ビル・エヴァンス~1960年代後半からのエヴァンス~ 前編 | 国立(くにたち)昭和大衆音楽同好会

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昭和(1926〜1989年)のジャズ、ブルース、ラテン、ロックなどの音楽を独断と偏見で紹介!

 先日4月26日(木)に国立NO TRUNKSで開催された、国立(くにたち)昭和大衆音楽同好会Vol.6の報告です。今回のテーマは1960年代後半からのビル・エヴァンスです。まずは、後藤敏章の選曲&コメントから!

 

 

■後藤敏章の選曲&コメント

 

 インプロヴィゼーションでのハッとするような鋭い切り込み、情感をたっぷり込めた音の鳴らし方など、ビル・エヴァンスのピアノはやはり特別な存在感がある。そして、おそらくは高度でマニアックなことをやっているに違いないのに、とても聴きやすくその世界に入りやすいというところもエヴァンスの魅力だ。一番有名なのはリヴァーサイド・レーベル時代だが、それ以降の作品でも彼のその存在感と魅力にたくさん出会うことができる。

 

①Make Someone Happy / Bill Evans(p),Chuck Israels(b),Arnold Wise(ds)

②Straight No Chaser / Bill Evans(p),Jeremy Steig(fl),Eddie Gomez(b),Marty Morrell(ds)

③My Foolish Heart / Tonny Bennett(vo),Bill Evans(p)

④Minha(All Mine) / Bill Evans(p),Eddie Gomez(b),Eliot Zigmund(ds)

⑤Some Other Time / 同上

⑥~映像1966年~ Stella By Starlight / Bill Evans(p),Eddie Gomez(b),Alex Riel(ds)

⑦~映像1966年~ Nardis / 同上

⑧~映像1980年~ Person I new / Bill Evans(p),Marc Johnson(b),Joe La Barbera(ds)

⑨Tomato Kiss / Evans(elp),Toots Thielemans(har),Marc Johnson(b),Eliot Zigmund(ds),Larry Schneider(ss)

 

 ピアノトリオ①はヴァーヴ時代の代表作「アット・タウン・ホール」(1966年)から。父に捧げたソロメドレーもアルバム中盤ではあるが、トリオがやはり燃える。特に①の淀みなく繰り出されるピアノの高速フレーズは、何度聴いても引き込まれる。

 

 フルート奏者ジェレミー・スタイグとの共演アルバム「ホワッツ・ニュー」(1969年)は全般的になかなかエモーショナル。②のエヴァンスの前のめりなソロ、スタイグのこれフリージャズかという咆哮に熱くなる。

 

 ②とは対照的に、③ではトニー・ベネットの表情豊かな歌にエヴァンスのピアノはひっそりと寄り添う(1975年)。派手さはないものの一音一音が沁みる。ちなみにベネットは2018年現在も現役で活躍(92歳!)。2014年のレディー・ガガととの共演アルバムではエリントンの曲なども歌っていて、戦前ジャズファンにもおすすめ。アメリカのエンタメの奥深さを味わえる。そんなことも頭に入れながら聴くと、このエヴァンスとの共演作もさらに楽しく聴けるかもです笑。

 

 昨年発表され話題になった1976年の未発表ライヴ音源「オン・ア・マンデイ・イヴニング」より(④⑤)。10年前の上記「アット・タウン・ホール」時以上に、エヴァンスのピアノ・トリオはモダン・ジャズの枠から大幅にはみ出した音楽をたびたび聴かせる。それはジャズのインプロの凄さで唸らせるというより、もっと直接的に聴き手の感情に触れる音楽というか。とにかくこの2曲は美しく切なくて泣ける。60年代中盤および晩年のピアノトリオのそれぞれの魅力は⑥⑦⑧の映像でぜひ(↓映像は66年のNardis⑦)。

 

 

 ⑨はトゥーツ・シルマンスとの共演作「アフィニティ」(1978年)より。このアルバムにはデュオやトリオなどいろいろな形式の録音が収録されている。⑨ではシルマンスのハーモニカのソロ、エヴァンスのエレピのソロが聴ける。ラリー・シュナイダーのコルトレーン派のサックスも熱い。サウンド全体もこの時期のジャズっぽいけっこう燃える。エヴァンズはこういう感じの音楽も残していたんだなという個人的興味で選曲しました笑。