私が医者になって十数年。
大学の頃には、ポケベルでしたね。研修医の時もポケベル持たされたものです。ポケベルに病棟の内線電話が表示されるので、そこにコールバックしてたんですよねえ←遠い目線
ポケベルが鳴らなくてなんてドラマとかもありました←更に遠い目線
さて、そこから時代は進んで携帯電話が開発されました。
私は人類にとって携帯は便利なようで、実は社会にとって不要なツールなんじゃないかと思います。
だって、一般人がどんだけ緊急の用事があるんだか・・・
確かにGPSなんかで子供の安全を守るって用途ではいいかもしれんが(だけど、そんなんは専用のツール作れば事足りる)。
ちょっと何かあれば「携帯で何で連絡しないんだ!」と携帯前提で責められますよね。だけど、携帯は使えない状況だったかもしれないし、こちらの事情はおかまいなし。携帯不携帯なんて非人類ぐらいの扱いです。
デートに遅刻しても「見つからんかったー」で済んでいたのに、いまや携帯のせいで遅刻バレバレです。
ああ、脱線した。
んで、この携帯。精神科臨床にも暗い影を落とします。
まず、先の日記でも書きましたが、
「旦那の携帯みて、浮気してるのが分かってそれから眠れない。落ち込んでいる」という訴えで来院される方がどれだけ多いことか。
これに関しては男性が「妻の携帯みて浮気見つけてから眠れない」ってのは、まだ経験してないですね。まあ、男性は脳天気なんで相方の浮気は疑わないのかな。。
さて、そんな方へ精神科医の対応は3通りあるようです。
1 うつ病を発症した。抗鬱薬投与します。睡眠薬のんでください。
2 いあいあ、旦那の携帯みた貴方が悪いんでしょ。精神科医に何をやれと言うんだ!
3 旦那を呼び出して、家族間の問題の解決法を探る
私は2かなあ。そこまで強くは言いませんけどね。この悩みに、薬が効くとは思えないし、また薬でも出そうものなら大量服薬する危険もあるだろうしねえ。相談役に徹するしかないのかなと思います。浮気した旦那呼んで「旦那の浮気が悪い」とあげつらってもうまくいかなそうです。反省する旦那なら奥さんは悩まないでしょうし。
そんなある患者さんの一人が6ヶ月くらいかけて離婚へ踏み出しました。恐らく、今後も繰り返すだろうし、愛情無いことに気付いたと・・・
相手の非を責める(まあ、それも大事だが)だけではなく、「今自分がどうしたいか、何をしたいか」が、きっと大事なんですよね。結果として、その方がうまくいっている方を沢山見てきています。
そんな私も携帯には痛い思い出がたくさんあります。まあ、だから独身なんだけど
もう今更、携帯は手放せないけど、携帯には振り回されたくないもんです。