過剰脱脂について③〜患者力をつけて身を守る〜 | 美容外科医・Dr.安嶋“あじ先生”のブログ『あじブロ』

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あじまビューティークリニック・院長の安嶋康治(あじまやすはる)です。

クリニックで行っている美容医療のご紹介から、プライベートのお話まで、色々な事を書いています。
是非ご覧ください(^^)

◆美容外科専門医(JSAPS)◆
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はじめに

ここ数日、YouTube上で過剰脱脂による重篤な後遺症を告白された方の動画が大きな反響を呼び、ようやくこの問題に光が当たり始めています。

しかし、私はすでに数年前から、このブログにおいて、その危険性を繰り返し警告してきました。

あらためて、強く申し上げます。

過剰脱脂は、現代の下眼瞼形成において絶対に許されない治療方針です。




過剰脱脂による後遺症は「不運」ではなく「必然」

今回のケースで生じた後遺症は、「たまたま運悪く起こってしまった事故」ではありません。
治療方針そのものが誤っているのですから、その中で想定しうる後遺症が必然で起こったわけです。
そういう治療をしていたら、このような見た目の不具合〜機能的後遺症は出ることは十分予測できますよ、出なかった人は運が良かったですね!…ということです。


眼窩脂肪の過剰切除については、上下まぶたともに、
半世紀以上前から複数の学術論文が明確な危険性を繰り返し警告してきました。
英語圏では、過剰脱脂で生じる外観を“cadaveric look(死体様外観)”という、医学文献としては異例なほど強烈な表現で示しています。
過剰脱脂の後遺症に悩まれている方には心に刺さる言葉になりますことをお詫びいたします。



論文ではありませんが、英文の下眼瞼治療指針の抜粋です。

実際このように眼球やまぶたが奥に引き込まれたり、寄り目(眼球が内側に倒れ込む)になったり…ギョロギョロとした特有の外観を呈します。
これが若返り?美しくなる?…嘘でしょ?と言いたくなる結果ですよね。真逆です。
「まさに今の自分だ」と感じられる方も多いかもしれません。

つまり、歴史・解剖・エビデンスの全てにおいて、過剰脱脂は正当化不可能な誤った医療と断言できます。



過剰脱脂医の思考とは?

それにも関わらず、過剰脱脂を行う医師からは、
⁡「窪ませると最初から説明している」
「結果が気に入らないのは患者の責任」
「後遺症は手術と関係がない」
といった主張が堂々と語られているようです。


もしこれが真実であれば、それは解剖学的理解の欠如、倫理観の欠落、医学的責任の放棄に他なりません。

どれを切り取っても、医師として許容される水準ではありません。もちろん、それ以前に、人として。

本来、美容外科医は、患者さんが“正しく”美しくなられるためのサポートをする立場であると私は思います。

患者さんは、医師の歪んだ価値観や承認欲求を投影するための道具ではありません。
それでもなお、自己を絶対視し、異論を許さず、承認欲求が膨張した結果、異常とも言える言動へと進んでしまう。
これは単なる個性では済まされません。
本来、メスを握る権利もないはずです。



我々の警告を無視し、反論する過剰脱脂医

現代の下眼瞼形成外科は、国際的にも治療方針が成熟してきている領域です。
「ひとりだけが正しく、世界中の専門家が間違っている」
そんなことは現代医学では起こりません。
あまりにも難易度が高い手術というのであれば別かもしれませんが…脱脂は、美容外科医が初期から行う比較的難易度の低い手術です。その中で1人だけが圧倒的に高いクオリティを出すというのは無理があります。



実際、我々のように形成外科学を体系的に正しく学んできた下眼瞼形成外科医からの警告、後遺症を患った方の悲痛な叫びは、過剰脱脂医にも幾度も届いていたはずです。

それでも耳を貸さなかった。

医師の警告も、患者の声も、全否定。
残念でなりません。


であれば、皆さんお一人お一人が美容医療の善悪を見分けられる「患者力」を身につけることで、危険な医師からご自身の身を守っていただくしか、方法はないということになります。



「ヤバ医」の見分け方

美容医療の情報発信は華やかで、初心者ほど誤った情報に振り回されやすい領域です。
実力が不足していても、SNSが上手ければ「勝ててしまう」こともザラです。
むしろ、上手な先生はSNSでは目立たないことが多い。

医師選びは、本当に難しい。


でも、ヤバい医師「ヤバ医」は見分けられます!

今回の事例で言えば、
・自分の治療を絶対視し、他院を攻撃する
・失敗を認めず、患者の責任にする
・国際的なスタンダードを否定し、自分だけの美学を押し付ける
雄弁に語るその姿は「唯一無二の神」に見えてしまうこともありますが、騙されてはいけません。

このような兆候が見えたら、距離を置くべき明確なサインです。





まとめ・悲しむ方をこれ以上増やさないために

あり得ない治療方法に釘を刺さなければいけない。

このような低レベルの警鐘を発信しなければならないことが、本当に悔しい。

そして、こうしている間にも、涙されるような結果を迎えてしまう方々が増えてしまっているかと思うと、とても辛いです。

私自身の発信力の無さが悔やまれます。


どうか、冷静で誠実な判断ができる医師を選んでください。
どうか、悲しむ方がひとりでも減りますように。


下眼瞼形成外科に携わる者の端くれとして、これからも 「正しいこと」 を、「わかりやすい形」で伝え続けていきたいと思います。