【定量検査】新型コロナウイルス抗体検査~ワクチン接種後の「中和抗体」が数値で出ます~ | 精神科医:みえしん院長
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みなさんは新型コロナウイルスのワクチンを接種しましたか?

 

「予約がなかなか取れずに苦労しました」

「20代なので接種券がなかなか届かなかった」

「2回目の後はとても体がえらかった。あんなに大変だったから抗体はたぶんついているはずだけど、どうなんだろう?」

 

また

「あの時調子悪かったのは実はコロナに感染していたんじゃないかなあ?だったら抗体もついているはずだけどなあ」

なんていう方もいらっしゃると思います。

 

またワクチンを接種したのにあまり副反応がなかった方は

「本当にワクチンで免疫ついているのかなあ    

効果はあるのかな?」

 

と感じているかもしれません。

 

ワクチンを接種することで産生される「中和抗体」の値は個人差が大きく、ワクチンを接種した方、または新型コロナウイルスにかかったことのある方も、自分がどのくらいの抗体を持っているかは気になるところではないでしょうか?

 

コロナワクチンには「ワクチンがちゃんと効果を発揮しているか」を調べる方法はないのでしょうか?あります。

 

この度、ワクチンに対する免疫応答の把握に有効といわれています、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗スパイクタンパク(S)抗体定量検査ができるようになりましたのでご案内します。

 

新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)抗スパイクタンパク(S)抗体定量検査とは、新型コロナウイルスに対する自分の抗体の量がどのくらいあるかどうかがわかる検査です。

SARS-CoV2ワクチンは、ウイルスの4種の構造タンパク(S/E/M/N)のうち、S(スパイク)タンパク質を抗原として免疫反応を誘発するように設計されているものが多く、Sタンパク質に対する抗体検査はワクチン接種前の免疫状態の確認および接種後の免疫応答の確認への使用が期待されています。

通常の抗体検査はN(ヌクレオカプシド)をターゲットにしているので、感染なし・ワクチンのみでは通常のコロナ抗体検査では陽性となりません。ところが、コロナスパイク蛋白抗体はワクチン接種のみでも効果があれば、陽性となります。

 

当院で採用している検査は、各自治体や大学病院での「ワクチン接種後や感染後のsタンパクに対する中和抗体価」の調査・研究で行われているものと同じく、結果が数値で出る【定量検査】で非常に精度の高いものです。

 

簡易キットを用いる【定性検査】のような陰性、陽性の判定だけではなく、数値として結果が出るため、1か月後、半年後、1年後などの時間経過の変化もみることができます。

そのため今後、世界中の様々な調査と比較できるというメリットもあります。

 

さて、少し詳しい説明に入ります。

 

1.検査の概要

当院で採用している検査は

SARS-CoV-2 Total 抗体(ECLIA 法)で使用試薬は

ロシュ・ダイアグノスティックス社製 「Elecsys Anti-SARS-CoV-2 S RUO」

です。

 

検査の正確さは、「感度」と「特異度」の2つの指標で評価されますが、この検査は非常に正確性が高く

 

・感度 98.8%

・特異度 99.98%

 

つまり

 

抗体を持っている100人を検査した時に正しく陽性と判定される人が98.8人

抗体を持っていない100人を検査した時に正しく陰性と判定される人が99.98人

 

ということです。

またEU加盟国やFDA(米国食品医薬品局)での使用を可能とするCEマークも取得しています。

 

基準値は

0.8U/ml未満で陰性

0.8U/ml以上で陽性

 

そして評価は定まっていませんが、新型コロナウイルス既感染者の調査などを踏まえ

 

15U/ml以上で十分な中和抗体あり

250U/ml以上で高力価

 

と現時点では評価しています。

 

結果は、陰性・陽性の判定の他、抗体価を数値で報告します。

 

