小説指原莉乃第二十三章リライト~沖縄夢散(後編)…前説はリセット症候群 | 散り急ぐ桜の花びらたち~The story of AKB.Keyaki.Nogizaka

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小説家を目指しています。ゆいぱる推し 京都地元大好き 鴨川のせせらぎと清水寺の鐘の音の聞こえるところに住んでいます。


~リセット症候群






先日放送された、上田と女がDEEPに吠える夜


ぱるるとファッサマさん、この件については意見は対極にある様です

人をちゃんと好きになれないぱるるだから

他人にどう思われようとそんな生き方がぱるるにとってはベスト何だとは思う

ただ、人との関係性の未来をブチブチ切っていく事のリスクは覚悟しないといけないんだよね

自らの未来の可能性に関わる因子はリセットされた中にも入っていたはずで

それを全て消し去っていったぱるると

取り敢えずキープして残していったファッサマさん

バラエティはともかくも

今の女優としての二人の立ち位置の差はここらへんも大きく影響してるはず

人脈とかコネとかそんな生い言葉は使いたかないけど

やっぱり人と繋がっててこそのこの世界だから

そこは女優をやっていく上では人をバッサバッサ斬っていったら


それは大きなハンデにならざる得ないと思う

けどぱるるがぱるるである為のリセット症候群なら

それも推しの個性の一つとして私達は尊重する

っていうかリセット症候群上等(笑)


人との関わりもそこそこに自分に嘘をつかないで楽しく生きる


──迷ったら楽しい道を選べば良い


師匠のあの人の教えをぱるるは実践してるだけなんだから




ということで今回は沖縄夢散の最終章、

AKBグループ最悪の悪魔の道化師、須藤凛々花

嵐で行き場所を失った彷徨えるアイドルたちが

悪魔に奈落に落とされるAKB48 選抜総選挙史上最悪の茶番劇

とくとご覧くださいませ


 



            𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・🌊🌧



 


いつか見た、沖縄のコバルトブルーの海の色がどうしても思い出せなかった。

窓の外には雲間から淡いオレンジ色の夕陽が覗いているというのに。

雨はもうすっかり上がり打ち寄せる波は驚くほど穏やかだというのに。

昨日までの自然の荒事は神様の悪戯か。

もしこの空の下で彼女たちが自分たちの夢を叫べていたなら

こんなことは起きなかったのかもしれないというのに。

 

 

 

 

 

「どういうことやねん・・」

 

みるきーさんの抜けた穴は私達が血みどろになって埋めていく。つい半年ほど前そう叫んだ難波の次世代エースが画面の向こうで引きつった笑顔をこちらに向けていた。

 

「血みどろて、こういうことやないで、凜々花」

 

山本彩も沖縄にいた。自らの選抜総選挙辞退は去年から決めていたこと。盟友由依はんともそれに関してはしっかりと意思の疎通は取れていた。

 

「美瑠も育ってきてくれたし、あかりんもいる。なにより凜々花がみんなに物を云えるようになってきたことが難波にとっては一番大きい」

須藤凜々花の成長、それを何よりも目を細めていたのがさや姉だった。

 

「凜々花が入って三人、それで初めてうちらは釣り合いが取れる。選抜に二人では難波は置いて行かれる。それをちゃんとわかってるのも凜々花。」

自分が引いたその枠には須藤が入れる、そんな計算もさや姉にあったのかもしれない。

 

「本音を言うたら出てくれるのが、ベストやねんやけど・・・」

そんな由依はんの願いにもさや姉は首を横に振った。

 

「私が前に出ることよりも一歩下がることの方がドラマが生まれる。綺麗ごとやないで、由依はん。

周りが輝いてくれんと私も輝かれへん。一人で発光するには私もまだまだやいうことや」

自分も難波もまだまだ。裏を返せばNMBでは自分はやりたいことがまだまだある。

その言葉の意味が由依はんには何よりうれしかった。

 

 

「さぁ、それじゃあ、みんな、りりぽんにおめでとうって、言おうか!」

 

MCの徳光和夫が難波の仲間を煽るように叫んでいた。

いつもは癒されるその笑顔もこのときばかりは歪んで見えた。

 

「余計なことを・・・」思わず呟く。

何処までが本当でどこまでが嘘なのか。

夢幻の世界は画面の向こうでまだ続いていた。

もしかしたらなにか大仕掛けの演出ということだってあるのかもしれない。

凛々花のもって生まれた天然が炸裂しただけなのかもしれない。

けれど頬っぺたを叩いてみても頭をゆすってみても目を見開いても目の前の景色は何も変わらない。

何もかわらず現実は静かに進行する。

 

「凛々花・・・」

もし私があそこにいたら。。そんな想いがどうしても頭をよぎる。

こんなことにはなっていなかったのかもしれない。

彼女の告白はもう少し違う形になっていたのかもしれない。

 

 

さしたる自信はない。私だっていろんな悩みはあるし正直人の事をとやかく面倒見れる状態じゃない。

アイドルをやっている以上自分を磨かんことには人も輝かされへん。己があってのメンバー、そしてNMB48。

 

でも今からでも遅くはない。このホテルから会場までは車で行けば10分とかからない。

「行ってみるしかない」

声にならないような呟きが吐息のように口から漏れる。

 

「『結婚したい』とか、『結婚します』とか、そういうファンの皆さんが複雑な気持ちになってしまうことを言うメンバーを見て・・・本当に胸が痛い」

朱里が涙ながらにくずれていきそうになる大切なものを懸命に守ろうとしていた。

 

