カン(勘)

感覚や感じ方、捉え方。
推理・考察などによらず、感覚的に物事を瞬時に感じとること。
ある事象を前にして、何かをすばやく感じとること。

例えば、重さを手で量るとき、どの程度の重さかを手の感覚で確かめる。
いちいち、はかりに乗せるまでもなく、瞬時に重さを判定する。

「カンが働く」とは
何かの原因や隠れている筋道を推測、判定すること。
生活上でも、仕事上でも普通に行われている。

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コツ(骨)

要領、ポイント、要点。
「要領が良い」とは、処理のしかたがうまい、手際がよいこと。
手はず、手順、手際のような作業の進め方も表す。

例えば、刺身を包丁で切ることと大根を包丁で切ることは自ずとやり方が違う。
対象である魚と大根の違いもそうだが、切る包丁の形状も違い、切る目的も違えばコツは変わる。
鉛筆削りでも、木部を削るときと芯部を削るときはカッターは同じだが、方法が変わる。

コツは作業の成否を握っている要領のこと。
コツを承知した上で、適切なアクションを行えば作業はうまくいく。

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カン・コツは根っこでつながっている。
カンで得られたことをコツに反映させ、
コツで必要なことをカンで探ったりする。
日常生活でも、仕事の上でもカン・コツを使い分け、あるいは協働させている。

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カンは表現がしにくいものである。
一般に表現がしにくい内容は指導が難しく、暗黙知と呼ばれている。

カンは体験・経験によってもたらされる体感である。
従って、効果的に体感を獲得できるようにすればよい。
そのカンが身につくような場面を意図的に設定すれば良い。

変動する内容であれば
まず指標を覚えさせ、その後に変動する内容を体験させれば習得できる。
カンの指導で役立つ方法がある。カンを明瞭に体感できるように抽出して体験させることだ。
言葉を換えれば、そのカンだけを感覚として認識できるように工夫するのである。

私たちの実験では、音のライブラリーを作ったことがある。
音はどのように記憶するのであろうか。
体の中に音に関する引き出しがあり、この中から、今ある音を判別しているに違いない。
そこで、これを編集しストックさせてみた。
それらが確かな記憶となるように練習を組み立てると、確実な判別・判断につながることが分かった。


コツは謎解きのようなもの。
「いかに作業すれば能率的にしかも良い成果が出るか」を極め、それを表現すればよい。

コツが伝わりづらいのはコツを整理していないから。
作業はできるが指導はできないというのは指導者がコツを整理していないからだ。
困ったことに指導者は自然に行っているに過ぎない内容なのである。
つまり、どこがカンドコロだかわからないまま指導しているのである。
指導者がそのことを自覚さえすれば後は表現の問題となるだろう。

カン・コツは技能分析で整理できる。
技能分析は熟練者の行為・行動を整理する方法。
熟練者が持っている4つの内容を簡潔明解に整理する。

第1は、目標到達概念。
できばえや、仕上がりに対する確かな認識のこと。
これができていないと、方向を見失ってしまう。
良いサウンド、音の調和、スピード・・・、良い奏者はこれをよく認識している。

第2は、場の概念。
仕事場や環境についてのこと。
コンサートでいえば、演奏会場、バイオリンの調子、会場の空気などである。

第3は、空間上の運動概念。
時間の進行に伴って、どのようにアクションするか。
指揮者の表現したい内容を奏者は具体的にどのように動作・運動を行えば良いかを体が知っている。
多くの手わざと判断が連続する。

第4は、手段と時間の概念。
どのように技を実行するかという企画や段取りに関することだ。
今日の聴衆、雰囲気に合わせて、最高度に楽しめる音を創り出す。

カン・コツは分析的にとらえることで、より明瞭にすることができる。
カン・コツをまるごと、そのまま理解しようとするのは無理がある。
あるいは理解には遠い道のりとなるだろう。