3月もあと1週間ちょっとで終わります。気候も春めいてきましたが、今朝の東京は強風が吹いています。昨日は東京マラソンが催され、私の会社の上空にもヘリが飛んでいました。
私の会社は3月20日が決算日でした。1987年設立以来、無事に平成20年度も乗りきりました。これもご支援、ご鞭撻を頂きました皆様のおかげと感謝しております。ありがとうございました。
この3月は中国、シンガポール、インド、韓国の方々と会いました。
大きな会社の幹部の方々は、やはり携帯電話などの公衆回線系に興味を持っているようですが、マーケティングの方々は全体的に見ておられる方が多かったです。例えば、公衆回線系は、インフラの整備と端末とコンテンツのバランスがとれていないのではないか? やはり携帯端末は全世界で使えないと今後の伸びはあまり大きく無いのではないか? 電子マネーの方向性がけっこう重要なキーにな・・・などでした。また、日経エレクトロニクス創刊 1000号(最新号)に書かれていた中国版3G携帯電話のTD-SCDMAの記事が気になっていましたので、中国の方に、「TD-SCDMAの市場はどう?」と聞いてみましたが、「すでに、端末も発売されているが、市場状況は良くわからない。まだ私は使ったことが無いし、現物の端末も見ていない。」と言っていました。
自動車業界の不況でリストラのニュースも多いですが、携帯電話業界も Nokia が1700人の人員削減を含むリストラ策を発表しましたし、情報通信の世界も大変な世の中になっています。
大企業の方々は、大きな市場、全世界を意識したビジネス展望をお持ちでしたが、中小企業は、市場が多種多様化している短距離無線への期待感がだんだんと大きくなっているようでした。私が最近、取り組んでいる人体通信を用いての遠隔医療構想もみなさんが興味を持ってくれました。4月には医療機器の展示会(MEDTEC)も見学してこようと思っています。
技術者間の話では、無線回路もディジタル信号処理で機能が置き換わってきたので設計することが少なくなってきたと話をしています。反面、無線回路もICの共通化が進んでいくのではないかという話題も出ました。私はこの共通化がとても良い方向と思っています。今まで私の会社のような無線通信機器を設計する会社では、特化した無線に用いる部品(私たちには汎用部品に思うのですが、無線の部品はまだまだ一般的には特殊部品なのでしょう)の入手ができず、設計段階における試作や実験が思うようにできませんでした。しかし、無線システムも規格が乱立しているようですが、名前は異なっても中身は同じというような規格への集約が進んできているように感じますし、他のシステム用のICが、別のシステムにもつかえるようなものも実際には増えてきています。設計が難しかった無線回路も、時代に逆行して、昔流の設計でも対応できるようになってきたように思います。技術のフィードバック現象が起こっているのでしょう。
4月から大学も新学期です。私の東京電機大学での講義「ユビキタス無線」工学も4月9日から開講されます。私は去年までは電子回路はオームの法則と三角関数でほとんどのものが設計できるという内容の授業をしましたが、今年は少し踏み込んで電磁気学もオームの法則で計算できるんだということで、授業をしようと思います。
たとえば、電力密度 Pd[W/m^2]は、電界 E[V/m]と磁界の強さ H[A/m] の積で求めます。オームの法則で、電力を W、電圧を V,電流を I、抵抗を R とすると、電力 P は P = V・I と表されるのは
みなさんもよくご存知のことと思います。電磁界の世界でも同様に電力密度は、電界E[V/m]を電圧、磁界の強さH[A/m]を電流と読み替えれば、Pd = E・H で表されます。空間インピーダンスは 120π(=377)[Ω]です。これもRと読み替えると、おなじみのオームの法則で
W = V・I =(V^2)/R = I^2・R
W ⇒ Pd、V ⇒ E、I ⇒ H、R ⇒ 120π と読み替えると
Pd = E・H =(E^2)/120π=H^2・120π
という電磁気学の公式が出てきます。非常に似ていますよね。電磁気学というと難しいという印象がありますが、オームの法則とリンクさせると学生さんたちも興味をもってくれるのではないか? そう思って今年度の授業の構想を練っています。
今年も学生さんたちの顔色をみながら、授業を進めます。私の講義は社会人公開講座にもなっています。社会人の方もご興味がありましたら、毎週木曜日の夜(19:50~21:20)ですが、受講されてみてください。
・ 公開講座の内容・・・ 以下のWeb上の講座番号 06 です。
http://www.soe.dendai.ac.jp/kyomu/extension/090303_n.html
・ 時間表
http://www.soe.dendai.ac.jp/kyomu/extension/090303_n_timetable.pdf
・ シラバス
http://tdu.syllabus.eblo.jp/view/course_print.php?doc_no=12167
1回目と2回目は学生さんたちの就職活動の参考になるいような、無線システムの分類、市場動向、各システムの特徴を講座のガイダンスとして、お話しようと思っています。
● 人体通信
鍵のかわりに人体通信を使うでもがここ1、2年の展示会でデモが行われていましたが、医療・ヘルスケアの分野で非常に注目されてきました。
この3月には、私が知る限りでも以下の雑誌が人体通信を取り上げています。
・ OHM 2009年03月号
「『人体通信』技術のメカニズム」、伊藤 公一 教授 (千葉大学)
・ 電子情報通信学会誌 2009年03月号
「体表面の誘起電界を利用した人体近傍通信技術」、品川 満 氏 (NTT)
・ ネイチャーインタフェイス 2009年03月号
