「モンスター・パニック」
(MONSTER HUMANOIDS FROM THE DEEP)
(1980年 アメリカ 80分)
【ネタバレ注意】
化け物いっぱい血もいっぱいで80分でスッキリ終わる。
B級ホラーの鏡ですね。
↑公開時のチラシ。
↑VHSのビデオソフト。
(以下ネタばれありなので、未見の方は要注意です)
舞台は小さな漁港。
町は今、缶詰工場の誘致に沸いてるんですが、
建設予定地に住む先住民の血を引く若者たちは猛反対。
誘致賛成派の嫌がらせがもとで大ゲンカになったり、
なんか大変な状況みたい。
仲を取り持つやさしいおじさん(ダグ・マクルーア!)も頭が痛いです。
そんな中、
海から不格好な半魚人っぽい汚いのが現れ、
漁民の番犬を殺したり、
男の子の頭をべロンっと抉り取ったり、
女の子の服を脱がして上に乗っかったりするので困りものです。
女性海洋生物学者とやさしいマクルーアが入り江を調査したところ、
ネトネトした半魚人風なのが普通に何匹もいてビックリ。
1匹ブチ殺して研究所に持ち帰り調べたところ、
その正体が判明。
成長促進作用のある特殊な餌を食べた鮭が海へ逃げ出し、
そいつを食べたシーラカンスか何かが急速に進化したんですと。
ってことは半魚じゃなくて全魚じゃん!
くしくもその晩は毎年恒例の鮭祭り。
賑わう町を全魚人(?)の群れが襲います。
男は首をもがれたりあばらを抉られたりして殺されるんですが、
なぜか女性は押し倒されます。
まあ、でも所詮はお魚のでっかいの。
町の男達がみんなで協力し合いお魚どもをブチのめします。
喧嘩してた誘致賛成派漁民と先住民もなんだか仲直り。
良かった良かった。
襲われた女性からなんか変なの産まれちゃいましたけどね。
特殊メイクを「物体X」以前のロブ・ボーティンが担当。
怪物の造形に当たっては、
「人間の最も忌み嫌う姿」をコンピューターを駆使して算出したんですと。
多分嘘っぱちだろうけど。
パソコンが普及する遥か以前。
「コンピューターで計算しますた」とか言えば、
「おおっ!それならば間違いない!」
って時代ではありました。
でもほんとにやったんだとしても、
「恐ろしさ」や「不気味さ」は、
コンピューターを使おうがそろばんを使おうが、
計算で割り出せるようなモンじゃないですね。
半魚君たち、
あんまり恐くも気持ち悪くも無いです。
ずんぐりしてて、着ぐるみの怪獣っぽい感じ。
脳味噌剥き出しの頭部とか、
多分算出した忌み嫌われる要素なんだろうけど、
モンスター・スーツのデザインに見えちゃうと特に気持ち悪くないです。
「恐い」とか「不気味」って理屈じゃないから。
松平健のクローン百人が笑いながらブリーフ1枚で走って来たら恐いじゃないですか。
でもそんなの計算では割り出せないですからね。
↑半魚人風モンスター君。
なぜか笑顔。
そんな松平・・・じゃなくてお魚のお化けが大暴れのこの映画。
面白いです。
化け物はウジャウジャ出て来るし、
人の殺され方はグロいし、
なんと言っても80分という短さが奥ゆかしい。
私、3時間とかの映画苦手なんですよね。
2時間超でもちょっとダメ。
トイレに行きたくなっちゃって。
不思議だなあ、普段は3~4時間行かなくても平気なのに。
我慢すれば出来るけど、
後半頭の中はオシッコのことばっかりになっちゃって作品に集中出来ません。
そんな観客のオシッコを考慮した(のか?)80分という絶妙な短さ。
この手ごろなサイズの中に化け物と血みどろとオッパイを満載。
B級ホラーはこのサービス精神だけで十分で成立しますね。
ちなみにラストの半魚赤ちゃん出産シーン、
製作サイドの意向で追加されましたが、
特殊メイクのロブ・ボーティンは気乗りしなかったそうです。
「エイリアン」のチェスト・バスターのパクリじゃん!ってことで。
予算も無く、赤ちゃんはマペットによる簡単な作りですが、
けっこう不気味でなかなかの出来です。
あと、
上のジャケ写のVHSソフトからは、
男性が首をもがれる残酷描写がカットされてます。
出産シーンでお腹から血飛沫が上がる瞬間も無いです。
昔録ったテレビ放映版を再確認したところ、
どっちもちゃんとありました。
↑テレビ録画テープ。タイトル手書き!けっこう時間かけて書いてます。
確か実家にレーザー・ディスクがあったけどそちらは未確認。
DVDではどうなってるのかな?
「モンスター・パニック」から残酷描写をカットして1万4800円で売っちゃダメですね。
そこが命なんだから。
そこしかないんだから。