昨日は、
フリー声優さんの抱える困難について、
気の重くなるような記事を書いてしまいましたね〜
実際に、フリー声優であるWS生徒さんからは、
「読んでいて辟易しました・・・」
と言われてしました〜。 すいませんッ
あの記事内容については、
私の実体験も入っていますので、憶測で書いているわけではないことを理解して欲しいですね。
ドラマ制作を行う際に、
フリー声優さん本人へ直接電話をかけたり、ギャラ交渉をしたりするのは、本当に気苦労が多いものです・・・。
私のように予算の少ない制作を行う者は、そのような交渉からは逃げられませんが、
必要な予算が確保されているアニメ制作などでは、避けていく傾向になると思いますね。
そんな場合、
フリー声優さんがギャラ交渉にてゴネたりすると、
それだけで面倒臭いとレッテルを貼られてしまいかねないですよね〜。
フリーへの決断は、慎重に行っていただきたいですね。
さて、
本日は、昨日の記事と関連した内容ですが、
大手声優事務所への所属が何故に有利なのかという理由を私なりに解説してみたいと思います
その最大の理由は、大手声優には情報が集まるという条件があるからです
私が俳優マネージャーをやっている時、
最新のキャスティング情報やドラマの制作情報を得るために、大手事務所のマネージャーとコンタクトを取っていました。
大手のマネージャー達は、その情報収集のエキスパートなんです〜。
例えば、今は4月末ですが、
敏腕マネージャーならば、各局のドラマ制作情報は、秋クール(10月放送)を掴んでいると思います。
7月の夏クール情報などは、もう古い情報なんですよね。
このドラマ枠では、もう小さな配役しか残っていないのです・・・。
(弱小事務所は、情報解禁となってからそんな小さなキャスティング狙うことになります・・・)
大手の優秀なマネージャーさんというのは、
各局のドラマ情報が記入された巨大な一覧表を持ち歩いています。
そこには、制作会社名、プロデューサー名、演出家名、脚本家名、主演俳優の名前、タイトル、原作などが記入されています。
(今ならば、秋クールでしょうね。中には、冬クールの脚本家名を掴んでいることもあります。)
そして、彼らは、
営業先で大手のマネージャー仲間に会うと、その表の空いている箇所を埋め合うという情報交換を行うのです。
大手事務所には、主演級のタレントが所属していますから、最新の情報も集まってくるという訳ですね〜。
(最近では、ドラマ制作は、主演を決めることから始まりますからね〜〜)
このような内容は、情報解禁になる前の極秘事項ですから、とっても価値があるんですよね。
他社よりも先に営業できることが、とっても有利なのです
そして、プロデューサー達にとっても、
この非公開の情報を持っているマネージャーこそが優秀であるという認識があるのです。
仕事ができるマネージャーとは、
その非公開の情報を誰よりも早くプロデューサーに持ち込んで、キャスティング交渉を行うんですね〜。
私もドラマプロデューサーから、
「その情報は、どこで仕入れたいんですか」
と聞かれて、あわてて答えを濁したことがあります〜〜
それは、大手事務所でさえ掴んでいない、誰も知り得るはずがない情報だったからなのです〜。
それには、
こんなカラクリがあったのです。
制作会社に日参していると気がつくのですが、
ある日、有名プロデューサーのデスクが綺麗に片付いていることがありました。
私は、それを見て「関わっていたドラマ制作が終了したんだなぁ〜」と思ったのです。
その数日後、
この人のデスクに、一冊の小説が増えていることを発見しました。
私は、念のための、そのタイトルを控えて、その日のうちにその小説を読んでおいたのです。
それから2週間程が経った頃でしょうか、
そのプロデューサーがにわかに忙しそうにしているではありませんか〜〜
そして、
ベテランマネージャー達が、
「〇〇プロデューサーは何の作品に入るの?」
「いや、分からないんだよ〜〜」
なんて出入り口で会話している声が聞こえてきたのです。
これは、もしや・・・という展開ですよねぇ〜
