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今回はこういうお題でいきます。みなさん、この歌はご存知だと思います。
「遊びをせんとや生まれけん 戯(たはぶ)れせんとや生まれけん
 遊ぶ子供の声聞けば 我が身さへこそ動(ゆる)がるれ」

『梁塵秘抄』の中に収録されている今様(いまよう)です。

『梁塵秘抄』は平安時代末期に後白河法皇が編集した歌謡集で、
今様は、まあ当時の流行歌のようなものです。後白河法皇が
大好きだったため、自ら編纂したんですね。内容は訳すまでも
ないですが、子どもが遊んでいる声を聞けば、
大人になった自分でさえ、心が動かされるといった意味です。

後白河法皇 策略を弄しすぎて平安時代を終わらせてしまいました
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ただこれ、深読みというか、ちょっと怖い解釈があって、
「遊び」は「遊び女」、「戯れ」は「戯(たぶ)れ女」、どちらも遊女のことで、
子どもの遊ぶ声を聞いた遊女が、純真だった頃にはもう戻れない
ことを嘆いている歌だという説もあるんです。
うーん、どうなんでしょう。自分にはよくわからないです。

さて、「遊び」もなかなか難しい概念で、ネット辞書を引くと、
「身体的・精神的活動のうち食事、睡眠、呼吸、排泄など、
直接生存のための活動を除き、仕事と対立する概念である活動をいう」
こんなふうに出てきます。まあ簡単に言えば、仕事ではない活動が
遊び、と考えてもいいかと思います。

フランスの社会学者ロジェ・カイヨワは、遊びを大きく次の4つに
分類しました。①競争 囲碁将棋、球技、格闘技、ゲームなど
②偶然 じゃんけん、くじ、賭け事など ③模倣 絵画、演劇、
カラオケ、ままごとなどのごっこ遊び ④めまい 乗り物、
スキー、スケート、ブランコなど この分類はじつに優れています。

話題になった「ひとりかくれんぼ」
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さて、日本の子どもの遊びは、昔と今でかなり変化しました。
昔は外遊びが中心だったのが、今はほとんど室内遊びになりました。
これは、ゲーム機の開発、受験戦争などもあるでしょうが、
一番の原因は少子化でしょうね。

昔の子どもは家にいるのが居心地が悪かったんです。兄弟が多く、
自分の部屋などは持てず、家にいれば年下の弟妹の世話をさせられたり、
仕事を手伝わせられたり。今は一家庭に子どもは1人か2人、
自分の部屋があってエアコン完備、そりゃ外に出なくなります。

 

ゲーム「ぼくの夏休み」



昔の子どもは、夏休みなどランニングシャツ一丁で、真っ黒に
なって遊んでました。あちこちに空き地があり、遊びに行けば、
年長の6年生が小さい子でも仲間に入れて、皆でできる遊びを
考えてくれました。今はどこもボール遊び禁止だし、
大人が下手に子どもに声をかければ変質者あつかいされます。

英語では遊びは play 正式には playing なんでしょうが、
あんまり言わないですね。他には、pastime、amusement とか、
fun もよく使われます。自分はアメリカに住んでましたが、日本と
大きく違うのは、治安が悪いため13歳以下の子どもが一人で
出歩くことは少なく、下手すれば家から出した親が逮捕されたりします。

本当は怖い「はないちもんめ」
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さて、怖い話で出てくる遊びは、まずは「肝試し」でしょう。
肝試しを行うのは夜の場合が多いので、子どもというより
学生の遊びですね。肝試しを英語で言うとすれば
test of courage になるのかな。でもこれ、無理に訳した
だけで、実際に使われるのを聞いたことはないです。

次が「かくれんぼ」でしょうか。かくれんぼはアメリカでも
子どもの遊びで、hide and seek と言い、『ハイド・アンド・シーク
暗闇のかくれんぼ』というホラー映画になってます。うーん、これ、
途中で筋がわかっちゃいますね。自分はいまいちピンときませんでした。

『ハイド・アンド・シーク 暗闇のかくれんぼ』
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怪談だと、かくれんぼをしていた子どもの一人が見つからず、
そのまま神隠しになってしまうとか、押入に隠れたら
布団の中から手が出てきて引きずり込まれたとか、
鬼になった子が知らない子どもを見つけてしまうとか、
そういうのが定番になっています。

あと、「かごめかごめ」 「通りゃんせ」 「花いちもんめ」
などの昔の遊びも、怖い意味が隠されてるなんて話もあります。
例えば、花いちもんめの「花」は女の子で、「いちもんめ」はその子の値段、
つまり人買いの歌だとかなんとか。でも、ほとんどがこじつけです。

『チャイルドプレイ』 リメイク
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さて、余白が少なくなってきました。遊びのホラーと言えば、
やはり映画の『チャイルドプレイ』を外すわけにはいきません。
連続殺人鬼チャールズがおもちゃ店で警官に撃たれ、肉体が
死にそうになったとき、近くにあったグッドガイ人形に、
ブードゥーの秘法を使って自分の魂をのりうつらせる。

しかし、そのままだとずっと人形でいなくてはならならず、
自分の元の肉体はすでに失われているため、
新たにのりうつるための子どもを見つけようとする・・・
この映画の原題は「Child's Play」で、child's play には
「くだらないこと、造作ないこと」といった意味があります。

さてさて、ということで、遊びのオカルトについて見てきましたが、
書くことはまだまだありそうですね。遊びというのは奥深いもので、
これがなければ大人でも人生がつまらないですよね。
まさに『梁塵秘抄』にあるとおりです。では、今回はこのへんで。

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