赤ちゃん→胎盤の順に産まれてもらわないと困るところ、子宮口の上に胎盤がのっかっちゃって、赤ちゃんよりも前に胎盤が置かれている状態が前置胎盤です
お産で赤ちゃんが産まれるにあたり、子宮口は開かなければなりません。子宮口の上に胎盤がのっているということは、開いた時には胎盤が剥がれてしまうということです。
胎盤早期剥離と同様に、はがれた部分から多量出血することになるのです
ですから、子宮口が開いて出血する前に帝王切開をして分娩にしなければなりません。
超音波がなかった時代は、内診によって胎盤の感触を確かめて診断をしていたのだと思います(教科書に書いてある)。しかし、内診で胎盤を触っているということは、すでに子宮口がひらいて剥がれている危険な状態だと思うのですが・・・
そのため、超音波がなかった時代においては、母体死亡の原因としてダントツだったのでしょう。考えただけでも恐ろしい。
しかし、超音波診断が普及された今日においては、分娩時に前置胎盤が初めてわかるということはほとんどないことでしょう。
でも依然として前置胎盤も妊娠・分娩にまつわる出血多量の大御所です。
今週から前置胎盤シリーズで、そのことをお話していきましょう。
まず、細かい話ですが、分類です。
低置胎盤という、前置胎盤じゃないけど胎盤が低いという名前を聞いたことがあるかもしれませんが、海外の論文などでは、前置胎盤のひとつとして考えられています。
分けて語られるときもあるのは、前置胎盤は絶対に経腟分娩できないのに対し、低置胎盤は、必ずしも帝王切開でなくても無事産まれることがあるからでしょう。
低置胎盤であっても前置胎盤のひとつだから全例帝王切開というふうに考える施設もあれば、低置胎盤は経腟分娩可能なこともあるので、それは出血などのリスクを踏まえた上でトライする選択肢も必要だという考える施設もあるのです。
いわばグレーゾーンですね。
低置胎盤でない前置胎盤(狭義の)はさらに、辺縁前置、部分前置、全前置などに分けられることがあります。超音波でみて、どれぐらい内子宮口に深くかかっているかという違いです。
それらの違いは、全前置胎盤だと出血量が多くなるとかいったことで語られることがあるのですが、私が勉強した印象や自分のデータからは、どれも大差なく危険であると思っています。
(あくまで私見です!!。前置胎盤は、色々な先生方が、色々な意見を持っていると思うので、あえて私見だということを強調いたします。)
私の考えでは、辺縁前置胎盤だからそんなに心配しなくていいなんてことは全く思っていませんが、低置胎盤は別個に考えていまして、注意しながら経腟分娩をすることもあります。
本日はこのぐらいで。
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