智くん、そこにいてよ。
智くん、俺頑張るから!
智くん、一緒に踊らない?
智くん、ねえ?智くん?ねえってば!?


うるさい!
僕に構うより・・・ちゃんと振り付け覚えろ!
同じ部屋の隅で暇つぶしの動画を見てる僕に・・
翔くんは構って欲しそうに合間合間に話しかけてくる。

振り写ししてくれてるJr.も・・・キレそうになってる。
そりゃ・・・そうだよね。
翔くんの態度は・・・真面目に振りを覚えようとしてる風には見えない。


「翔くん。
13時までに振り入れが終わらなかったら、僕、先に帰るからね」

スタジオに入ったのが、10時。
それからほぼすぐに練習が始まったから・・・
3時間もあれば、復習して、振り覚えられるよね!?

なのに、翔くんは僕をちょこちょこ構うから!


「翔くん。もう13時。先に帰るから」

僕は翔くんに宣言した。
立ち上がって、部屋を出ようとした。
翔くんは僕に飛びついて、縋りつくように引き止めてきた。


「智くん!待って〜あともう少し」

「あと少し待っても意味ある?
翔くんは目の前にあることを頑張れないの?」

翔くんの目をジッと見つめた。
いつもはイケメンな翔くんの顔見てると、つい・・にやけちゃうけど。
この時ばかりは・・・真剣。
仕事に不真面目な翔くんなんて・・見たくない!


「ごめん」

翔くんは僕から目を反らすと、手を離してくれた。
僕は部屋を出た。
自販機でお茶を買って。
スタジオにある、別の部屋に落ち着いた。


スマホでさっきこっそり撮影した翔くんのダンスを見る。
ちゃんと覚えきってないところの動きはなんか小動物みたい。
足元が覚束なかったり、ヘロヘロしてたり。
つい、くすくす笑いが出る。

でも、ふっと真面目な表情になるところは・・・カッコよくて。


動画を止めて、カッコイイ翔くんを眺めた。



「早くしないと・・・ホントに帰っちゃうからね!」

手の中のスマホが取られた。
あっ!と振り返ったら・・・翔くんだった。


「何見てたの?」

画面が見えてるんだから、わかってるくせに!
ニヤニヤして僕に尋ねる。
翔くんを見てた、とは言いたくなくて。



「振付覚えるのに、見てたの!」




☆★


VSで語られた、智くん、スタジオで動画見てて振り覚えた事件?
の真相はこれに違いない!

妄想って・・・いいですよねぇ(笑)