コンクリートの構造物がいくつも並んでいる。


ここは面白山隧道の出口付近。


そのトンネル工事に関係あるものなのか?それとも、、林鉄の作業に関係ある建物でも建ってたのか?


私には想像することもできないが、兎に角、軌道上にこういう遺構がある。



角は削れているが、存在感があるコンクリ構造物。



仙山線側からうなり声が聞こえてくる。


もしや?そろそろアレの時間か?


キハ58と風っこ使用の「風っこ 仙山もみじ号」である。


この時は修学旅行色なんて・・・・・・思いもよらなかった。


まさか、この数ヵ月後、カレー色にされるなんて、本人も知らなかったのでは?




さて、ここで昼食をとる。


貴重な休息だ。


林鉄跡というのは鉄道という特性上、急勾配、急カーブと言うのはないから、そこまで疲れはしないのだが、それでも数キロも道があるのか無いのか分からないようなことを歩いてきたんだ、みんな疲れている。


皆、思い思いの昼飯を食いながら、今後の撤退時間などを設定した。


何かがあっても、その時間で撤退。


その時刻が示される。


残りは2時間も無い。


我々は、リュックを背負い、再び進みだす。




第三部、近日公開。




すいません、今回のは中だるみ場面です。


第三部、とうとう奥新川森林鉄道軌道跡の本領発揮です。