また、乳癌の術前化学療法が、血行性転移を促進する可能性

乳癌の予後は血行性転移リスク
乳癌の腫瘍サイズ、核異型度(グレード)は
血行性転移の可能性と相関していない
術後病理検査のリンパ節転移の程度、血管リンパ管侵襲の程度は、血行性転移リスクを評価できない
リンパ節転移の度合いでは、血行性転移リスクは評価できない

術前化学療法は、腫瘍サイズは小さくなるが、転移を誘発する可能性、
マウス実験と乳癌患者さんの残存癌組織より

(癌のマウス実験は通常のヒトとは違う状態のマウスを使用するため
ヒトに発生する癌の性質を表すマウスなのか疑問
疑問の声があっても乳癌に乳癌モデルマウスが使われる
前臨床試験(マウス実験)を経ないと臨床試験にいかないが
癌研究はマウス実験でベクトルが違うことをしているの考えがある
(正しい治療がマウス実験で振り落とされている可能性)

腫瘍細胞が転移するには、
腫瘍細胞が運動能をもつ
(細胞骨格のアクチンを制御するMena蛋白質の発現亢進)、
血管新生能をもつ

運動能をもつ→遊走し血管内皮細胞と接する
血管内へ入るために
血管新生促進のアンジオポエチンの受容体のTIE2と
血管内皮細胞増殖因子A(VEGFA)を高発現する血管周囲マクロファージ
癌細胞とマクロファージと血管内皮細胞が密に接した部位が、
癌細胞が血管内に侵入する部位Tumor Microenvironment of Metastasis(転移の転瘍微小環境)TMEM
術前化学療法は原発巣は縮小するがTMEMの密度は増加

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Neoadjuvant chemotherapy induces breast cancer metastasis through a TMEM-mediated mechanism.
術前化学療法は、TMEM媒介メカニズムにより、乳癌の転移を誘発する
Sci Transl Med. 2017 Jul 5; 9(397):
Abstract 抄録
Breast cancer cells disseminate through TIE2/MENACalc/MENAINV-dependent cancer cell intravasation sites, called tumor microenvironment of metastasis (TMEM), which are clinically validated as prognostic markers of metastasis in breast cancer patients.
乳癌細胞は、 腫瘍転移微小環境と呼ばれる、 TIE2/MENACalc/MENAINV依存 癌細胞血管内侵入部位を介して散布する、それは、 乳癌患者における転移の予後マーカーとして臨床的に検証されている

Using fixed tissue and intravital imaging of a PyMT murine model and patient-derived xenografts, we show that chemotherapy increases the density and activity of TMEM sites and Mena expression and promotes distant metastasis.
PyMTマウスモデルの固定組織と生体内イメージング、患者由来異種移植を用いて、我々は、 化学療法が、TMEM部位の密度と活性と転移発現を増加し、遠隔転移を促進することがわかった

Moreover, in the residual breast cancers of patients treated with neoadjuvant paclitaxel after doxorubicin plus cyclophosphamide, TMEM score and its mechanistically connected MENAINV isoform expression pattern were both increased, suggesting that chemotherapy, despite decreasing tumor size, increases the risk of metastatic dissemination.
さらにその上、ドキソルビシン+シクロホスファミド後にパシリタキセルの術前化学療法で治療した患者の 残存乳癌では、TMEMスコアと、機械的に結びついたMENAINVアイソフォーム発現パターンが、両方増加し、 それは化学療法が、腫瘍サイズは減少しているにもかかわらず、転移性播種のリスクは増加することを示唆する

Chemotherapy-induced TMEM activity and cancer cell dissemination were reversed by either administration of the TIE2 inhibitor rebastinib or knockdown of the MENA gene.
化学療法誘発TMEM活性と癌細胞播種は、 TIE2阻害薬レバスチニブまたはMENA遺伝子ノックダウンかどちらかによって、改善した

Our results indicate that TMEM score increases and MENA isoform expression pattern changes with chemotherapy and can be used in predicting prometastatic changes in response to chemotherapy.
我々の結果は、化学療法に伴いTMEMスコアが増加し、MENAアイソフォーム発現パターンが変化し、 化学療法への反応において前転移性変化の予測に使用できる可能性があることを示唆する

Furthermore, inhibitors of TMEM function may improve clinical benefits of chemotherapy in the neoadjuvant setting or in metastatic disease.
さらに、TMEM機能の阻害剤は、術前または転移性疾患で行う化学療法の臨床的利点を改善する可能性がある