無限城に落とされて、童磨とエンカウントした胡蝶しのぶ。

最初に出会った鬼が、捜し求めた姉の仇だったのは、幸運なのか不運なのか。

 

しのぶさんに感情移入して読めば、

 

「お前が言うなあああ!!」

 

もしくは、

 

「お前だけには言われたくないわあああ!!」

 

という感想になってしまいます。

 

最愛の姉を殺した当の本人から、つらいことあったの? 話してごらん、なんて、

言われたくないんじゃボケーッ!!!

そもそも、お前ら鬼が人を襲わなければ、今も家族で幸せに暮らせていたんだ

このハゲーッ!!!

――という気持ちになるのは、至極当然のこと。

 

で、その、人の神経を逆撫ですることに定評のある童磨であるが――。

童磨というキャラクターを理解するために、どの切り口から語ればいいのかと

考えていて、出た答えが、「共感能力の欠如」。

童磨は、共感能力の欠如したキャラクターです。

人の感情に共感することができない。

他人はもちろん、自分の感情にも。

童磨は、感情がないわけではないと思われます。

カナヲに内面を見抜かれてズケズケと指摘されたとき、真顔になりました。

素直に読めば、これは、ムッとしたときの反応です。

感情はあるのです。

しかし、それをうまく感じることができない。「余所事」のようにしか感じられない。

それを隠すために、さも感情豊かであるような演技をする。

オーバーにやればやるほど、空々しくなって、人の神経を逆撫でしてしまうのです。

 

その童磨は、鬼になる前から、新興宗教の教祖として、

信者の悩み苦しみの訴えを聞いてきました。

ですが、共感能力が欠如しているので、まともな答えなんか出せるはずがありません。

そもそも、何で苦悩しているのかさえも、理解できていなかったでしょう。

いったん、宗教は措いておいて、恋愛相談を引き合いにしてみます。

あなたが、友人に、恋の悩みを打ち明けたとします。

最近、彼(彼女)とうまくいっておらず、つらい。どうすればいいでしょう。

友人は、こう答えました。

 

「そんなにつらいなら、恋なんかしなければいいじゃない。一生独身でいなよ」

 

こんな答えが返って来たら、何だコイツ? って思いますよね。

そうじゃないんだ。こっちは恋を応援してほしいんだ。恋が破れたら、

一緒に泣いてほしいんだ。慰めてほしいんだ。

――では。

その友人が、新興宗教の教祖で、おまけに鬼だったら、どんな答えが飛び出すでしょう。

ああ、教祖さま。生きるのがつらくて苦しくて仕方ないのです。どうかお救いください。

 

「そんなにつらいなら、生きるのなんかやめてしまえばいいじゃない。俺が喰ってあげるよ」

 

そうじゃないんだ。こっちは生きることを応援してほしいんだ。

生きることに疲れたら、慰めて、励まして、勇気づけギャアアー喰われたー。

 

童磨って、こんなキャラなんじゃないかな。

 

こんなキャラでも、雑魚だったら、さっさとぶちのめしてスカッとするところですが、

これがメチャクチャ強いものだから憎たらしい。

毒を射ち込んでも射ち込んでも、すぐに分解して耐性を獲得してしまう。

お前はいい加減、死んどけよ! と叫びたくなるほどですが、

しのぶさんは、まだ、冷静である様子。

 

「まあ」

「このあたりまでは想定内ですから」

 

どこまでを想定していたか、結末を知っている今、読み返してみると、

実に恐ろしいセリフであります。

次回へ続く!

 

 

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