足利市・わたなべ整形外・院長ブログ -4ページ目

腰部椎間板ヘルニアとの闘い


 平成25年11月3日の夕方、IKEA(イケア)で購入した極めて低価格のベッドサイドテーブルを、フローリングの床に座って1時間程かけて組み立てた直後、悲劇は起こった。
 当初軽い腰痛として発症したが、徐々に右下肢全体に疼痛・シビレが拡大し、歩行は5m、立位保持は1分程で、激痛が右下肢を襲い、思わずそこにうずくまるという始末である。
 考えられるあらゆる薬を大量に服用したがほとんど効果がなく、リハビリ、カイロプラクティックも無効の為、副院長に頼んで1週に1度、硬膜外ブロックを受ける事になったが、これもほとんど効果を感じる事がなかった。
 仕方なく、半ば手術覚悟で足利日赤のMRI検査を受けたが、予想通り、L4/5の右側にしっかりとしたヘルニアがあり、椎間孔レベルで神経根を圧迫していることが判明した。
 その後、どんなポジションをとっても痛みは軽減せず、毎晩坐薬のお世話になる日々が続いたが、MRI検査後は何か自分の中で吹っ切れたものがあり、「たかがヘルニア、これで命を取られるわけでもないし。」というある種の開き直りが生じ、このヘルニアとの闘いの中で、少し冷静にこの病気を上から見下す事が出来るようになるに連れ、症状が好転して来たような気がします。
 腰痛を持病とし、長く患っている方の中には精神的に多少落ち込むケースもあり、こんな人に軽い向精神薬を少量処方すると劇的に腰痛が改善する事があるというのは整形外科医の常識ですが、私の場合も発病当初は痛みに振り回され、様々な最悪のシナリオを勝手に思い描き、精神的に落ち込み、症状を無意識に悪化せていたのかも知れません。

 さて、そもそも腰部椎間板ヘルニアというのは、20~40代の若年成人に好発するものであり、高齢者でこの疾患を患っている人は少ないと言われています。そして大抵の場合、老いてヘルニアが萎んで来れば、隣接する神経を圧迫する程のパワーは無くなり、症状は改善します。
 私もこれを期待し、投薬・筋力アップ・ストレッチ・リハビリ・etcで時間稼ぎをしながらヘルニアの勢いが弱まるのを待つという戦法に出ました。

 私はこれまでも様々な体のトラブルに見舞われることはありましたが、そんな時いつも思うのは、自分は今まで常に体を鍛え、食事に配慮し、納得のサプリメントを適量飲み、そして何より精神面のコントロールが何故か上手なので、ほとんど毎日ストレスフリーの生活をしており、多分自分の生体防御のための、免疫を含めた自家矯正力はかなりなものだろうという事です。
 様々な病気のアタックを受けても、身体を正常な状態に戻す力が人一倍強く、今回もこの生体防御のシステムが正常に機能し始めたのを感じています。
 昔から逆境に強く、追い詰められれば追い詰められる程、全身にエネルギーが充満して来て様々なアイディアが沸き起こり反撃に転じる、そんな自分の特性がまた頭をもたげたようです。

 そんな訳で、現在まだ完治はしていませんが、日常生活には全く支障をきたさないレベルにまで回復しています。やはり普段の自己管理の賜物でしょうか。

久しぶりのアラン・ウォン


  12年振りでホノルルの「アラン・ウォン」に行く機会を得た。

 2週間前の予約だったので当然の如く断られ、ハレクラニホテルの「ラ・メール」で妥協しようとしていた時、またまた神風が吹いた。

 出発の前日、ホノルル出身の当院スタッフRAYにその旨伝えるとすぐに友人のステーキハウス 「ルースクリススタッフ」TERUさんに連絡し、なんと19:15というゴールデンアワーに、前日にも拘らず予約が取れてしまったのだ。持つべきものは友達である。

 店内は満席にも拘らず窓側に面した最高の席が用意されていた。頭髪を短く清潔に刈り込んだ若いスタッフ達が、極めて爽やかな接客をしてくれた。食事もワインも申し分なく、特に料理は毎度のことながら大いなる感動を覚えるものだった。客が退席すると数分以内に新たな客が入り、どの席の客達も大満足している空気が店全体を覆い尽くしていた。

 いつも思う事だが、レストランにおける最高のBGMは、客達の笑い声、楽しそうな話し声であり、この店はいつも最高のBGMが流れていると感じる。大勢のフロアスタッフも本当に楽しそうに働いており、オープンキッチン内の料理人達は皆、ブルーのキャップを被りキビキビと調理しており、全体のイメージに全盛期のタブローズ(代官山)がフラッシュバックされた。

