2025年11月24日(勤労感謝の日の振り替え休日)、東京・湯島の全国家電会館で「マイクロウェーブ ミーティング 2025」が開催されました。アマチュア無線家の他に、大学の教員、企業の技術者、企業のOB、学生さんなど、今年は過去最高の参加申し込み者(140名)で、とても盛り上がりました。私も講演をしました。

 

 

マイクロウェーブミーティングのホームページ

 

 講演のトップバッターは私(JE1BQE 根日屋英之)で、演題は 「指向性の鋭い小形アンテナの検討」 についてです。アンテナの学会などでは「小形」という表記をしますが「小型」と同義です。機能的小形アンテナでは、アレイアンテナにおけるアンテナと電子回路を融合した小形化の提案、電気的小形アンテナでは、外径最大寸法が 0.176λ でありながら、フルサイズのダイポールアンテナの利得に匹敵する 2dBi の利得を有するスパイラルリングアンテナについてお話ししました。

 

 

 2番目の講演は、電気通信大学の大学院生 JJ1HKL 牛山太陽氏で、「安価な海外ツール / サービスを活用したマイクロ波帯無線機の設計、試作、評価」についてお話しされました。マイクロ波領域では主にテフロン基板(PTFE : Poly Tetra Fluoro Ethylene)は外部電解に対して分極が生じず低い誘電率(Dk)、かつ、低誘電正接(Df)で、誘電特性も周波数依存性が少ないので広く用いられています。業界では主に Rogers 社などの欧米メーカーの基板が採用されていますが非常に高価です。最近、中国の振興メーカーの基板製造サービス(PTFE 基板は加工が難しい)で中国製の PTFE 基板が用いられていますが、欧米メーカーの基板と比べても遜色ない特性で、何より非常に安価です。

 

 

 また、高周波回路やアンテナの設計では nanoVNA が安価(1万円~2万円程度)で用いられていますが、ベクトルネットワークアナライザ(VNA)は、実はそのハードウェアは値段にあまり関係なく同じ測定ができます。しかし、nanoVNA に付属しているキャリブレーションキットとケーブルが値段相応で、良質なものを付属することができません。私は会社で700万円の VNA と、別途35万円のキャリブレーションキットを購入し用いていますが、このキャリブレーションキットと良質なセミリジッドケーブルを用いれば、nanoVNA でもすばらしい測定環境になることを牛山氏の講演で再認識しました。牛山氏の講演は、参加されたプロの技術者のみなさんの賛同を得ていました。(測定器の評価に関し、社会人になった我々が反省すべき点を多々知ることができました。価格が高ければ良いという先入観から脱却しなければならないのです。学生は実験の測定データを測定器の価格とは関係なく純粋に取得します。安価な測定器と高価な測定器で測定したデータに差がなければ、私たちプロの技術者はその現実を受け入れる必要があります。)

 

 

 3番目の講演は、東京学芸大学の大学生 JK1TMS 石川幹大氏で、「ひょうっとしたら歴史が動いた!? 2W・2.4GHz 「移動する局」で QRP EME に挑戦」です。若い学生さんのチャレンジ精神でローパワーの送信機で EME(月面反射通信)を行ったという発表かと想像していたのですが、回線設計もしっかり行っており、通信に関するノウハウを、国の研究機関や企業と連携し EME をやり遂げたという素晴らしい内容でした。会場での座席が私と隣同士であったこともあり、仲良くなりました。このような学生さんを企業としては採用したいところですが、大学院に進学予定とのことでした。

 

 

 4番目と5番目の講演は、協賛会社のアイコム株式会社の JH3OUI 中谷允宏氏による「SHF ビーコン / レピータとアンテナ」と JO3TLI 西川延良氏の「10GHz ダイポールアレイアンテナについて」でした。メーカーの方々の開発のご苦労や、商売ベースの普段は聞けないようなお話も聞くことができました。(昨年もアイコム株式会社の本音を御講演で伺えました。)

 

 

 いやぁ~ 本当に有意義ですばらしいミーティングと講演で退屈しませんでした。ただ、ミーティング最後の豪華な賞品が当たる抽選会。毎年、多くの豪華賞品が参加者の半数以上の人にあたるのですが、私は昨年に引き続き豪華賞品はいただけませんでした。クジは良くないようです。