「今,話題の人体通信とは」、根日屋 英之 (アンプレット/東京電機大学)
・ CIAJ Journal 2009年03月号
「人体通信の概要と将来展望」、根日屋 英之 (アンプレット/東京電機大学)
また、3月9日に日経エレクトロニクスのインタビューを受けました。Web上で公開されています。ご興味のあるかたはご覧ください。
・ 市場開拓が進む人体通信,開発のカギは「人体を知ること」
2009/03/09 19:07 インタビュアー 安保 秀雄 氏
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090309/166942/
● ウェアラブル環境情報ネット推進機構(WIN)人体通信プロジェクト
WINで人体通信プロジェクト(主査 千葉大学 伊藤公一教授、副主査 東京電機大学 根日屋英之)がキックオフをしました。次回の研究会は、4月14日16時から行われますが、私が人体通信の概要とビジネス展望の簡単な講演をします。このプロジェクトは会員制ですが、ご興味のある方は
WIN 人体通信プロジェクト 事務局
NTTエレクトロニクス 技師長 池田 泰久 氏
ikeda@yoko.nel.co.jp
までお問い合わせください。案内書をお送りいたします。
以下は私の講演会情報です。
----------------------- 私の講演会 ---------------------------
● テーマ : 「埋め込み型医療機器とワイヤレス技術」
2009年4月7日 (電子ジャーナル主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://www.electronicjournal.co.jp/t_seminar/322.html
● テーマ : 「人体通信の最新技術動向とビジネス展開」
2009年4月17日 (日経BP社主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/academy/090417.html
● テーマ : 「人体通信」
ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2009
2009年5月13日 コースC (YRP主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://www.wt-park.com/seminar.html
---------------------------------------------------------------
弊社も3月20日に無事、決算を終えることができました。これも皆様のおかげと社員一同、感謝しております。ありがとうございました。
弊社は今日から新年度に入ります。みなさまの会社も今月末が年度末のところが多いと思います。新年度もみなさまと力をあわせ、日本の産業界復活に向けてがんばります。
これからもよろしくお願い申し上げます。
私の会社は3月20日が決算日でした。1987年設立以来、無事に平成20年度も乗りきりました。これもご支援、ご鞭撻を頂きました皆様のおかげと感謝しております。ありがとうございました。
この3月は中国、シンガポール、インド、韓国の方々と会いました。
大きな会社の幹部の方々は、やはり携帯電話などの公衆回線系に興味を持っているようですが、マーケティングの方々は全体的に見ておられる方が多かったです。例えば、公衆回線系は、インフラの整備と端末とコンテンツのバランスがとれていないのではないか? やはり携帯端末は全世界で使えないと今後の伸びはあまり大きく無いのではないか? 電子マネーの方向性がけっこう重要なキーにな・・・などでした。また、日経エレクトロニクス創刊 1000号(最新号)に書かれていた中国版3G携帯電話のTD-SCDMAの記事が気になっていましたので、中国の方に、「TD-SCDMAの市場はどう?」と聞いてみましたが、「すでに、端末も発売されているが、市場状況は良くわからない。まだ私は使ったことが無いし、現物の端末も見ていない。」と言っていました。
自動車業界の不況でリストラのニュースも多いですが、携帯電話業界も Nokia が1700人の人員削減を含むリストラ策を発表しましたし、情報通信の世界も大変な世の中になっています。
大企業の方々は、大きな市場、全世界を意識したビジネス展望をお持ちでしたが、中小企業は、市場が多種多様化している短距離無線への期待感がだんだんと大きくなっているようでした。私が最近、取り組んでいる人体通信を用いての遠隔医療構想もみなさんが興味を持ってくれました。4月には医療機器の展示会(MEDTEC)も見学してこようと思っています。
技術者間の話では、無線回路もディジタル信号処理で機能が置き換わってきたので設計することが少なくなってきたと話をしています。反面、無線回路もICの共通化が進んでいくのではないかという話題も出ました。私はこの共通化がとても良い方向と思っています。今まで私の会社のような無線通信機器を設計する会社では、特化した無線に用いる部品(私たちには汎用部品に思うのですが、無線の部品はまだまだ一般的には特殊部品なのでしょう)の入手ができず、設計段階における試作や実験が思うようにできませんでした。しかし、無線システムも規格が乱立しているようですが、名前は異なっても中身は同じというような規格への集約が進んできているように感じますし、他のシステム用のICが、別のシステムにもつかえるようなものも実際には増えてきています。設計が難しかった無線回路も、時代に逆行して、昔流の設計でも対応できるようになってきたように思います。技術のフィードバック現象が起こっているのでしょう。
