「断食をすると宿便が出て、カラダがきれいになります」という宣伝文句を見かけることがある。ダイエットのために断食をする人もいるし、健康な身体を求めて断食する人も後を絶たない。しかし断食とは本当に健康によいものなのだろうか?

私淑する故三石巌氏の著書を参考にしてみる。

断食をしたときの腸の状態を考えてみよう。栄養分がまったく入ってこないため、腸内細菌は膵液や胆汁、大腸の分泌する粘液、腸壁から剥がれ落ちた細胞などだけをエネルギーにするしかない。
エネルギー源が減ると、腸の細胞分裂が衰える。つまり腸の機能が衰えるわけだ。

するとどうなるか。大腸は水分を吸収する働きを持っているが、それができなくなる。本来はセルロースやペクチンなどの食物繊維があれば、それが腸内で発酵して「酪酸」を作り出す。酪酸が腸のエネルギーとなり、大腸で水分を吸収することができる。

しかし断食によって大腸の機能が衰えて水分を吸収することができなくなれば、下痢することになる。断食をするとほとんどの人が下痢をするが、まぁそういうワケなのだ。

なおそのときに出る便は「宿便」などではない。腸内細菌の死骸だ。これはたいてい黒ずんでいるので、それを見た人は、「悪いモノが出ている」と勘違いしてしまうのだろう。なお腸を何度も手術している外科医に言わせると、「宿便などは存在しない」とのことである。

腸内細菌は酪酸などの他に、ビタミンB群やビオチン、ビタミンKなども作り出す。断食をすることは腸内細菌のエサを減らし、そういったビタミン類の生産を減らしてしまうという害もあるわけだ。