現状、抗体価が数値で出る検査試薬は、当院採用のロシュ社製の他にアボット社製もあります。どれにするかは各医療機関が決めているわけですが、以下のように千葉大学医学部付属病院や国立病院機構宇都宮病院などが日本最大規模で調査結果を発表しているので、自分の結果と比較できるという点で当院ではロシュ社の試薬を採用しています。

 

(+)や(-)で出るだけの簡易キットも良いでしょうが、具体的な数値を知りたいと思う方にはこちらがお勧めです。 

 

次に、抗体検査の大規模調査で日本人を対象に行われたものを紹介します。

 

千葉大学医学部付属病院では、ファイザー製ワクチンを2回接種した病院職員1,774名に対して、抗体検査を行いました。

要点をまとめると

・2回目接種後、抗体が陽性となったのは1,774名中1,773名(99.9%)

・抗体値は、接種前の中央値(データの数値を小さい順に並べた時にちょうどまんなかの値)が、0.4U/ml未満(=多くが全く抗体がない状態)に対し、接種後の中央値は2060U/mlと

大幅に上昇。(図1)

 

図1(Antibody responses to BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine and their predictors among healthcare workers in a tertiary referral hospital in Japan. Clin Microbiol Infect. 2021 Aug 8)

 

抗体価の上がり方に影響する要素もわかりました(図2)

 

①抗体価が上がりやすいのは、

・新型コロナに感染歴がある

・女性

・1回目と2回目の接種間隔が18~25日

・(花粉症薬などの)抗アレルギー薬を内服している

 

②抗体価が上がりにくいのは

・免疫抑制薬を内服している

・高齢

・ステロイド薬を内服している

・よく飲酒をしている

 

図2(Antibody responses to BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine and their predictors among healthcare workers in a tertiary referral hospital in Japan. Clin Microbiol Infect. 2021 Aug 8)

 

2.検査費用と方法

検査費用 

※抗体検査のみ受診の場合 11,000 円(税込):説明費用あるいは検査結果郵送料含む

※当院定期通院中の場合 9,900 円(税込):説明費用あるいは検査結果郵送料含む

保険適応外となるため自費診療となります。

 

方法

 

・通常診察と電話で予約をお願いします(直接来院されてもかまいません)

・診察と採血をします。

・結果はおおむね1週間後に来院して説明か郵送でお送りします。

・12歳以上(大人しくできる)が対象です。

 

3.「抗体」検査と「抗原」検査とは違います

よく混同されるのが抗原検査ですが、抗原検査の場合は、

「今、新型コロナウイルスに罹患しているかどうか」を調べるものでPCR検査と同じような意味を持ちます。

 

「抗原」というのは、検査では新型コロナウイルスのことで、「抗体」というのは人が新型コロナウイルスに感染した後に、体が新型コロナウイルスと戦うために作る武器のようなものです。

 

4.抗体検査の注意点

抗体検査は診断を目的として使用することは推奨されておりません。

「コロナウイルスに、今罹患しているかどうか」はPCR検査や抗原検査で調べます。

 

一般的に抗体はウイルスに感染後2週間程度経過してから上昇し始めます。

そのため、検査2週間以内に下記のような新型コロナウイルスを疑うような症状がある方は院内の感染予防のため、また診断の正確性のために抗体検査はご遠慮ください。

・発熱

・咳

・呼吸苦

・倦怠感

・喉の痛み

・嗅覚障害、味覚障害

 

また抗体検査が陽性であっても新型コロナウイルスに罹患しないわけではありません。

新型コロナウイルスに2回罹患する方もいれば、ワクチンを2回接種しても罹患(ブレイクスルー感染)する方もいます。

ただ、ワクチンを接種された方は罹患した際に重症化する可能性はかなり低くなると言われています。

抗体価についても、どのくらいの価なら発症を防げるか、など各医療機関で研究が進められています。今後蓄積されたデータから新たな指標が発表されると期待しています。

 

三重心身クリニックHP