『エスター』
今回はこういうお題でいきます。うーむ、なかなか難しいテーマですね。はたしてどんなことが言えますやら? まずはじめにお断わりしておきますが、ここからの考察はあくまで自分が独自に考えたもので、自分が怖い話を書く際に重視している事柄です。ですから、違う意見の方も当然おられると思います。
まず、恐怖とは何か? ネット辞書を引くと「おそれること。こわいと思うこと。また、その気持ち。」と出てきます。そのまんまですね。これに異論はありませんが、ただ、ここで書きたいのはこういうことではなく、どうすればより恐怖が強く感じられるのか?ということです。ではまず、恐怖にはどんなものがあるのかについて考えてみたいと思います。
① 自分の命が危険にさらされる恐怖。例えば殺人鬼に命をねらわれた場合など。そういう映画はたくさんありますが、サスペンスやスリラーであって、必ずしもホラーではないものも多いですね。
② 肉体損壊の恐怖 ①と似ていますが、命を取られるまではいかなくても、腕を切り落とされたり、顔の皮をはがれたりするケース。某国のマフィアでは、人を殺す前に顔の皮をはいだりしますが、これは本人より、見るものに対して恐怖を与えてるんでしょう。俺たちに逆らえばこうなるぞというみせしめの効果。
① 自分の命が危険にさらされる恐怖。例えば殺人鬼に命をねらわれた場合など。そういう映画はたくさんありますが、サスペンスやスリラーであって、必ずしもホラーではないものも多いですね。
② 肉体損壊の恐怖 ①と似ていますが、命を取られるまではいかなくても、腕を切り落とされたり、顔の皮をはがれたりするケース。某国のマフィアでは、人を殺す前に顔の皮をはいだりしますが、これは本人より、見るものに対して恐怖を与えてるんでしょう。俺たちに逆らえばこうなるぞというみせしめの効果。
『ザ・フライ』
③ 拷問にあう恐怖。これも①、②に似てますが、②の場合よりも、痛みを与えられる恐ろしさに重点が置かれます。例えば、誰の小説だったかな。体の一部を紙やすりでこすられ、そこにアルコールをかけられるなどのことが出てきていました。。
④ 自分の体が異形の者に変化していく恐怖。映画の『ザ・フライ』なんかがそうですね。死なないまでも、まともな生活が送れなくなってしまいます。
④ 自分の体が異形の者に変化していく恐怖。映画の『ザ・フライ』なんかがそうですね。死なないまでも、まともな生活が送れなくなってしまいます。
⑤ 肉親や恋人など、自分が大切に思っている人が危害を加えられるケース。
⑥ 破滅させられるケース。これも命までは取られないものの、自分の会社をつぶされたり、大金や宝石類を取られてしまう。あと濡れ衣を着せられたりとか。
⑥ 破滅させられるケース。これも命までは取られないものの、自分の会社をつぶされたり、大金や宝石類を取られてしまう。あと濡れ衣を着せられたりとか。
『エンゼル・ハート』
⑦ 伝統的な恐怖。どういうことかというと、悪魔に誘惑されて悪事を犯してしまい、魂を取られてしまう恐怖です。日本人にはこれ、あまりピンとこないんですが、地獄に堕ちる恐怖とすればわかりやすいかな。こういうのは『エンゼル・ハート』などのオカルト映画に多いですね。
⑧ 生理的な恐怖 たくさん虫が出てきたり、蛇の群れのいる穴に落とされたり、不潔な沼に入れられたり。あとはサム・ライミ監督がよくやる、ゲロを食べさせたりとか。・・・これもたしかに怖いんですが、ちょっと反則かなと自分では思ってます。ですから、あんまり自分はやらないです。
⑨ おどかしの恐怖。例えば、ある人が部屋にいて、ドンドンとドアがノックされる。おそるおそる出てみましたが、廊下には誰もいない。で、ほっとしたとたん、天井から何かが降ってくる。ふつう跳び上がりますよね。ただこれ、映像ならいいですが、文字でやるのは難しいんです。それに映画でも、おどかしが多いのはあまり評論家に評価されません。
『スペル』
⑩ 未知の恐怖 ホラー小説家のH・P・ラブクラフトは「人間の感情のうちで最も強いのは未知の物に対する恐怖である」と言ってました。変なことが起きてるけど、それがなんなのかわからない。また、正体不明のものが身近にいるなど。映画の『サイン』なんかが好例です。
⑪ 精神が崩壊する恐怖。発狂する恐怖と言えばいいですかね。
⑫ ありえないことが起きる恐怖。『エクソシスト』で、首が180°回転するとか。これもいっぱいありますね。
⑬ 巨大なもの、小さいもの、高所、鏡の部屋などのシチュエーション的な恐怖。
⑭ ある特定のものに対する恐怖。アメリカ人は一般にピエロ恐怖症があると言われてます。
⑫ ありえないことが起きる恐怖。『エクソシスト』で、首が180°回転するとか。これもいっぱいありますね。
⑬ 巨大なもの、小さいもの、高所、鏡の部屋などのシチュエーション的な恐怖。
⑭ ある特定のものに対する恐怖。アメリカ人は一般にピエロ恐怖症があると言われてます。
『エクソシスト』
まだあると思いますが、自分が思いつくのはこれくらいです。そしてふつうは、これらの恐怖は単独ではなくいくつか組み合わせられています。次に恐怖を感じるシチュエーションについて。『リング』『呪怨』などの脚本家である山中千昭氏は、著書で「ファンダメンタル(根源的)な恐怖」ということを述べておられます。
自分が理解したかぎりでは、ある映画で、何がいるのかわからない2階の部屋に階段を上って一歩一歩近ずいていく場面で感じたのがファンダメンタルな恐怖だと。たしかになあ、と思う点があるので、自分が怖い話を書くときには、このことはつねに頭に留めています。それと、恐怖には登場人物への共感、感情移入の度合いも関係してくると思います。
『サイン』
例えば『四谷怪談』の伊右衛門のような悪人が祟られたとしても、「ザマミロ」という感情しかわいてきませんよね。映画の中でチョイ役が殺されたりした場合も「フーン」で終わり。その人物に感情移入すればするほど、ああ、この人は死なないでほしいと思って恐怖の度合いが高まる気がします。
さてさて、長くなってきたのでもう終わりますが、みなさんは映画『ゴジラー1.0』をご覧になられたでしょうか。あれなどはホラーではありませんが、怪獣映画にしては人間ドラマの部分がよくできていて、その分登場人物に感情移入し、ゴジラの怖さがいっそう高まるというつくりでした。では、このへんで。
『ゴジラ-1.0』