70代男性、9ヶ月前にたまたま行った糖尿病であることがわかり、治療を開始しました。治療前13.4%あったHBA1cが7%となり、初めて治療目標を達成できました。

 

「おめでとうございます、本当に良かったですね。」

「ありがとうございます、先生のおかげです。」

「いや、違うんですよ、まずは甘い炭酸飲料をやめて、それから薬をのんでちゃんと頑張った成果ですね。」

「ところで、ここで薬をやめたらどうなるでしょうか?」

 

さすがにびっくりする質問でした。治療を始めてからずっと今ひとつ自分が糖尿病であることがしっくりきていないようでしたが、これもそのメンタルの状態がから出てきた質問なのかと思いました。

 

「なるほど、薬をのみたくないってことですかね?」

「そうなんです、薬はのみたくないんです。」

「糖尿病のコントロールが良くなっても、あんまりありがたい感じはないんですよね。」

「はい。」

「そうですね、糖尿病は数値が悪くてもすぐ症状が出る病気ではないし、また数値が良くなっても良くなった実感がないので、その点が難しいところですね。」

「はい、そうなんです。」

「でも良くなったのは、甘い飲み物をやめたことと、薬で助けてもらったことの2つの相乗効果だと思いますよ。薬をやめたら、最悪9ヶ月前のHBA1c13.4に戻ると思います。」

「そうですか。」

「HBA1cは高くなればなるほど、目や腎臓に悪さをします。実際に糖尿病が原因で失明する人や人口透析になる人は多いです。ただあなたがその値になってもすぐに大事件が起こることは多分ないとは思います。でもそれは人体実験になるので、医者からはお勧めすることはできないです。」

「そうなんですか、それでは先生の言う通り薬は続けます。」

 

9ヶ月はかかりましたが、投薬と最小限の生活改善で目標まで達することが出来ました。ただご本人的にはいまだに自分が糖尿病とは認めたくないという状態のようでした。

ともかくコントロールはこの状態で良いと思われるので、これからは時間をかけて自分がしっくりくる生活パターンを見つけて欲しいと思います。