上半身のユニット/下半身のユニット
オステオパシーでは「身体は一つのユニット」と捉えます。
身体のいかなる部位でも単独では動作することはなく、不調が起こる時にも各部位で相互に影響が出ることになるのです。
全身のユニット(グローバルユニット)は、各部位のローカルユニットの集合体と捉える事が出来ます。
頭部ユニット、上肢ユニット、脊柱ユニット、骨盤ユニット、下肢ユニットなどですが、それぞれはセグメント(分節=複数の関節:ジョイント)の集合体です。
さて、施術時にはこの「ジョイント」「セグメント」「ローカルユニット(部位ユニット)」「グローバルユニット(全身ユニット)」として身体のつながりや相互影響を考慮する必要があると考えられます。
しかし、全身ユニットはまず「上半身のユニット」と「下半身のユニット」を分けて考える必要があると思うのです。
通常は上半身・下半身とは「腰椎から上」と「骨盤から下」と分けることが多いように思います。(上半身・下半身の厳密な定義はありません)
ユニットとして捉える上半身・下半身を骨格で表わすと・・・
上半身のユニット:頭蓋骨・上肢帯・胸郭・頸椎・胸椎・腰椎・仙骨
「脊柱のユニット(後頭骨・頸椎・胸椎・腰痛・仙骨)が含まれるので、通常上半身と言われる部位
に骨盤の“仙骨”を含める」
下半身のユニット:仙骨・寛骨・下肢
関節で表現すると・・・
上半身のユニット:仙腸関節(仙骨と腸骨の関節)から上
下半身のユニット:腰仙関節(第5腰椎と仙骨の関節)から下
となります。
ここで注目すべきは仙骨を上半身ユニットにも下半身ユニットにも含めていることです。
手技療法全般でも仙骨は重要視されていますが、“仙骨”はやはり身体の要かもしれません。
身体ユニットにおいては骨個体より関節(ジョイント)あるいは分節(セグメント=関節の集合体)を重要視します。
上半身ユニットで重要な関節は・・・
・顎関節(あごの関節)
・環椎後頭関節(後頭骨と第一頸椎の関節)と環軸関節(第一頸椎と第二頸椎の関節)のセグメント
・腰仙関節(第五腰椎と仙骨の関節)
下半身ユニットで重要な関節は・・・
・仙腸関節(仙骨と腸骨の関節)
・股関節(腸骨と大腿骨の関節)
・膝関節(大腿骨と頚骨の関節)
などです。
(上記は個人的な見解です。)
(「顎関節異常が身体不調のすべての原因となる」「仙骨の歪みが身体不調のすべての原因となる」と短絡的に捉える向きもありますが、それも一つの要因でありそのジョイント・セグメントを含めたローカルユニットが相互に影響すると考えるの理論的だと思います)
ただし、身体ユニットとは骨格・靱帯・筋肉・筋膜を含めたものですので、骨格だけで区切りを付けるわけではありません。
上記の骨格に付着する靱帯・筋肉・筋膜ほか、血管系・神経系・リンパ系等全ての軟部組織を包括したものが「身体ユニット」だと理解する必要があります。