🧬 ワクチンは全部“同じ”じゃない──ARR/NNVで見る「本当の実益」

 

今、アメリカでは “ワクチン全般の見直し” の波が静かに広がりつつあります。

安全性の是非を論じる前に──まずは「どのワクチンが、どれだけ効くのか」。

今回はその“実効性”を、数字で見てみましょう。

比較するのは、

新型コロナワクチン、インフルエンザワクチン、そして古典的ワクチンです。

 

💡結論を先に

  • 乳幼児の定期ワクチン(MMR・ポリオ・DTP)は桁違いに効果が高い。

     NNV=10〜30台=「少人数を打てば1件の発症を確実に防げる」レベル。

  • インフル成人は中程度、コロナ(オミクロン期の一般健常者)は低い。

     ARRが低く、NNVが大きい=一律に打っても実益は薄い。

  • 結論はシンプル。

     “全員一律”ではなく、“ハイリスク重点”。

     (ただしmRNA型ワクチンについては、後遺症報告が多く、私は現時点で推奨しません。)

🧮 用語は2つだけ覚えておこう

  • ARR(Absolute Risk Reduction)=絶対リスク低下

     → 実際にどれだけ減ったか。

  • NNV(Number Needed to Vaccinate)=必要接種人数

     → 1件の発症を防ぐのに、何人打つ必要があるか(=1/ARR)。

🪄 傘のたとえ☔

大雨(流行が強い)なら傘の実益は大きく、ARR↑→NNV↓

小雨(流行が弱い)なら実益は小さく、ARR↓→NNV↑

同じ「有効率%」でも、天気=ベースリスクによって体感はまるで違います。

 

📊 比較表:発症をどれだけ防ぐのか?

 

ワクチン/状況

ARR(%)の目安

NNV(人)=1件防ぐのに

ざっくり解釈

麻疹(MMR)

5–10

20–10

ほぼ全員に実益。定期接種の王者。

ポリオ(OPV/IPV)

1–5

100–20

集団免疫の柱。実益が非常に大きい。

DTP(百日咳等)

3–8

33–13

小児の重症感染を確実に防ぐ。

インフル成人

0.5–4.0

200–25

年や対象で振れ幅大。高齢・基礎疾患では実益↑。

コロナ:オミクロン期・一般健常者

0.2–0.7

500–143

一律では実益が小さい。高齢・基礎疾患で相対的に有利。

※ARR/NNVは、実際の臨床研究から得られた代表値をもとにした“実益比較”です。

※流行状況・曝露度・年齢・免疫状態により数値は上下します。

 

🧩 コロナ&インフルが“弱く見える”理由

 

1️⃣ 母集団の危険度が低い。

若年・基礎疾患なしでは発症率が低く、ARRが小さくなる。

 

2️⃣ 目的が違う。

定期ワクチンは「感染防止と根絶」が目的。

一方インフル・コロナは「重症化防止」が主眼で、発症予防ARRは小さい。

 

3️⃣ すでに“ハイブリッド免疫”が成立。

感染+接種で免疫を獲得した人が多く、母集団のリスクが低下している。

 

🎯 これからの戦略はこうなる

  • 一律の号令ではなく、層別化へ。

     - 打つ意義が大きい:高齢、心血管・代謝疾患、免疫抑制、高曝露(医療・介護等)

     - 実益が小さい:若年・基礎疾患なし・低曝露・流行が弱い時期

  • 政府・メディアはRRR(相対値)だけでなくARR/NNVも公表し、「自分で判断できる社会」をつくるべきです。

⏱️ 1分セルフチェック

  • 年齢は? 基礎疾患あり? → はい=実益↑

  • 今の流行は強い? → はい=実益↑

  • 曝露リスク(医療・介護・学校など)は? → 高い=実益↑

  • 副反応に敏感? → はい=慎重に判断

🌿 さいごに

  • 定期ワクチン(MMR・ポリオ・DTP)は予防効果最大級。

  • インフル・コロナの追加接種は“選択の医療”。

     一律ではなく、ハイリスク重点へ。

  • mRNAワクチンについては、後遺症(副反応、副作用)報告が多いため推奨しません。

  • そして、行政とメディアはARR/NNVを開示し、国民が“考える力”を取り戻せる仕組みを。

🧾 次回予告:

 

次回は「効果」だけでなく、副反応・死亡報告・医療コストまで含めた“ワクチンのバランスシート”を考えます。