シナリオにおける声優の責任とは。 | オーディオキネマ 研ぎ師伊之助深川噺

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今日は午後から、

私の企画している3ヶ月WSへ、

参加を希望されている方との面談がありました。



その方は、

とてもユニークな方で、

何を考えるにも、答えるにも、

とても真面目な性格をされているんです

私はそこが面白くもあり、そして、羨ましくもあって、

話をするのが楽しくなるのです



そこでの話で、

とても興味深い質問を頂いたので、

ちょっとご紹介してみますね。

彼は、私に、

こんなことを言ったんです。



「シナリオを読み込むレッスンには、

何を持っていけばいいのでしょうか



これは、

ペンや紙のような持ち物を指してのことではありません。

思考とか感性とか、または準備(予習)のようなものを問うているんです

こんなストレートで正直な質問は、

あまり受けた記憶が無かったので、

少々感心してしまいましたねぇ~

こんな質問がサラサラと出てくるんですから、

実に面白い方ですよね。

真面目で素直という組み合わせも、

相性が良すぎると危うさを感じてしまいますね



さて、

彼のキャラクターは置いておいて、

質問の本題へ戻りましょう

私は、

この答えとして、

こんなことをお伝えしました。

「責任を持ってきてください。

ご自身の発言の中の言葉に、

プロ声優の責任をもっていて欲しいです」


そんなことを言わせて頂きました。




声優さんがシナリオについて発言するときは、

その内容が、

キャラクターの心情についてであったり、

役作りであったり、

演技のリズムであったり、

共演者との演技の絡み方であったり、

テーマであったり、

表現方法であったり、

観客のリアクションのことであったりと多岐にわたります。

そして、

それらについて脚本家や演出家と話す時には、

実に色々な言葉(単語)を使わなければならないのです。

それも殆ど即興で交わす濃い~会話になるので、

思考の回転力や理解力もトップギアに入ります



さらに、

ものづくりをしてる現場には、

贅沢な時間は用意されていませんから、

端的に素早く意思疎通を図り、

円滑な制作進行を心がけることが基本的なルールとなっているのです

ここで大切なのは、

間違いなく自分の考えを相手へ伝える会話力が求められるということなのです。



ここで、

私が彼にお伝えしたことに戻りたいのですが、

プロの声優としての責任とは、

自分使った言葉に対して、

どこまでの責任をもてる発言をして頂きたいということなのです




よく、若い声優さんで、

己の言った発言に対して誰かに質問や反論を受けると、

「ううううう・・・・(と悩んだ挙句に)・・・・ちょっと違ってましたね」

と自分の回答を取り消す方がいらっしゃいます。

これが、

実に簡単に取り消されるので、私などは驚いてしまいます

「そんなに自信や根拠が無かったのに、あたな、発言したの・・・・」

と思ってしまうのです

言葉と声で仕事をする声優さんとしては、

あまりに責任感が希薄ではないかとガックシしてしまうのです・・・




自分の発言に責任を持つもとは、

演技を生業にする方には、

もっとも大切なものではないでしょうか。

むしろ、

そこにこそ矜持があるべきだと思いますね

言葉に力を宿す仕事ですから、

声に説得力も必要でしょう。

新人声優どころか、

プロを目指したころから、

こういった責任感はあってしかるべきだと思うのです



そんなことを、

20歳過ぎの若者が、

私のようなオッサンに面と向かって説明されるのですから、

彼も今日は運が尽きたということでしょうね~

あまりに素直な質問に、

私もいつも思っていることを曝け出してしまいましたね

ちょっと大人げないし、

申し訳ないことをしたかもしれませんね・・・



今度、

謝っておいた方がいだろうなぁ・・・・へへへ。



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代表  山中(脚本・演出)

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