
<2016年3月23日>
ボストン空港を飛び立った 「 JL007 」 便は、アラスカ上空まで来ました。
カナダの聞いたことのない地名から、「 アンカレッジ 」「 マウントマッキンレー 」 という知っている固有名詞が
ディスプレイに出て来ました。

「 マウント・マッキンレー 」 の表示を見て、頭に浮かんだのは植村直己さん。
私たちの席は、進行方向に向かって左側の最後尾でしたので、「 もしかすると見えるかも?」 という想いが
頭をよぎりました。
真っ暗になった機内で窓を開けるのは顰蹙と思い、席を立って最後尾のCAスペースへ行き、そこから窓の
風景に目を凝らしました。真下に凍った湖が見えます。

その先に山並みが見えますが、特に目立って高い山はありません。

そうこうしていくうちに、飛行機はどんどん進みます。
「 マウント・マッキンレー 」 は遥か左後方。

川も凍っているのでしょうか、真っ白な流れが蛇行しながら複雑に入り組んでいます。

こちらは湖沼群でしょうか、大小の白い円形が一杯見えていました。

「 マッキンレー 」 は、どんどん遠ざかって行きます。

このとき、暗幕で仕切られたCAスペースに来ていたのは、私一人ではなく、もう一人男性がいました。
私と想いは同じだったようで、「 マッキンレー・・・どれなのか分かりませんね 」。

それでも諦めきれず、男二人で、白く凍り付いた大地にずっと目を凝らし続けていました。