「スキャンダルだったり、問題を起こしてそれをネタにして這い上がるメンバーには私たちは負けない。真っ直ぐに頑張っている人が報われる、グループに変えていきたい」

奈々の声が夢散していこうとするみんなの想いをひとつにする。

 

 

──やめとき、さやか。もう役者は揃ってる。今更や、行っても。。

もう一人の山本彩がそう言っていた

 

また余計な涙を流させるかもしれないあの人に。

今、目の前で起こっていることに一番胸を痛めている人。

また難波から。火種はいつも難波から。自分の夢を犠牲にしてまで守り抜いたNMBは何だったんだろう。

 

小さな薄暗い箱の中で、誰にも見られることなく聞かれることもなく、ぼそぼそと夢を語るメンバーたち。まるで沖縄の海の底深くで人目を忍んで開かれている深海魚たちの宴をみるよう。叫んだ夢がどこにも届かないように思えた。

私には夢が淡く浮かんでは散っているように思えた。

 

 

 








 

 

 

            𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはいったいどういう涙なんだろう。

私は観客席を背にして跪き、まゆゆと抱き合っていた。

 

「ごめんね・・」

 

「何が?・・・」

 

二人で流す涙の意味が互いにわからない

もっともっと流せる涙はいっぱいあったはずなのに・・・・

 

 

 

 

 

「大丈夫、由依ちゃん?」

 

ステージを降りるなりさしこが足早に肩を寄せるようにして歩み寄る。

私は小さく首を横に振った。

 

「・・・な訳ないやろ!」

 

頭が混乱してるせいか、ついつい声も大きくなる。おそらくこれから嵐のようなメディアの取材が待ち受けるはず。さぁ、どう乗り切ればいいのか。

私にとっては初めての神7.つかの間の喜びが今はもうむなしくて悔くて、どうにもやりきれない。

みんなそんな気持ちなんだろう。ステージから下がってくる顔がみんな下を向いていた。

去年より順位を上げたメンバーも手放しでは喜べない。笑顔もそこそこに周りを気遣う表情がここそこに並ぶ。

 

「横山さん、あそこ・・・」

後ろからそっと朱里が私の肩を撫でる。

目線で指し示す方向に須藤凜々花の姿。その前に立ちはだかるように

「島田・・・」

 

凜々花の肩をわしづかみにし大きくゆする島田。間に入って止めに入ろうとするメンバーたち、

何かを懸命に叫んでいるまっこじの姿も見える。

その様子を撮影クルーの照明があからさまに晒していく。まさにAKB終焉を思わせるような修羅場が展開されていた

 

「止めるんや、朱里」

 

「うん」

 

「待ちや、朱里。ミイラ取りがミミイラになるんやないで!」

 

その言葉を待たず、朱里は走っていく。おそらく一番凜々花に食って掛かりたいのは彼女なんだろう。

無理からの沖縄、そして開催中止。、みんなが襟を正さないといけないこの時に貴女は何をしてくれたのか。一度堰を切ればこの場でそんな大合唱が始まるだろう。そしてそれは何を意味するのか。

 

「あの子がずっと言ってた、AKBに風穴を開けるってこの事なのかもね」

さしこがまるで他人事のように笑った。

 

「もしかしてあんた、知ってたんやないやろな。。」

 

「んな訳ないでしょ。 ただ・・。」

 

「ただ?」

 

「ただ、彼女ひとりでできることじゃないのかなって・・・」

 

「それって?」

 

「そうあの人・・・」

互いに顔を見合わせる。

思い浮かぶのはずっと裏で進行しているであろうAKB終活の話。

 

「これも演出っていうこと?」

 

「ううん、そうじゃない。聞いたけど、あえて止めなかった。そこから生まれる何かを期待して。」

 

「何を期待するんや、こんなことに。。」

 

さしこの口が止まる。視線の先はずっと凜々花とその周りで繰り広げられている修羅場を捉えたまま。

薄笑いを浮かべていた表情から徐々に血の気が失せていく。

 

「凜々花が三人もいたらAKBは根底から変えられるのになって、以前秋元さんがいったことがある。

お酒の席での戯言だと思っていたのでその時はそれほど気にも留めなかった。

でも、今日のこれでしょ。」

 

話が核心に近づいているように思えた。この総選挙の一連の流れの中であの人の終活はエンディングを迎えるはずではなかったのか。もしかしたら、この騒動でそれは変わる?。

 

「さぁお前らどうするんだ、こんな奴が現れてどうする?どうするんだよ指原、横山。

そんな声が聞こえてきそうな気がしない?由依ちゃん。」

 

しぇからしか、凜々花! 

逃げる気、りりぽん!

 

気がつけば須藤凜々花を取り囲んで二重三重の輪が出来上がっていた。

はるっぴと朱里、水と油の二人が共通の敵を見つけて襲い掛かる。

島田はその肩を掴んで離さない。その瞳にはうっすらと涙さえ浮かんでいた。

アイドル達の眼の色が変わっていた。大切なものを守るために。

入ってきたウイルスを防ぐ免疫細胞のように。

特効薬なのか劇薬なのか。衰弱しきったAKBにとんでもないものを投げ込んだのは・・・

 

あなたなの?秋元先生。

 

 


 

 

 

              𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・𓂃𓈒𓂂𓏲☆.・





 

 

 

 

 


 

 


 

 
 

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