2回目のミレーナ装着後、しばらくは自分にとっては若干軽め(多分健康な人の普通量かやや多めくらい)の生理が続いた。

 

そうして2年が経過した。

 

以前は28日に1回の生理で、持続期間は1週間くらいだったが、

いつ頃からか生理が2週間くらい長々と続くようになった。

出血量も多く、長くてしつこい生理になっていった。

 

いつしか生理用ナプキンを毎日あてて生活するのが普通になった。

「定期的に婦人科でチェックしているし、ミレーナも入っているからきっと何かの間違いだ。きっと大丈夫だ」

そう言い聞かせながら長い長い生理に耐えて生活していた。

 

大きいナプキンをあて、その上で小さいナプキンを重ね、小さい方をこまめに取り替えるという毎日。

でも、その頃から経血の雰囲気が変わった印象があった。

以前の生理は初日少量でスタートし、2日目から4日目まで多く出血し、徐々に鉄錆色みたいな色に変化して少なくなって収束するものだったが、この頃の生理はサラサラした薄い出血であったり、時にレバー状の塊がドロンと出てきたり、サラサラとドロドロの混合タイプ。

しかも生理が始まると1ヶ月以上止まらず、いつしか生理周期なども存在しなくなり、年中無休で生理が続くようになった。

小さいナプキンの隅から隅までしっかり血液が行き渡り、大きいナプキンにもはみ出して出血するようになった。

 

また婦人科に行かなきゃな・・・と思っていた矢先。

職場の食事会があり、その日の生理はやや小康状態。いつも通り大きいナプキンと小さいナプキンのダブルで食事会出席。

宴もたけなわ、そろそろ食事会が終わりそうな頃、急にドドドドドドドーと下からものすごい勢いで何かが出てくる感じがした。

「これはヤバい!!」

私は電話をかけるフリをしてバッグを持ってレストランのビルのトイレにダッシュした。

トイレは使用中だった。

やばい、待てない!と思いながら上の階のトイレにダッシュ。

 

トイレで下着を下ろすとおびただしい量の大量出血とこれでもかというほどのとんでもないレバーの塊がナプキンを大幅に越えて飛び出しており、下着もガードルも既に壊滅的な状態となっていた。

ナプキンをとってトイレに座るまでの間にも血液が溢れ出て、トイレの周りは血の海のよう。

「うわー、どうしよう・・・」

こんな大量出血は人生で初めてで、しかも食事会の最中の事件。

この殺人現場のような光景を目の当たりにして足が勝手にガクガクワナワナ震えてくる。

 

「落ち着け、落ち着け、なんとかしなくては」

正気を保とうと必死。とにかくティッシュで拭けるものは全て拭き取り、持ってきた重い日用のナプキンを2枚重ねで着用。

血液で汚れたショーツとガードルは気持ち悪いが着用しないわけにもいかず、できるだけティッシュで拭いて着用した。

幸い黒いロングスカートを履いていたので、この後、食事会の椅子にさえ座らなければなんとかなる!

そう思って自分を勇気づけた。

血だらけになったトイレはできる限り、トイレットペーパーと手洗い場の使い捨てタオルを駆使してきれいにした。

トイレのドアから出ると床に血が点々とついており、これが自分の血だと気が付いたのでそれもしっかり拭きとった。

食事会に戻っても椅子には座れないと思いながら何食わぬ顔をして戻った。

みんな、私がなかなか戻ってこないため、食事会が終われず待っていたようだ。

 

着席することなく食事会は終了し、解散となった。

どうやって家に帰ればいいんだろう。

汚れた衣服でタクシーには乗れないし、大量出血が続いている状態で駅を歩いたり電車に乗ることもできない。

歩いて帰るにも出血が怖いし、遠すぎる。

泣く泣く家族に電話をして迎えにきてもらえることになった。

 

家族の迎えを待つ中、一人夜の繁華街で立っていた。

内心、待っている間も気が気ではない。

待っている間にもう一度アレが来たら、もうどうしようもできない。

早く来てくれーと心の中で叫びながら迎えを待っていた。

 

そんな中とんでもなくあり得ないことが2回もあった。

一つ目は

「あのーユーチューバーなんですが、この辺りで美味しいラーメン屋を発掘してます。もしよかったら撮影するので美味しいラーメン屋についてコメントいただけませんか?」

「あのー・・・無理です。」

とお断り。

 

二つ目は

中年のおじさんが近づいてきて

「お姉さんきれいね、もし良かったらこの後どう?」

と財布の1万円札をちらつかせながら声をかけてきた。

「・・・いえ、人待ちなんで・・・。」

と断った。

ヤリモクで声をかけられること自体プライドに傷がついて本当にあり得ないが、この状況でこんなことを言われるのも本当にあり得ない。

普段なら腹を立てる状況だがそんな余裕もなかった。

声をかけてきた人は私が今こんな大事故の真っ最中だということは知る由もない。

 

この会食中大出血事件は、私のトラウマとなった。

 

つづく