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今回はこういうお題でいきます。オカルト史的な内容です。
さて、アメリカの都市伝説については、当ブログでも
あれこれ書いてきましたが、心霊ものは多くはなく、殺人鬼
などの現実的な恐怖をあつかったものがほとんどです。
これは日本との治安の違いも大きいでしょう。

それと、『13日の金曜日』など、シリアルキラーものの
映画の影響。さて、「エイズ・メアリー Aids Mary」は
ご存知でしょう。「観光などで、ある国を訪れた男性が
ゆきずりの現地女性と一夜を共にする。翌朝起きてみると
女性はいなくなっていた。身づくろいをしようと

洗面台に向かうと、鏡に「エイズの世界にようこそ (Welcome
to the world of AIDS) 」と大きく口紅で書かれていた」
これが基本的な筋ですね。1980年代にアメリカで発生し、
90年代の初めには日本に入ってきているようです。

フレディ・マーキュリー

 

1980年代は、もちろん現在のような治療薬もなく、イギリスの

バンド、クイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリーや

バスケットのマジック・ジョンソンなど、著名人の感染が
発覚し、大きな騒ぎになっていました。ちなみに、
フレディが亡くなったのが1991年。

もともと「一夜の恋」といった伝説があり、ナンパで一夜を
ともにした女性が、じつは男だったという内容ですが、
この当時、ゲイはむしろ知的とか最先端というイメージに
変わってきていて、もう怖い話ではなかったんですね。

HIV ウイルス


あと、男性バーションとして、「エイズ・ハリー」があり、
一夜を共にした男性から「帰りの飛行機の中で開けてくれ」
と言われて渡されたプレゼントの箱を、女性が飛行機の中で
開けると、上記のメッセージと棺桶型のブローチが入っていた。

さて、ではこの伝説の女性の名前が、なぜ、Maryになったか。
この単語は人名以外には使われず、「聖母マリア」という
意味もあります。で、メアリーが採用されたのは、1900年代
初頭にニューヨークで起きた「腸チフスのメアリー、
(Typhoid Mary)事件」がもとになっている

というのが定説化しています。メアリー・マローンは
アイルランド系アメリカ人で、14歳のときに一人で
アメリカに渡りました。その後は、家政婦として働いてましたが、
性格がよく、料理が上手という評判があったそうです。

マジック・ジョンソン


この頃のアメリカでは、腸チフスの小規模な流行があり、
メアリーが働いていた家でも患者が発生しています。
その数は、わかっているだけでも22人、ですが亡くなったのは    

1人だけ。そこまで怖い病気ではなかったんですね。


メアリーのもと雇い主の一人から、腸チフスの原因の解明を
依頼された衛生士、ジョージ・ソーパーは疫学的な調査を行い、
その結果一つの事実を見出した。それは、メアリーが
雇われた家庭のほとんどで、彼女がやってきた直後に
腸チフスが発生しているということ。

チフス菌
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メアリーは調査に抵抗しましたが、メアリーの便からチフス菌
が発見され、保菌者であることが判明します。発病しない
保菌者ということですね。メアリーは2年間の隔離後、
人権問題もあり、食品を扱う職業には就かないこと、
定期的にその居住地を明らかにすることを条件に釈放されます。

しかしメアリーからの連絡はとだえ、5年後、彼女は調理人
として、ニューヨークの産婦人科病院で、偽名を使って
働いていました。そこで引き起こした腸チフスで、25人の
感染者と2人の死者を出し、ふたたび孤島の病棟に隔離。
その23年後に亡くなるまで、出ることはできませんでした。

キャプチャ

とまあ、こういう話がもとになっています。この事件は、
公衆衛生と個人の人権という二つの観点から議論されましたが、
難しい話ですね。最初の隔離以前は、彼女は自分が保菌者で
あることを知らなかったんですが、それ以降はそうでは
ありませんでした。

ですから、彼女を「邪悪な感染源」 「アメリカで最も危険な女」
と言う人もいたんです。こんなことがあって、メアリーの
名前はアメリカ人に記憶され、都市伝説の主人公に採用された。
まあねえ、怖い話であることはたしかです。

メアリー・マローン
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さてさて、世界の複数の国では、エイズウイルス感染者であると
自覚しながら、相手にそれを明かさず、感染予防をしない
性行為をした人間を、性犯罪者としてあつかって
います。では、日本はどうなんでしょうか。

特定の法律はないものの、「自分がHIVに感染していると
認識した上で、故意に、うつしてやろうと考えて性行為に
およんだ」場合は、傷害罪にあたる可能性が高いようですね。
では、今回はこのへんで。