 今の日本にこのレベルのレストランを探してみるが、小規模なものは何軒かあるが、ここまでのスケールの店はなかなか見つからない。残念な話である。

 余談であるが、我々のディナーの翌日、オバマファミリーがこの店を訪れたとタクシードライバーが言っていたが、これまたラッキーだった。もしもあと一日予約日がずれていたら、これ程ゆったりと食事を楽しむことは出来なかっただろうし、交通規制が敷かれ、SPが大勢いる中での食事はno thank youである。

 それにしてもこの街の活気は凄い。ホテルやショッピングセンターは人で溢れかえり、フードコートもレストランも満席、ショップも大勢の客でごった返している。恐らくは自分の求めるものがここで満たされることを知っている人達が、国内外から大挙して押し寄せ、満たされ、リピーターとなって行く為であろう。

 受け入れ側の体制にも見るべきものがある。現状に胡坐をかくことなく、スクラップ&ビルドを繰り返し常に進化を遂げ続ける様は、オリエンタルランドの運営するテーマパークを見るようである。

 我々の組織も現状に満足せず、スタッフ共々常にアイディアを出し合いレベルの向上に努め、リピーターにそして初診で来院された患者さんに、大いなる感動を与え続けることが出来るように努力して行きたいと考えています。         





外来診療あれこれ


 当院では初めて来院された患者さんに、診療申込書への必要事項の記入をお願いしております。

 ここから得られる情報は、個人情報として大切に保管されるのはもちろんですが、これから診察を受けていただく際の貴重な情報として活用させていただいております。
 
 私は学生時代、医学部よりも他の学部の学生達、そして様々なアルバイトやサークル活動、「すすきの」での社会勉強を通じて、実に幅広い職種の方々と交流を深めて参りました。
 そのおかげもあってか、外来で初めてお会いする患者さんとも極めてスムーズに会話が進み、その方達の職業についても一般のドクターよりは、かなり深い理解を持って接することが出来ていると、少なからぬ自負を持っております。

 こんな中、診療申込書の項目の中で私が特に注目するのは、職業を記入する欄です。会社員、自由業、会社役員、無職、などなど様々な記入がされており、私はこのひとつひとつを、年齢や性別を加味しながら、職業に貴賤なしの大前提の下、興味深く読み込みます。

 昔から「実るほど、頭を垂れる稲穂かな」と申しますが、職業欄に会社員という記入しかせず、とても謙虚で腰が低く、それでいて会話の中に高いインテリジェンスを感じさせる方の診察時には、会社役員と書いて尊大に構えている方よりは、こちらサイドの緊張感のレベルが少し上がります。

 こんな時いつも考える事ですが、自分がもし高名な実業家あるいは国会議員などの肩書を持っていたとしても、患者という立場でどこかの医療機関の診察を受ける際には、職業欄はあっさり記入し特別扱いを要求せず、周りの患者さんとの気さくな会話を楽しみながら、平然と自分の診察の順番が来るのを待ちたいと考えております。

 こういう事のできる人を、私はカッコいいと思うし、周りの人もきっとその人に対する評価を高めるのではないかと考えています。

 しかしその一方で、分刻みのハードワークをこなしているような忙しい人が、会社をリタイアし悠々自適の生活をしている人と、「平等に」、混雑した待合室で診察の順番を待つことを社会は本当に望んでいるのか、疑問に感じる事もあります。

 アメリカのように完全予約制、1人当たりの診察時間は30分、しかし診察料は日本の10倍以上という選択肢があってもいいのではないかとも考えます。 


 私は、世界に冠たる日本の医療、国民皆保険の良さは堅持しながらも、もう少し柔軟で現実的な医療制度の改革が進められ、TPPの批准によって懸念される、アメリカの保険会社を利するだけの混合診療解禁は、断固避けなければならないと考えています。



