前置血管の超音波診断 | へその緒のはなし

へその緒のはなし

「へその緒」を研究する産婦人科医のブログ。
かつては、みんながお世話になったはずである「へその緒」の神秘的なしくみと、その異常への挑戦を語る。

 前置血管をみつけるには、基本的には卵膜付着の超音波診断と同じでできるはずです。しかし、前置血管は卵膜付着が子宮の極めて下の方にあるため、おなかの上のからの超音波では深い骨盤の中まで超音波できれいに写しだせず、診断が難しいのが現状ですビックリマーク

 よって、正しく診断するためには下からの経腟超音波での診断が必要となります。

 写真は経腟超音波の写真です。右上が母体の下側になります。左上がお腹側、右下が背中、左下が子宮の上の方になります。


へその緒のはなし

へその緒のはなし


 妊娠20週ごろの写真なので、まだすきまが多くありますので、子宮口と赤ちゃんの頭の間に羊水(黒い部分)が見えます。その中に、2つの丸い卵膜血管の断面が写っています。これが子宮口の上にのっかる卵膜付着、つまり前置血管です。

 赤ちゃんの頭より前(産道に向かって)にあるので前置血管と呼ばれます。

 次の写真は妊娠32週の前置血管です。通常このころにもなると、赤ちゃんの頭は下がりつつあって、子宮口の壁と密着していることが多いのです。そのため、すきま(羊水)はあまり写りません。そうすると、前置血管もはっきり写らなくなるのです。


へその緒のはなし


 写真は血管をカラーで写し出す方法を使っていますが、かろうじて判るという程度です。頭に押されているのが分るかと思います。

 ですから、前置血管はなるべく早い時期に診断しなければならないのです。

 頻度も極めて少ない前置血管ですから、出会ったことのない産科医も多いと思います。だから、よっぽど見つけようというスタンスで臨まないと診断は難しいのです!!

 最後に、前置血管の帝王切開のときの写真です。まだ、破水する前のきれいな羊水の入った卵膜です。卵膜の上に2本のむき出しの卵膜血管(前置血管)が走っています。知らずに破水したら赤ちゃんにとって致命的な結果となるのが良く分ると思います。


へその緒のはなし


 多くの産科医に、簡単に診断する方法を普及させるのが私の目標ですバスケ

ペタしてね

人気ブログランキングへ