4月から大学も新学期です。私の東京電機大学での講義「ユビキタス無線」工学も4月9日から開講されます。私は去年までは電子回路はオームの法則と三角関数でほとんどのものが設計できるという内容の授業をしましたが、今年は少し踏み込んで電磁気学もオームの法則で計算できるんだということで、授業をしようと思います。
たとえば、電力密度 Pd[W/m^2]は、電界 E[V/m]と磁界の強さ H[A/m] の積で求めます。オームの法則で、電力を W、電圧を V,電流を I、抵抗を R とすると、電力 P は P = V・I と表されるのは
みなさんもよくご存知のことと思います。電磁界の世界でも同様に電力密度は、電界E[V/m]を電圧、磁界の強さH[A/m]を電流と読み替えれば、Pd = E・H で表されます。空間インピーダンスは 120π(=377)[Ω]です。これもRと読み替えると、おなじみのオームの法則で
W = V・I =(V^2)/R = I^2・R
W ⇒ Pd、V ⇒ E、I ⇒ H、R ⇒ 120π と読み替えると
Pd = E・H =(E^2)/120π=H^2・120π
という電磁気学の公式が出てきます。非常に似ていますよね。電磁気学というと難しいという印象がありますが、オームの法則とリンクさせると学生さんたちも興味をもってくれるのではないか? そう思って今年度の授業の構想を練っています。
今年も学生さんたちの顔色をみながら、授業を進めます。私の講義は社会人公開講座にもなっています。社会人の方もご興味がありましたら、毎週木曜日の夜(19:50~21:20)ですが、受講されてみてください。
・ 公開講座の内容・・・ 以下のWeb上の講座番号 06 です。
http://www.soe.dendai.ac.jp/kyomu/extension/090303_n.html
・ 時間表
http://www.soe.dendai.ac.jp/kyomu/extension/090303_n_timetable.pdf
・ シラバス
http://tdu.syllabus.eblo.jp/view/course_print.php?doc_no=12167
1回目と2回目は学生さんたちの就職活動の参考になるいような、無線システムの分類、市場動向、各システムの特徴を講座のガイダンスとして、お話しようと思っています。
● 人体通信
鍵のかわりに人体通信を使うでもがここ1、2年の展示会でデモが行われていましたが、医療・ヘルスケアの分野で非常に注目されてきました。
この3月には、私が知る限りでも以下の雑誌が人体通信を取り上げています。
・ OHM 2009年03月号
「『人体通信』技術のメカニズム」、伊藤 公一 教授 (千葉大学)
・ 電子情報通信学会誌 2009年03月号
「体表面の誘起電界を利用した人体近傍通信技術」、品川 満 氏 (NTT)
・ ネイチャーインタフェイス 2009年03月号
「今,話題の人体通信とは」、根日屋 英之 (アンプレット/東京電機大学)
・ CIAJ Journal 2009年03月号
「人体通信の概要と将来展望」、根日屋 英之 (アンプレット/東京電機大学)
また、3月9日に日経エレクトロニクスのインタビューを受けました。Web上で公開されています。ご興味のあるかたはご覧ください。
・ 市場開拓が進む人体通信,開発のカギは「人体を知ること」
2009/03/09 19:07 インタビュアー 安保 秀雄 氏
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090309/166942/
● ウェアラブル環境情報ネット推進機構(WIN)人体通信プロジェクト
WINで人体通信プロジェクト(主査 千葉大学 伊藤公一教授、副主査 東京電機大学 根日屋英之)がキックオフをしました。次回の研究会は、4月14日16時から行われますが、私が人体通信の概要とビジネス展望の簡単な講演をします。このプロジェクトは会員制ですが、ご興味のある方は
WIN 人体通信プロジェクト 事務局
NTTエレクトロニクス 技師長 池田 泰久 氏
ikeda@yoko.nel.co.jp
までお問い合わせください。案内書をお送りいたします。
以下は私の講演会情報です。
----------------------- 私の講演会 ---------------------------
● テーマ : 「埋め込み型医療機器とワイヤレス技術」
2009年4月7日 (電子ジャーナル主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://www.electronicjournal.co.jp/t_seminar/322.html
● テーマ : 「人体通信の最新技術動向とビジネス展開」
2009年4月17日 (日経BP社主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://techon.nikkeibp.co.jp/NE/academy/090417.html
● テーマ : 「人体通信」
ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2009
2009年5月13日 コースC (YRP主催)
詳細は以下の Website をご覧ください。
http://www.wt-park.com/seminar.html
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弊社も3月20日に無事、決算を終えることができました。これも皆様のおかげと社員一同、感謝しております。ありがとうございました。
弊社は今日から新年度に入ります。みなさまの会社も今月末が年度末のところが多いと思います。新年度もみなさまと力をあわせ、日本の産業界復活に向けてがんばります。
これからもよろしくお願い申し上げます。