この後の展開は、先に書いた通りです。
私は、ハッタリをかまして、
どこかから情報を仕入れたフリをして、その小説のタイトル名を出して営業したのです〜。
残念ながら、
そのドラマ作品には、最終回までタレントをねじ込むことは出来ませんでした。
私も、できる限り良い配役でお願いしたいと思っていたので、小さな配役は全て断ったのです。
(こんな好条件で営業をできる機会はなかなかありませんからね。)
実際に、私は原作を読み込んでいましたから、
シナリオが執筆されている時期にも、「あの人物は登場しますか?」「では、あの人物は?」という風に営業を行ってました。
どのマネージャーさんよりも長く濃く営業することができたおかげで、
私は、その有名プロデューサーと、非常に仲良くさせていただくことができました
その方より「あ、山中さん!」なんて声をかけられると、
周囲にいた古株のマネージャーたちが、びっくりした顔をしていたのをよく覚えています。
とっても、ヘンテコな話ですが、
そんな関係を作ることが、マネージャーの仕事だったりするんですよね。
営業マンの苦労は、やってみないと分からないものですよね〜。
(私は、そんな仕事が下らないと思えてきたので、辞めてしまったのです〜〜)
長々と私の体験を書いてみましたが、
大手事務所と、私が働いていた弱小事務所の営業の違いがお分かりになったと思います。
大手事務所には、日々、主演級俳優のスケジュールを求めて、制作会社各社より情報が集まってきます。
放っておいても集まってくるのです〜
しかし、小さな事務所は、運までも頼りにして情報収集を行うのです・・・。
アニメ制作では、
放送開始の1年前には、全ての声の録音が終わっていることさえありますよね。
これは、TVドラマのキャスティングよりも、ずっ〜と早い時期に情報が入手できないと営業なんてできませんよね。
こんな仕事が、小さな声優事務所に可能なのか私には疑問が残ります。
キャスティングの営業は、情報が何よりです
この理由から、私は、大手事務所への所属を勧めたいですね。
「そんなことは、どんな新人声優だって分かっているよ!」
という怒りの声が聞こえてきそうですが、
でも、その有利な理由を知っていたでしょうか
具体的に調べたり考えたりしたでしょうか
そして、その利点が欲しくて所属したいと所属オーディションで訴えたでしょうか
所属審査で不合格となった理由には、
もちろんスキル不足もあるでしょうが、大手が有利な理由を知らない声優を先方がビジネスパートナーに選ぶことがあるでしょうか。
これは、
タレントが知っているべき営業の中身の話でもあるんですよね
ちょっと、脱線してしまいましたね。
(レッスンでの会話のようになってしまいました〜〜)
若い声優さにとって、
大きな事務所と信頼がおける敏腕マネージャーこそが成功の鍵となります。
できる限り、ここを諦めては欲しくないですね〜。
最後に、
ちょっとした希望の話を一つしておきましょう。
これまで大手大手と繰り返し言ってきましたが、
小さな事務所にも、敏腕マネージャーはいます
事務所に力はなくても、マネージャー自身がパワーを持って営業をしている方がいます。
こんな方は、制作会社からも信用されていて、いつでも五分の関係でプロデューサーと話をしています。
マネージャー時代の私は、そんな方を尊敬の目で見つめていましたね〜
このような人物のいる声優事務所だって、きっとどこかにあるはずです。
そこでは、未来のスターが、事務所のドアを開けて訪ねてくることを待っているはずです。
ぜひ、勉強して、良い事務所と巡り合っていただきたいですね
私も、新人声優さんに安全な情報を提供できるよう、収集に努めたいと思います〜。
事務所スタッフとタレントが、一緒に切磋琢磨して仕事を得るのも楽しいですからね。
私も、今となっては、
そんなことの思い出ばかりが微笑ましく記憶に残っています〜
希望を捨てずに、妥協せずに、所属事務所を選んで欲しいですね〜。
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