新型コロナの新規感染者数が急減しましたが、その理由として、政府分科会の尾身茂会長は、9月28日の会見で、次の5つの要因を仮説としてあげられました。
(1)一般市民の感染対策強化
(2)人流、特に夜間の滞留人口減少
(3)ワクチン接種率の向上
(4)医療機関・高齢者施設での感染者の減少
(5)気象の要因
そこで、
「第6波に備えるには、なぜ感染が急拡大し、急激に落ちたかの分析が非常に重要」
と尾身先生は述べられましたが、
クライシス・緊急事態リスクコミュニケーションの視点からは、その分析結果である「成果」を肯定的に伝え続けることが、危機管理者(あるいは、対応の結果により影響を受ける組織の専門家)としての信頼を維持するために重要です。
特に、国民に協力をお願いしていた感染予防行動のおかげで、新規感染者数の急減という成果が出たのであれば、そのことを繰り返し述べ、
「皆で一致団結すれば、我々は、新型コロナの流行を乗り越えることができる」
とコミュニティ・エンゲージメントやエンパワメントにつなげることがポイントです。
今こそ、
「多くの国民がワクチン接種をし、感染予防行動を徹底したことで、新規感染者数を急減することができた」
等と、達成できたことや現在行っている継続中の対応を強調しましょう。
もちろん、ウイルス側の要因で急減したことが明らかになれば、そうした分析結果も速やかに公表することが重要です。
こうしたクライシス・緊急事態リスクコミュニケーション(CERC)とリスクコミュニケーションの違いを理解し、現場の医療者がリスクコミュニケーションを活用できるようになるために、11月7日(日)に、「現場の医療者のためのリスクコミュニケーションセミナー」をオンラインで開催いたします。
コロナ禍での経験や思いをわかちあい、互いに学び合いながら、リスクコミュニケーションの世界を探求していきましょう!
p.s. 本内容について、現在、『公衆衛生』(医学書院)で連載中。
著書『クライシス・緊急事態リスクコミュニケーション:CERC』(大修館書店)には、本稿の詳細が、
そして、『ヘルスコミュニケーション』(ライフ出版社)には、コミュニティ・エンゲージメントやエンパワメントについての詳細が、
それぞれ説明されていますので、