不倫をやめた泥棒猫 ③ | 泥棒猫の言い分

泥棒猫の言い分

愛した人を略奪しました。

何度も書いてるけど、私は他人に関心がなく、恋愛感情の湧かない人間だったので、

 

彼妻、

彼子ども、

彼家庭、

 

などが気になったことが全くない。

言ってしまえば、

 

彼そのもの、

 

ですら、どーでもよく、

今頃どうしているのかな?会いたいな……。

なんて感情、持ったこともない。

 

妻の愚痴トークを始めようとしたヤツに、

 

「その話、必要?長いんかなぁ?」

 

などという血も涙もないムザンな切り捨て方をバッサァー!とやっちゃうような冷血さがあった。

だから、それまで、歴代不倫で彼妻を見たいと思ったことがないし、見たこともなかった。

 

そんな私が偶然に初めて見た彼妻は、

 

みすぼらしすぎた。

 

なんか、憐れで、気の毒だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

BMWとレクサスに乗り、カルティエが好きで、いつも気前のいい彼の、別の面を見た気がした。

きっと、妻が若くて可愛かった頃は、かっこいい自分に似合いの輝くアクセサリーだったことだろう。自慢の妻として連れ歩いただろう。

劣化してきたら、

生活に必要な程度の額だけ金を家に入れて、あとはみんな、使っちゃうようになった。

女は、代わりはいくらでもいる。

 

もちろん、彼に聞いたわけじゃなくて、みんな私の想像だけど。

 

でも、

私は、

 

彼妻はおしゃれで美しくて、高慢そうな女だと、なにか、イメージしてた。

きっと、そうであったらいいなって、思っていたのに違いない。

 

だって、

あれでは、

 

私がやってるの、弱い者いじめやんけ!

 

 

 

 

 

 

夫にスキューバに連れて行ってもらうことも、夫にイタリアに連れてってもらうこともない、

エステやネイルの費用なんか、捻出すらできない。

まるで飼い殺しな、夫婦関係。

それでもいい、

夫が好きだから、そばに居るだけで、幸せなんだ。

 

そんな女の、

なんの楽しみもなさそうな、女の、

 

一番大切なものを取り上げてオモチャにしてる私って、どない!?

 

 

 

 

 

ものすごい、自己嫌悪に襲われました。

 

 

 

 

 

 

そんな風に、平気で劣化しちゃえるから、浮気されんだよ!

女だったら、いつでもキレイでいないとダメでしょ~?

ヨソの家庭の事情なんか知ったこっちゃねーわ!

( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \

 

 

なんて声が、自分の中で聞こえる一方、

 

あり得ないくらいにヒドい男……。

 

として、あれだけ魅力的に見えた彼が、一気にくだらないヤツに思えてきました。

同時に、自分自身に、初めて、

 

 

加害者、

 

 

 

という言葉が、重くおもーーーーく、ズシンとよっこいしょしてきました。

 

 

 

彼は、理由もわからず突然冷たくなった私を、引き止めるでもなく、去って行きました。

彼ほどのモテ男なら、女は順番待ちです。

いっくらでも、いるんです。

要は、そんなもんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もう、やめよう、不倫。

よかったじゃないか。

自分がしていることの愚かしさに気づいて。

思えば、

遊び人ばっかり、自分も100パ遊び、

そんな関係だったことが本当に救いだ。

互いに完全に割り切ってたからこそ、どこの家庭も破壊せずに済んだ。

慰謝料だの離婚だの修羅場だの、そういう泥水かぶる前に、こんなに罪深いことをあれだけやっておきながら、ノーダメージで終わって本当によかった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えながら、私の不倫歴は終わった。

 

 

 

 

 

はずだった!

 

終わってなかった!

 

 

しかも、このあとにしでかす最後の不倫が、

一家庭を完全にぶち壊すモノになるとはつゆ知らず、

見知らぬ男女、

関東の男と、関西の女が、

離れた空の下で、二度と不倫なんかするもんか、と、誓い合うのであった。