大東亜戦争の実相/瀬島 龍三

陸軍大学校を卒業後、大本営陸軍参謀となり、敗戦後シベリア抑留を経て伊藤忠に入社し会長まで登りつめたという稀有な人生を送った瀬島龍三氏が、ハーバード大学でハーバード・MITの国際関係学者50人を前に講演を行った際の講演録。


おじいちゃん戦争のこと教えて でも、受態戦争だったという表記のところで参考として紹介されていた本だったと記憶している。


さすが大本営の参謀だっただけに、戦争に至るまでの経緯が事細かに整理されていて戦争に関する文献としても価値が高いと思える。


おじいちゃん戦争のこと教えての著者である中条氏が言うように、日本が軍国主義で植民地拡大にひた走った訳ではなく、自存自衛の受態戦争であってアメリカに追い込まれ戦争せざる負えない状況になったことが良く分かる。


昭和16年に東城内閣が両国の首脳会談を要請したが、米国に拒絶されたことで戦争に突入することになってしまったということだ。


東京裁判においては戦勝国による一方的な裁判で日本だけに戦争責任があるということになってしまっているが、インドのパール判事は、米国にも戦争の責任はあるのではないかと指摘している。


それを踏まえた上で最後に7つの教訓を提示しているが、これが鋭い指摘で分かりやすい。


敗戦後のことについは本書では触れていないが、東京裁判からGHQの統制など点と点が線で繋がったような気がした。