「ごめんね。また翔くんの順番が遅くなっちゃった」

 

申し訳なさそうに眉を下げた表情をして、智くんに声をかけられた。

 

 

「そんなの、気にすることないよ。

俺はいつまででも待てるから。

なんたって、死んでも待つつもりだから」

 

それでも、智くんは俯いてしまう。

 

 

 

 

 

智くんに関わったほぼ全ての人が智くんの人間的魅力に取り憑かれる。

智くんと連絡先の交換をしたい。

食事をしたい。

智くんの作品が欲しい。

 

絵を描く智くんを昔から見ている俺は、作品が欲しいとはなかなか言えない。

描きたいものを描きたいときにしか描けないのを知っているから。

 

描いたものを拒絶されたこともある。

絵の見方はそれぞれの自由だから。

それこそ、Free Style でしょ?

そう言いながらも。

絵を描くことを辞めてしまった。

 

ペンを手に取っては、紙にいたずら描きのような。

試し描きのような、模様を描いて。

寂しそうに、ふふっ、って笑う。

 

絵を描こうとしてるのに、そんな笑い方をしてる智くんが。

あまりにも苦しそうで。

楽しく笑って欲しい。

笑えないなら、笑わせてみせよう、と。

 

どこかの戦国武将のように傲慢に考えた。

 

 

それなら俺にも描けるかも、と。

智くんの隣で同じように紙にペンを滑らせた。

同じ模様を描いたつもり・・・なのに。

出来上がったのは全く違う模様・・・とは言えない無秩序な線の集まり。

 

楽しそうに笑ってくれる顔が見られなかったけど。

俺の絵を見て、嬉しそうに微笑んではくれた。

 

 

“この絵、僕にちょうだい?お返しに翔くんに絵を描くね”

 

智くんからそう言われて、死ぬほど嬉しかった。

ずっと待ってる、いつまででも待ってる。

死ぬまで待ってる、死んだ後でもいい。

 

“死んだら、絵見られないでしょ?”

 

そう言って、笑われた。

俺の見たい楽しそうな心からの笑顔じゃなかったけど。

それでもさっきの笑い方よりはずっとましだった。

 

 

 

 

☆★

 

祝!個展開催!

9月ですって?

嬉しいね。

 

ということで・・・Twitterで個展のこと知って、書き始めました。

 

またグッズはローソンで買えるようにして欲しいですね〜

作品集も出るかな?