約2週間連載を続けたので、ちょっと休憩。
それで土地調査関係の話に戻るあたりがアレなんですけどね。(笑)

ってことで、表題の件。
1912年(明治45年)1月9日の官報第407号で出された、『官通牒第2号 地籍無届ノ森林山野ニ関スル件』です。
基本的に、前年の1911年(明治44年)6月に出された『森林令』に基づくものになります。

そんじゃあ早速。

地籍無届の森林山野に関する件 (クリックで拡大)

官通牒第2号

明治45年1月9日 政務総監

各道長官宛

地籍無届の森林山野の関する件

旧森林法第19条に依り、期限内に地籍届を為さざるし土地に対する土地家屋証明規則又は土地家屋所有権証明規則に依る所有権証明方に付ては、民有たる証拠明確にして事情憫諒すべきものは、事由を具し指揮を受くべき旨、客年2月23日朝乙発第1600号を以て及通牒置候処、今般施行せられたる森林令第29條の規定に依れば、此等林野と雖、永年禁養の実あるものは、同令第7條の貸付を受けたるものと看做され候に付ては、造林成功したるものとして譲与を出願して所有権を回復せしめ、又禁養の実跡なくものに付ては、新に森林令に依り造林貸付を出願せしめ、造林成功の後改めて譲与を受けしむる様、一般に周知方御取計相成度、此段及通牒候也。

追て本文朝乙発第1600号通牒は廃止致候儀に付、御了知相成度候。
残念ながら、本文中の1911年(明治44年)2月23日朝乙発第1600号は見つけられてません。

えーと、まずは森林法第19条のおさらい。

第19條
森林山野の所有者は、本法施行の日より3年以内に森林山野の地籍及面積の見取図を添付し、農商工部大臣に届出づべし。
期限内に届出なきものは、総て国有と看做す。
ってことで、1908年から3年以内ですので、1911年(明治44年)1月頃までには森林山野の所有者は届出しなきゃ駄目ってことでした。
で、その期限内に届けを出さない場合は国有とみなされる事になってたわけですが、さすがに救済措置があったようで。
その届出をしていない土地に対して、土地家屋証明規則や土地家屋所有権証明規則に依る所有権証明について、民有の証拠が明確で、事情も憐れむべき処がある場合、その理由も添えて指揮を受けるという通達があったんですね。
それが、まだ見つかってない1911年(明治44年)2月23日朝乙発第1600号、と。

で、続いては森林令第7条と第29条のおさらい。

第7條
朝鮮総督は、造林の為国有森林の貸付を受けたる者に対し、事業成功したる場合に於て特に其の森林を譲与することを得。

第29條
本令施行前永年禁養したる国有森林は、第7條の貸付を為したるものと看做す。
ということで1911年(明治44年)6月『制令第10号 森林令』が施行され、その第29条の規定によれば、届出していない林野であっても、永年禁養してきた実績があるものについては貸付を受けて造林成功したものと見なして、譲与の出願をさせるという手続きで所有権を回復。
禁養の実績が無いものについては、新しくその造林のための貸付を出願させ、造林が成功したら譲与させるという手続きに。
で、それを一般に周知させろ、と。

12月18日のエントリーで、「ただ、前回の「永年樹木を禁養したる土地」は私有地とする旨の条文は、どうなるんかなぁ・・・。」と疑問を呈しましたが、その「前回」に当たる『森林山野及未墾地国有私有区分標準』では、「旧森林法第19条の規定に依る届出を為さざりし森林山野は、此の限に在らず。」だったわけで。
整理すると以下のとおりになります。

1.森林法に該当しない程度の林野(あるのかどうかは知らんけど)について、永年樹木を禁養してきた土地は、自動的に私有地。
2.森林法に該当する森林山野は、届出をすれば私有地、届出をしなければ国有地に。
3.国有地になった森林山野のうち、森林令施行前の場合は、民有の証拠が明確で、事情も憐れむべき処がある場合、その理由も添えて指揮を受ける事ができ、それによって所有権の証明を受ける事が出来る可能性があった。
4.国有地になった森林山野のうち、森林令施行後の場合は、永年禁養してきた実績があるものについては貸付を受けて造林成功したものと見なして、譲与の出願をさせ、それによって所有権回復。
5.国有地になった森林山野のうち、禁養の実績が無いものについては、造林のための出願をさせて、それが成功したら譲与。

さて、12月18日のエントリーで、『「無主公山が届出されず国有地となった」は事実でしょうけど、入会権は奪われて無いのでヨロシク』とツッコみましたが、追加。
「無主公山が届出されず国有地となった」は事実でしょうけど、その後所有権回復の手段も周知されてますのでヨロシク、と。
( ´H`)y-~~


今日はここまで。



土地調査事業のここまでの整理
土地収奪の具体例 ~ 李震の場合 ~ (一)
土地収奪の具体例 ~ 李震の場合 ~ (二)
土地収奪の具体例 ~ 李震の場合 ~ (三)
土地収奪の具体例 ~李啓恆の場合~