わたなべ整形外科のTABOO

「来る者は拒まず、去る者は追わず」

 私は平成元年の開業以来、この原則を忠実に守って当院のスタッフ達と接して来ました。これまでに多くの人を迎え入れ、また多くの人が巣立って行きました。
 こんな中、開業以来のスタッフも含め、とても長く一緒に働いている仲間達がいます。彼らに共通しているのは(これは私の勝手な推測ですが)私が掲げる、「医療に対する考え方」への共感かなと考えています。
 病を抱え来院される患者さんに接する際の心構えとして、開院以来掲げている「笑顔」「親切」「信頼」、そして「常に患者さんに希望を与え続ける医療姿勢」を貫く為、時には厳しくスタッフを指導する事もありますが、そんな時私の基本的な医療に対する考えを理解している人はポジティブに受け入れてもらえているようです。
 診療中本当にまれにスタッフを叱ることがありますが、それは患者さんに迷惑をかける行為をした時です。
 また使ってはいけない言葉も多々あります。診察時、レントゲン所見や病状についての説明をしている時、よく患者さんから、この病気この症状がなかなか改善しないのは年のせいですよねと言われることがありますが、これに安易に相槌を打つと大変な事になります。「あそこの病院に行ったら、年のせいだからもう治らないと言われた。」と言い触らされることになります。
 また注射やギプスその他の治療が終了した時、今日はこれで「終わり」ですというのも当院ではご法度です。私は高齢者に対して「終わり」という言葉を使うのはTABOO(タブー)と考えており、必ず、今日はこれで終了です、あるいは、これで完了ですという言葉を使うようにスタッフを指導しています。
 その他、患者さんの前で使ってはいけない言葉は、「大丈夫ですか?」「間違えました。」「失敗しました。」「ダメでした。」などなど、たくさんありますが、基本的には、患者さんに不安感、不快感、不信感を与えるような言葉はすべて禁句とし、むしろ希望を与え、不安を解消し、信頼感、幸福感を与えるような言葉を選ぶことを目指しています。

 さて頑固オヤジの復活を目指す私としては、ひとたび当院のスタッフとなったからには、お節介と言われ様がお構いなしに、ビシビシと様々な教育を行っております。言葉使い、長幼の序の徹底、高齢者、弱者へのいたわり、一般常識の習得、身だしなみに至るまで、これからの長い人生を、そして社会生活を送る上で、とても大切な、そして基本的な事を若い人達は学んでくれているのではないかと確信しております。
 
 院長としては、わたなべ整形外科で最低でも3年位勤め上げることが出来れば、どこに出しても恥ずかしくない、バランスのとれた社会人に仕上がることを目指しています。
            

お笑い芸人考


 最近私は、以前にも増してテレビを見なくなった気がする。
その一番の理由は、興味をそそられるような、内容の濃い番組がとても少なくなったと感じるからです。
 そしてもう一つの理由は、どのチャンネルを選択しても関西系を中心としたお笑い芸人達が出演し、番組を仕切っているからです。
 芸人とは名ばかりで、粗末な芸しか持たない人達が延々と、身内で遊んだ話や失敗した話など、一般人が仲間と居酒屋で盛り上がっているだけという風にしか見えず、交流のある芸能人や自分達の私生活を露出し合い、出演者同士で勝手に受け、大笑いしている姿を見せられても、私は何も共感できないし、少しも面白いとは思えない。本物志向の私としては、彼らのような中途半端な存在はちょっと苦手である。

 さまざまなSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)にクライアントを奪われ、経営上の大きな岐路に立つTV業界としては、出演料が安く、あまり番組制作に費用や時間をかけずTV放送の帯を埋めてくれる彼らの存在は、とても貴重だという裏事情は十分理解出来るが、もうそろそろ個人的にはちょっと限界という気がするし、こんな手抜きを続けて行くとそのうち一般視聴者にも飽きられ、本格的なTV離れに拍車がかかるような気がする。

 また「タブーの正体」(川端幹人著)に克明に書かれているように、TV業界を支配する大手芸能プロダクションや大手広告代理店の意向により、才能の乏しい人達が戦略的に売り出され、彼らを頻繁にTV露出させる事によって、いつの間にか国民的アイドルにまで仕立てて行く手法は見事ではあるが、欧米流の実力主義を好む私としては何とも納得の行かない所である。

 ところで、頻繁にTV露出しているタレント達に対して、まったく一度も個人的に会ったことも話したこともないはずなのに、まるで自分の家族や親しい友人を呼ぶが如く、君付け、ちゃん付けで語る人達が最近急増しているような気がするが、これもちょっと個人的にはついて行けない。ちょうど言葉の語尾を、疑問符の如く上げて話す人と会話した時のような違和感を覚える。

 いずれにせよ、幸か不幸か大きな社会的影響力を持ってしまった彼らに是非お願いしたいのは、自分たちの発信する言動の持つ大きな影響力をちゃんと理解し、もっと責任ある行動をとって欲しいという事です。またメディア側も、様々な圧力に屈することなく、公共の電波を扱う放送人としてのプライドを喚起し、その放送内容にもう少し責任を持ってもらいたいものです。